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閑話 1 旧友との再会
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あの爆音で意識がふっ飛ばされたのだろう。俺が目を覚ましたときには、俺は仲間の不安そうな顔を見上げていた。
皆が皆、随分と情けない顔になっている。余程心配をかけさせたらしい。
その奥にある天井はいつもの黄色い防寒布。テントの中だ。
あいつらはかなり大暴れしていたが、テントはきちんと生き残ったらしい。
というか、俺を無視して突き刺したり、俺の方に受け流したり、どちらかと言うと俺を仕留めるつもりだった気がしてならない。
「あー、あの野郎ども。俺より破天荒じゃねえか」
「団長大丈夫?」
ミミルが俺の腕を掴んで、状態を起こすのを手伝ってくれた。
俺はもうそこまでふらついてないし、その上ミミルの小さな体で支えられるとも思えないが、一応手を借りておこう。
子供の善意は素直に受け取るのが大人だ。
立ち上がると、ギルが俺の体をペタペタと触って怪我の具合を確かめる。
「しつこいまでの恩の押し売りで恨みを買いに買いまくってるとは思ったが、ついに刺されたか」
「刺されちゃいねえ掠っただけだ」
ギルの軽口を聞きながら辺りを見ると、レイブンもシュリも居やしなかった。
「あいつら、謝りもせずに行きやがったか?」
「私はきちんといますよ」
という声に思わず顔を顔をしかめた。レイブンは逃げたがシュリはテントの外に留まっていたらしい。
あれとは長年の付き合いだが、正直言うと俺はこいつとの付き合い方をつかめてない。
何を考えてるか分からないというのもあるが、何せ俺以上に神出鬼没で動きが読めないというのが大きい。
が、それでも笑って手をあげてやろう。
声のした方に振り向いて
「ようシュリ。久し……ブフっ」
吹き出した。
確かに笑ってやろうとは思ったが、まさか彼方も笑わせてやろうと考えているとはこれっぽっちも想像していなかった。
いやはや、何とも愉快な格好だ。多分、レイブンの仕業だろうが、あいつは中々センスがある。
「くくくっ。お前なんて格好してるんだよ。ど、泥にまみれてやがるっ。しかも髪の毛凍ってやがるっ。あのぶすっとした表情のまま泥だらけの氷漬けとかっ。俺を殺す気か?」
「そんな気はありませんでしたが、お望みとあらば直ぐにでも」
「……落ち着け。落ち着いたから」
レイピアをすらりと抜く動きに多少の殺気を感じて、何とか笑いを封じ込める。
あのまま笑っていたら、多分頭をかち割られただろう。
しかし、あのシュリが泥だらけでふてくされている様は何とも破壊力が……いやいや押さえろ。というか忘れろ。
思い出せば頭が胴から離れる。そう言う所に躊躇がないのがシュリだ。
咳払いをして仕切りなおす。
「久しいな。シュリ」
「お久しぶりです」
レイピアを腰に戻した、メイド姿のシュリがこちらを見る。
その様子を見るに相も変わらずらしい。
「まだ国に仕えてるのか」
「貴族に、です」
「変わりゃしねえよ。どっちも似合わねえし、下手な道化よりも笑える。くくくっ。この人を労わるって ことを知らねえ女がなあ」
これが上流社会に奉公しに行くと聞いた時には大笑いしたが、雇う奴が現れたと聞いた時も大笑いした。
あの時は腹筋が裂けるかと思ったなあ。
が、今の状況と同じようなことをされて、笑いは引っ込んだが。
目にもとまらぬ速さで喉元に突き付けられたレイピア。一応首は繋がっているが……これ以上機嫌を損なわない方がいいだろう。
それの腹にそっと指を当てて、下ろさせる。
「ったく。性格の方も相変わらず尖ってるな」
「貴方も相変わらず偽りの慈善事業ですか」
「偽りとか言うなよ。俺は大真面目だぜ」
