2 / 5
一人目
嫉妬②
しおりを挟むアリアは15歳になり、本国であるアルカアド王国の王都であるアルカイド学園の貴族科へと入学することとなった。
学園は貴族として礼儀作法から歴史、領地運営など貴族の務めについてを学ぶという口実で貴族令嬢や子息などとの交流をするための場として存在している。
一方でアルカアド学園では貴族科の他にも騎士科や魔法科など専門的な学科もあり、そこは貴族のみならず、平民など一般の生徒や才能あるスラム街の子なども入学することが出来る。
「お嬢様、とてもお美しいです。」
「そうかしら?頑張ったかいがありました。」
アリアは見違えるほど綺麗な女性になっていた。
キースとの出会った後にアリアは『静かで優美な女性』になるためにたくさんの努力をした。
礼儀作法もさることながら、淑女のしての振る舞い、そして、美への追求はどこに出しても恥ずかしくないほどまでとなった。
父のクルスもアリアが美しくなることで政治に利用できると思い、支援を惜しまなかった。
「これでキース様の望む女性になれたかしら。」
アリアは5歳の時以来、キースと会うことを拒んでいた。
それは、「キース様に認められる女性になるまでは会わない」と自らにルールを設けていたからだ。
キースはアリアの1歳上の16歳で既にアルカイド学園 貴族科の2年生になっていた。
そのため、アリアはアルカイド学園に入学するのが楽しみだった。
「すみません、貴族科2年生のキース・アルゲイド様をご存知ないでしょうか?」
「あ、あ、キ、キースの知り合いですか?」
「はい、私はアリア・ヒルデハイマーと申します。キース様の婚約者でございます。」
「君があの噂のヒルデハイマー家の……」
アリアは歩いていた制服をきた貴族に話しかけた。男生徒はアリアの美しさに目を惹かれ動揺しながら答えた。
その男生徒はヒルデハイマーと聞くと「ヒルデハイマー家の長女はとても美しい女性」という噂を思い出したようだった。
「それにしてもキースの婚約者って本当ですか?彼は容姿端麗なのに婚約者がいないという噂が学園では流れていますよ。」
「まあ、そうなんですか。キース様は寡黙なお方なのであまりそのようなお話を好まないので、噂が独り歩きしているのかもしれませんね。」
アリアは丁寧に対応した。キースの求める女性像はこのような事では動揺せず、真摯に丁寧に応答するものと思っていたからだ。
「それで、キース様はどこにいらっしゃるのですか?」
「キースなら図書館にいると思います。静かな場所が好きでよくいるのだとか。」
「ご対応いただきありがとうございました。それでは、失礼させていただきます。」
アリアは図書館へと向かった。図書館へは今いる場所からは少し遠く、しばらく歩いていると、目の前からキースとキースの隣には黒髪の女性が歩いていた。
制服の色から、彼女は魔法科の2年生で貴族の紋章はなく、平民と思われる格好だった。
「嘘でしょ……」
アリアは衝撃的だった。クールで寡黙なキースが、隣にいる女性と和気あいあいに笑い合いながら歩いている所に遭遇してしまったからだ。
咄嗟に身を隠し、アリアはバレないように学園から飛び出した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
悪役令嬢の大きな勘違い
神々廻
恋愛
この手紙を読んでらっしゃるという事は私は処刑されたと言う事でしょう。
もし......処刑されて居ないのなら、今はまだ見ないで下さいまし
封筒にそう書かれていた手紙は先日、処刑された悪女が書いたものだった。
お気に入り、感想お願いします!
悪役令嬢に相応しいエンディング
無色
恋愛
月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。
ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。
さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。
ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。
だが彼らは愚かにも知らなかった。
ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。
そして、待ち受けるエンディングを。
田舎娘をバカにした令嬢の末路
冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。
それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。
――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。
田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる