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2章 幼少期編 II
1.プロローグ
しおりを挟む大飢饉回避の吉報が、鳥によって届けられた。
『鎮圧 国王陛下 王子殿下 共に無事 領民に死者無し』
アルベール兄さまはすぐに返信を飛ばした。
『奮闘に感謝する 王女誕生 母子共に健康』
次の鳥では、お父さまの直筆が届けられた。
『トゥーラ愛しているぞ ようこそ”ルシューア”』
……… ルシューア ………
お父さまらしいネーミングセンスです。
でも、凄くいいと思います。
『ル』は才能を意味し、『シューア』は女の子を意味するのです。
音の響きにも凛々しさと柔らかさがあって、とってもキュートなのです。
そして、今回の遺伝子は初のお父さまの勝ち。
茶髪茶眼で可愛い~の。まろやかな顔立ちもお父さまから貰ってるみたいです。
はぁぁぁぁん、愛しすぎて胸が苦しい。
蛇足ながら、私めの『シュシューア』は『魅力的な女の子』的な意味でして、成長した暁には『美女』になってしまうという恐ろしいキラキラネームなのです。お婆ちゃんになってもですよ。
男の子が3人続いていたので、女の子が生まれてよほど嬉しかったのでしょうけど……ねぇ。
「あ~ぅ~…ぷぅ」
ベビーベッドで揺らされている妹が『ぷぅ』って言った!
「”ぷぅ”でしゅかぁ~? 可愛いですねぇ、ルーちゃんは"ぷぅ"なのでしゅねぇ~」
”ルー”は忌避される名前ではなくなった。
堂々と『ルーちゃん』と呼べる日が来るなんて、嬉しいなぁ。
「あ~ん、寝ちゃった~」
お母さまも長椅子で船を漕いでる。
『育児は乳母まかせにしてはいけないのです!』
拳を天に向けて何やら誓いを立てていたお母さまは、お疲れのようです。
無理はしないでくださいね。
「もうすぐ、お父さまとルベール兄さまが帰ってきますからね~。たくさん可愛がってもらうのですよ~」
もう未来は順風満帆!
……のはずだけど、何か忘れているような……ま、いいか。
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