「真面目……。なるほど本心を隠しながら、コソコソと根を張りながら、密かに有望株を買い漁る。それがあなたの精一杯の真面目ですか」
「おう」
随分な言い草だが間違ってはいない。
堂々と頷いてやれば、全く表情の凍り付いた眼差しに、微妙な呆れやら軽蔑やらが入り混じる。
一応、俺が年上であるはずなんだが。
いやもう最初から顔面の筋肉が石化してはいたものの、表情が読めるようになってからはずっとこんなだったか。
「あのガキも大変だったなあ。こんな奴に追われてるなんて」
そう言うと、不意にその眼差しがこれまた微かにきつくなった。
「話は変わりますが貴方はレイブンの事を何処までご存知ですか?」
「ああ。あいつの事か……今知ってることは、お前の弟子だってことだな」
あのやたらと戦闘意欲の高い戦い方は確かにシュリの殺人術をに近い物があった。
猪突猛進な癖に多彩な攻撃手段と多方面へのアプローチ。まあ、まだまだ師匠越えは無理そうだが。
「ん? つーことは何か? ありゃ貴族か?」
「はい」
あれの行動を思い返してみる。
見知らぬ男に着いていき、ギルドの登録方法も知らず、その上文字も不自由と来た。
と思えば無駄に賢しい言動に随所にみられる。
あれが……貴族か。
「……お前が教えたんだから強いのは分かる。だが貴族にしちゃ妙な所で賢し過ぎるし、妙な所で馬鹿すぎるぜ。どういう育て方をしたんだ? お前ら」
「申し訳ありません守秘義務がありますので」
……こう言う反応の場合、絶対に何か企んでいる時だ。
もしレイブンが逃げなかったら、一体どんなことに巻き込まれたのやら。
今更ながら、あいつが哀れに思えてくる。
やっぱりこっちに引き込んでおくか。色々と利を提示してやれば靡くだろう。
それにあいつの能力は、後になって必要になってくる。
「ああ、ですが妙に賢しいのは赤子の時からそうでしたね」
「赤子?」
「ええ。生まれた時から泣かず、人の話をよく聞く子でしたから。その上物事を冷静に考える質が備わっていました」
「冷静。あいつがか?」
あの自分勝手に生きてやると宣言した奴が、冷静とはずいぶん妙な話だ。
まさか貴族社会ではあのハイテンションが冷静に分類されるとでも言うのか。
俺の疑問を他所に、シュリは話し出した。
「例えば、家族ぐるみの付き合いをしている貴族のパーティで、こんな話題がありました」
それは貴族達が酒の席での話題にと、話し始めた話題でした。
端的に言えば、諸外国への戦争用に魔法を開発しようとする時、どんな種類の魔法がいいか。
一人は土系の魔法を推しました。
辺りの素材も使えるし、扱いも簡易で、何より鎧越しに攻撃が通る。これに勝る魔法はない、と。
一人は雷系の魔法を推しました。
二属性複合の扱いは難しいが、速さと攻撃力が飛び抜けていることは魅力的である。これに勝る魔法はない、と。
ここで、どこかの子供が無邪気に声を上げたのです。
炎魔法が一番だと。それ以外はありえないと。
話し合いに参加した大人の全員が、笑いました。
炎というのは見た目が派手ですが、鎧は通さない、手足を焼いたとしても致命傷にはならない。何より炎は扱いにくいと言う常識を、子供が知らないと思ったのです。
しかし子供はそんな反論に、無邪気に答えたのです。
炎だったら人は直ぐに死なない。でも深い火傷は治療しないと死ぬから放っても置けない。だから、直すにせよ見殺すにせよ、炎で怪我をした兵は軍の負担になる、と。
「実際は治療隊の魔法で直ぐに傷病者は直せるでしょうが、その考え方に辺りは一瞬静まりました」
「そりゃそうだろうよ」
言ってしまえば人を人と思っていないような発言だ。まるで駒か何かを弄っているようだ。
無論、為政者や、軍指揮官には必須の考え方だろうし、現にそう言う戦い方がなかった訳ではない。
が、それを子供が説いたのが異常だ。
