幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第7章

決定

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 精霊王達に上申している頃、先程の場所では熾烈な外に出る1枠を巡っての主張合戦が繰り広げられていた。
 思惑は大きく3つに分かれている。
1つは単純にダンジョンの外に出てみたいだけの者、もう1つが麒麟の主人を直接見てみたいだけの好奇心からの者。
そして最後の薬師のレナードの役に立つだろう能力にある者達で、前者の2つのグループに比べ叶えたいという思いが強くて最終的に最後のグループ内での争いになった。

 薬草などが主食で成分を濃縮した液を出せる種族
 薬草または薬の素材になる物が主食のため匂いで探すことが得意な種族
 毒草が主食で毒を濃縮して体表に滲ませることで身を守る種族
など薬師の役に立つ者達で集団行動する昆虫系を含む。その中には
 麒麟を治療した蜘蛛の子。
 食べた毒の解毒液を作り出せる蛇。
 3属性を持つ病気を治せる小型の猿の子
の特異体の3体もいる。
ただ今回の趣旨が麒麟の話しが本当かを偵察するのが主な目的であり、いざという時には大精霊が回収する必要があるために1個体で活動出来る者だと説得して、集団で行動する昆虫系などの種族は諦めてもらった。
 別の理由として有用性が高過ぎて、安易に知られると麒麟が語っていた人物像と違い悪意や残虐性など今まで通りの人間像だった時に危ないという理由で特異体の蛇と猿を説得して候補から外した。
 同じ特異体でも蜘蛛の子は捕えることが簡単ではないことと、今は成分濃縮が主な能力のため残った。
 2人の大精霊が戻って来ても揉めていて、残ったメンバーを見て2人が決める事で合意を得た。2人は悩みに悩んだ。元々此処に集めた者は保護する者が居ないか、保護する者が負傷が酷いためか、有用性や希少性が高いが攻撃や身を守る手段がない者ばかり。
 例外として蜘蛛の子など幼少期のみが危険のためにその期間だけの者も居るが。そういう者は成長すると強くなる。
 熟考の末に蜘蛛の子は将来的に強くなるために候補から外され、落ち込んで何処かに行ってしまった。
 最終的に草食だが、好物の蜜が薬の媒介になる花々であるジャコウ鸚鵡になった。一時期美しい色合いのために乱獲されたが、別の迷いの森やダンジョンの奥の交戦な種族の縄張りの周囲に棲家を移してからは目撃情報も少なくなった種族だ。
 このグループの棲家が現在人間達が攻略のために複数のパーティが潜っているせいで避難していた。大精霊2人が予想外だったのは何組かいる子供達の中でも一番小さく弱いと思われていた個体が、一番意欲を示していたことだ。本人の意思は固くて強く、元々生まれ育ったところでも成鳥まで生き残れるかと危惧していた個体だったため、本人が望むようにさせやろうという事で両親も許可したらしい。
 家族や仲間達との別れの挨拶を済ませている間に、闇の大精霊はアルバに向き合い情報を聞き出しながら、脳裏にある記憶なども読み込む。同時に闇と光の眷属の精霊達によりレナードの動向を調べ、一番近い迷いの森へジャコウ鸚鵡を送り込むのが良いだろうという事になった。
レナード達が来るまでは幻獣士と同行した者達にジャコウ鸚鵡の幻影を見せ噂を流し、調査させる様に仕向けた。
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