幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第6章

お礼

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一通りの確認と報告を終えて場所を移し、解体場で回収したモンスターを取り出して持ち帰る分と買取分を伝えてベルティルが手配してくれた宿へ向かう。
宿の受付で部屋の鍵をもらう際に、お連れ様が到着していて挨拶をしたいと伝言をもらった。
シャンスとクレドを肩に乗せて受付へと歩いていく。
「幻獣士ギルド長様、お久しぶりです」
声をかけて来たのは竜人族の薬師のリーダーのオラシオだった。
場所を食堂の奥にある個室に移動した。
幻獣関連部署の育成担当モデストの他に4人が居た。
食事が届くまでの間に簡単に紹介を受けた。
薬師と薬師見習いと変異種育成計画の研修に同行する2名だという。
しかも研修員の1人は獣騎士で道中の護衛を兼ねているらしい。
食事を済ませた後に話し合う。
エルフとドワーフの方々は明日辺りに第1陣が到着し、一部は場所の関係上リベルタへ直接向かうらしい。
「では同行者は明日には揃うという事ですね」
「はい、その予定をしております」
「…丁度良かったのかもしれない」
「何かおっしゃいましたか?」
「いえ、実はアルバという麒麟の幻獣がダンジョンで行方不明になり、今4精霊王様のところに相談行ってもらっているところなので」
「幻獣様が行方不明!?
ここのギルドは何をしているんだ!」
獣騎士が立ち上がりながら叫んだ。
「落ち着いて下さい。
ここのダンジョンの管理とは関係ないかもしれないんです。闇の精霊が関係している可能性があるので精霊王様方に相談しているのです。それにもうこのダンジョンには居ない事も判明していて、ここのギルドも対応してくれてますし」
「闇の精霊ですか。確かにダンジョンは闇の管轄ではありますが…」
「精霊王様達からの返事があるまでは出発を待ちたいんです」
「このダンジョンには居ない?
それは本当ですか?」
「はい、水の精霊王様から連絡係として付けられている中精霊様が調べてくれたのです」
「オンディーヌ様の配下の精霊様の言う事なら信用出来ますね」
「はい、なので無理して捜索を続けず帰って来たんです」
詳しい状況を知りたいというので話しを続け、コンティノアール国だけでなくエルフやドワーフの国でもアルバの捜索と保護を申し出てくれた。

翌朝遅めの朝食後に持ち帰り分を引き取るため歩いてダンジョンのギルドへ向かう。
処理の終わった分の内、日持ちのしない物や食料を時間停止効果付きのマジックバックにしまう。
全ての持ち帰り分が処理出来るのは夕方近くだというので受付へ行く。
リベルタの冒険者ギルドと幻獣士ギルド本部に、アルバの行方不明のことを連絡するために緊急魔伝を頼むためだ。
用紙をもらって記入を終え、魔伝の受付に並んだら別のギルド職員に呼ばれた。
魔伝は後で担当職員に預けて処理するからと会議室に連れて行かれた。
そこには昨日行動を共にしたスライムが待っていた。
主人が早朝に意識を取り戻したそうだ。
そこで職員から意識を失った後の説明を聞きお礼をしたいが、まだベッドから動けないので職員にスライムを預けたらしい。
《主人が目が覚めて良かったね》
《アリガト》
「スライムの主人は当分休養せざるを得ないため、他にお礼が出来ないからとスライムを譲渡されるとの伝言を預かり、お呼びしようとしたところにレナード様がいらしたのでこちらに」
「スライムって、この子は…」
「誤解を招く発言でした。実はこのスライムは上位種の特殊個体で分裂をしない選択が出来るそうで、代わりに進化を選択が出来たので強くなったそうなんです」
「凄いですね」
「そうですね、他にいた分裂した個体を囮にして逃げて来たそうですが、今分裂出来る状態なのでその個体を譲渡したいということなんです」
今回の件で進化ではなく分裂を選択するつもりだが、本来なら休養中に増やして戦力を増強したいが、早い処置のおかげで冒険者を続けられることになったのはレナードのおかげだからということだった。
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