あんな発言をする奴とは思えなかったが……人は見かけによらないということか。
もしくは中身が外身と全然違うのか。
「貴方にも警告しておきましょう。お坊ちゃまには近寄らないことです。そんな考え方をする人間な上に、暴走すればこの様に、貴族家すら相手取る存在です」
「そうか。……で、そんな子供をどうしようと考えてるんだ?」
「発言の意味を理解しかねます」
理解しかねる、というほど難しい質問をした覚えはない。
「お前ほどの実力者だ。あそこまで接近したならレイブンくらい簡単に捕まえられただろ? なのに逃がしてる。つまり、手を抜いていたってことだ。それの意味を聞いてるんだよ」
「そうですね……。折角集中力が増してきたので、もっと新しい訓練をしようかと」
「……何だって?」
思わず聞き返してしまったが、シュリは同じ内容を繰り返すだけだった。
「訓練です。お坊ちゃまにはもっと強くなってもらいます」
貴族に仕えている内に冗談が言えるようになったかと見たが、どうもふざけてる様子でない。
大真面目に質問して、大真面目な返答がそれか。
「おい、一応聞くぜ。家出した奴を連れ戻さずに、そのまま教育するつもりか」
「はい。そちらの方が成長が高そうです。私の全てを伝えるならそちらの方が都合が良いのです」
子供も産んでないだろうに、もう教育ママになっている。
ある意味将来有望だが……とんでもない教育もしてそうだ。
「まさかとは家出の原因ってまさかお前じゃないだろうな」
「違うとは言い切れません」
「……そこは違うって言えよ」
というか俺達は真面目な話をしていた筈なのに、何でこんな話になったのやら。
「ですが、手は緩めませんよ。決して」
そう言うと表情筋が凍り付いた女は、俺の前で初めて薄く笑って見せた。
こいつとの再会で、得たことは二つ。
こいつは貴族の中でも変わらずやってると言うこと。
そして、レイブンに手を出すなら、間違いなくシュリと対立するということ。
「……こりゃ色々と考える必要があるな」
一先ず、レイブンに干渉するなら間違いなくシュリと対立することになるという事は、間違いないようだった。
皆が皆、随分と情けない顔になっている。余程心配をかけさせたらしい。
その奥にある天井はいつもの黄色い防寒布。テントの中だ。
あいつらはかなり大暴れしていたが、テントはきちんと生き残ったらしい。
というか、俺を無視して突き刺したり、俺の方に受け流したり、どちらかと言うと俺を仕留めるつもりだった気がしてならない。
「あー、あの野郎ども。俺より破天荒じゃねえか」
「団長大丈夫?」
ミミルが俺の腕を掴んで、状態を起こすのを手伝ってくれた。
俺はもうそこまでふらついてないし、その上ミミルの小さな体で支えられるとも思えないが、一応手を借りておこう。
子供の善意は素直に受け取るのが大人だ。
立ち上がると、ギルが俺の体をペタペタと触って怪我の具合を確かめる。
「しつこいまでの恩の押し売りで恨みを買いに買いまくってるとは思ったが、ついに刺されたか」
「刺されちゃいねえ掠っただけだ」
ギルの軽口を聞きながら辺りを見ると、レイブンもシュリも居やしなかった。
「あいつら、謝りもせずに行きやがったか?」
「私はきちんといますよ」
という声に思わず顔を顔をしかめた。レイブンは逃げたがシュリはテントの外に留まっていたらしい。
あれとは長年の付き合いだが、正直言うと俺はこいつとの付き合い方をつかめてない。
何を考えてるか分からないというのもあるが、何せ俺以上に神出鬼没で動きが読めないというのが大きい。
が、それでも笑って手をあげてやろう。
声のした方に振り向いて
「ようシュリ。久し……ブフっ」
吹き出した。
確かに笑ってやろうとは思ったが、まさか彼方も笑わせてやろうと考えているとはこれっぽっちも想像していなかった。
いやはや、何とも愉快な格好だ。多分、レイブンの仕業だろうが、あいつは中々センスがある。
「くくくっ。お前なんて格好してるんだよ。ど、泥にまみれてやがるっ。しかも髪の毛凍ってやがるっ。あのぶすっとした表情のまま泥だらけの氷漬けとかっ。俺を殺す気か?」
「そんな気はありませんでしたが、お望みとあらば直ぐにでも」
「……落ち着け。落ち着いたから」
レイピアをすらりと抜く動きに多少の殺気を感じて、何とか笑いを封じ込める。
あのまま笑っていたら、多分頭をかち割られただろう。
しかし、あのシュリが泥だらけでふてくされている様は何とも破壊力が……いやいや押さえろ。というか忘れろ。
思い出せば頭が胴から離れる。そう言う所に躊躇がないのがシュリだ。
咳払いをして仕切りなおす。
「久しいな。シュリ」
「お久しぶりです」
レイピアを腰に戻した、メイド姿のシュリがこちらを見る。
その様子を見るに相も変わらずらしい。
「まだ国に仕えてるのか」
「貴族に、です」
「変わりゃしねえよ。どっちも似合わねえし、下手な道化よりも笑える。くくくっ。この人を労わるって ことを知らねえ女がなあ」
これが上流社会に奉公しに行くと聞いた時には大笑いしたが、雇う奴が現れたと聞いた時も大笑いした。
あの時は腹筋が裂けるかと思ったなあ。
が、今の状況と同じようなことをされて、笑いは引っ込んだが。
目にもとまらぬ速さで喉元に突き付けられたレイピア。一応首は繋がっているが……これ以上機嫌を損なわない方がいいだろう。
それの腹にそっと指を当てて、下ろさせる。
「ったく。性格の方も相変わらず尖ってるな」
「貴方も相変わらず偽りの慈善事業ですか」
「偽りとか言うなよ。俺は大真面目だぜ」
「真面目……。なるほど本心を隠しながら、コソコソと根を張りながら、密かに有望株を買い漁る。それがあなたの精一杯の真面目ですか」
「おう」
随分な言い草だが間違ってはいない。
堂々と頷いてやれば、全く表情の凍り付いた眼差しに、微妙な呆れやら軽蔑やらが入り混じる。
一応、俺が年上であるはずなんだが。
いやもう最初から顔面の筋肉が石化してはいたものの、表情が読めるようになってからはずっとこんなだったか。
「あのガキも大変だったなあ。こんな奴に追われてるなんて」
そう言うと、不意にその眼差しがこれまた微かにきつくなった。
「話は変わりますが貴方はレイブンの事を何処までご存知ですか?」
「ああ。あいつの事か……今知ってることは、お前の弟子だってことだな」
あのやたらと戦闘意欲の高い戦い方は確かにシュリの殺人術をに近い物があった。
猪突猛進な癖に多彩な攻撃手段と多方面へのアプローチ。まあ、まだまだ師匠越えは無理そうだが。
「ん? つーことは何か? ありゃ貴族か?」
「はい」
あれの行動を思い返してみる。
見知らぬ男に着いていき、ギルドの登録方法も知らず、その上文字も不自由と来た。
と思えば無駄に賢しい言動に随所にみられる。
あれが……貴族か。
「……お前が教えたんだから強いのは分かる。だが貴族にしちゃ妙な所で賢し過ぎるし、妙な所で馬鹿すぎるぜ。どういう育て方をしたんだ? お前ら」
「申し訳ありません守秘義務がありますので」
……こう言う反応の場合、絶対に何か企んでいる時だ。
もしレイブンが逃げなかったら、一体どんなことに巻き込まれたのやら。
今更ながら、あいつが哀れに思えてくる。
やっぱりこっちに引き込んでおくか。色々と利を提示してやれば靡くだろう。
それにあいつの能力は、後になって必要になってくる。
「ああ、ですが妙に賢しいのは赤子の時からそうでしたね」
「赤子?」
「ええ。生まれた時から泣かず、人の話をよく聞く子でしたから。その上物事を冷静に考える質が備わっていました」
「冷静。あいつがか?」
あの自分勝手に生きてやると宣言した奴が、冷静とはずいぶん妙な話だ。
