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一人目
嫉妬①
しおりを挟むヒルデハイマー子爵家に1人の女の子が産まれた。名前はアリア・ヒルデハイマー。赤目、赤髪の美しい女の子だ。
アリアは5歳になり、父親であるクルス・ヒルデハイマーによって、政略結婚させられることとなった。
今日が政略結婚の結婚相手、侯爵家のアルゲイド侯爵とその息子のキース・アルゲイドがヒルデハイマー家に足を運ぶ日である。
「アリア、無礼のないようにしなさい。」
「はい、お父様。」
アリアは父であるクルスの言うことに一切歯向かわない従順ないい子であった。
「これはこれは、わざわざクルス殿らが迎えに来なくてもよかったのに、すまないな。」
「いえいえ、本日は大切な日ですのでアルゲイド様は私が直接お迎えしたかったのです。」
アルゲイド侯爵はいかにも貴族主義を掲げていそうな傲慢な面をしていた。
しかし、その隣にいたキースは金髪の青い目をした侯爵の遺伝子が入っているとは思えないほどに美麗な男の子だった。
「アリア、私はアルゲイド様とお話があるから、ご子息を客室までお連れして丁重に扱いなさい。」
「承知しました、お父様。」
クルスと侯爵は来賓室に行き、何やらきな臭い話をするとのことで、子どもであるアリアとキースは別室へと移動した。
「お初にお目にかかりますキース様。何卒、これからもよろしくお願いしますわ。」
「…………」
キースは無口だった。寡黙なキースの性格がより、美しい髪色と清廉そうな目の色を引き立たせ、アリアを魅了した。
2人目は客室に行き、侍女が飲み物を運んできた。
「キース様のご趣味はなんなのですか?」
「剣術です。」
アリアは必死になってキースの機嫌を取ろうとして話題を出していた。
「キース様は休日は何をなさるのですか?」
「剣術か勉強です。」
キースの返答はいつも最低限の答えしか言わない冷たいものだった。
しかし、アリアはめげなかった。むしろ振り向かせたいという意地が出てきていた。
「あの、すみません。」
初めてキースからアリアに話をかけた。アリアは嬉しかった。どのような言葉をかけてくれるのかをとても期待していた。
「少し静かにしてもらえませんか。」
それは、何とも辛辣な言葉だった。キースと仲良くなりたかった為にした行動はキースから遠ざかってしまう行動になっていた。
「キース様は静かな方がお好きですか?」
それでもアリアはめげなかった。少しでもキースのことをしろうと頑張った。
「はい、私は静かで優美な方が好みです。」
キースはアリアから感じた印象とは真逆のことを言った。
キース自体はあまりこの政略結婚ということに乗り気ではなかった。態度を悪くして、あわよくば結婚を阻止しようとしていた。
「そうですか!わかりました、私は静かで優美な女性になりますわ!」
突き放したつもりがアリアはキースの好きなタイプをしれて満足そうにしていた。
それをみたキースは驚いて初めてアリアの前で微笑んだ。
「楽しみにしてますね。」
アリアはキースの為に理想の女性になるための努力を惜しまなかった。
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