まさか貴族社会ではあのハイテンションが冷静に分類されるとでも言うのか。
俺の疑問を他所に、シュリは話し出した。
「例えば、家族ぐるみの付き合いをしている貴族のパーティで、こんな話題がありました」
それは貴族達が酒の席での話題にと、話し始めた話題でした。
端的に言えば、諸外国への戦争用に魔法を開発しようとする時、どんな種類の魔法がいいか。
一人は土系の魔法を推しました。
辺りの素材も使えるし、扱いも簡易で、何より鎧越しに攻撃が通る。これに勝る魔法はない、と。
一人は雷系の魔法を推しました。
二属性複合の扱いは難しいが、速さと攻撃力が飛び抜けていることは魅力的である。これに勝る魔法はない、と。
ここで、どこかの子供が無邪気に声を上げたのです。
炎魔法が一番だと。それ以外はありえないと。
話し合いに参加した大人の全員が、笑いました。
炎というのは見た目が派手ですが、鎧は通さない、手足を焼いたとしても致命傷にはならない。何より炎は扱いにくいと言う常識を、子供が知らないと思ったのです。
しかし子供はそんな反論に、無邪気に答えたのです。
炎だったら人は直ぐに死なない。でも深い火傷は治療しないと死ぬから放っても置けない。だから、直すにせよ見殺すにせよ、炎で怪我をした兵は軍の負担になる、と。
「実際は治療隊の魔法で直ぐに傷病者は直せるでしょうが、その考え方に辺りは一瞬静まりました」
「そりゃそうだろうよ」
言ってしまえば人を人と思っていないような発言だ。まるで駒か何かを弄っているようだ。
無論、為政者や、軍指揮官には必須の考え方だろうし、現にそう言う戦い方がなかった訳ではない。
が、それを子供が説いたのが異常だ。
あんな発言をする奴とは思えなかったが……人は見かけによらないということか。
もしくは中身が外身と全然違うのか。
「貴方にも警告しておきましょう。お坊ちゃまには近寄らないことです。そんな考え方をする人間な上に、暴走すればこの様に、貴族家すら相手取る存在です」
「そうか。……で、そんな子供をどうしようと考えてるんだ?」
「発言の意味を理解しかねます」
理解しかねる、というほど難しい質問をした覚えはない。
「お前ほどの実力者だ。あそこまで接近したならレイブンくらい簡単に捕まえられただろ? なのに逃がしてる。つまり、手を抜いていたってことだ。それの意味を聞いてるんだよ」
「そうですね……。折角集中力が増してきたので、もっと新しい訓練をしようかと」
「……何だって?」
思わず聞き返してしまったが、シュリは同じ内容を繰り返すだけだった。
「訓練です。お坊ちゃまにはもっと強くなってもらいます」
貴族に仕えている内に冗談が言えるようになったかと見たが、どうもふざけてる様子でない。
大真面目に質問して、大真面目な返答がそれか。
「おい、一応聞くぜ。家出した奴を連れ戻さずに、そのまま教育するつもりか」
「はい。そちらの方が成長が高そうです。私の全てを伝えるならそちらの方が都合が良いのです」
子供も産んでないだろうに、もう教育ママになっている。
ある意味将来有望だが……とんでもない教育もしてそうだ。
「まさかとは家出の原因ってまさかお前じゃないだろうな」
「違うとは言い切れません」
「……そこは違うって言えよ」
というか俺達は真面目な話をしていた筈なのに、何でこんな話になったのやら。
「ですが、手は緩めませんよ。決して」
そう言うと表情筋が凍り付いた女は、俺の前で初めて薄く笑って見せた。
こいつとの再会で、得たことは二つ。
こいつは貴族の中でも変わらずやってると言うこと。
そして、レイブンに手を出すなら、間違いなくシュリと対立するということ。
「……こりゃ色々と考える必要があるな」
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