五人の悪役令嬢

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嫉妬②

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 アリアは15歳になり、本国であるアルカアド王国の王都であるアルカイド学園の貴族科へと入学することとなった。


 学園は貴族として礼儀作法から歴史、領地運営など貴族の務めについてを学ぶという口実で貴族令嬢や子息などとの交流をするための場として存在している。


 一方でアルカアド学園では貴族科の他にも騎士科や魔法科など専門的な学科もあり、そこは貴族のみならず、平民など一般の生徒や才能あるスラム街の子なども入学することが出来る。



「お嬢様、とてもお美しいです。」

「そうかしら?頑張ったかいがありました。」



 アリアは見違えるほど綺麗な女性になっていた。

 キースとの出会った後にアリアは『静かで優美な女性』になるためにたくさんの努力をした。

 礼儀作法もさることながら、淑女のしての振る舞い、そして、美への追求はどこに出しても恥ずかしくないほどまでとなった。

 父のクルスもアリアが美しくなることで政治に利用できると思い、支援を惜しまなかった。



「これでキース様の望む女性になれたかしら。」



 アリアは5歳の時以来、キースと会うことを拒んでいた。

 それは、「キース様に認められる女性になるまでは会わない」と自らにルールを設けていたからだ。

 キースはアリアの1歳上の16歳で既にアルカイド学園 貴族科の2年生になっていた。

 そのため、アリアはアルカイド学園に入学するのが楽しみだった。




「すみません、貴族科2年生のキース・アルゲイド様をご存知ないでしょうか?」

「あ、あ、キ、キースの知り合いですか?」

「はい、私はアリア・ヒルデハイマーと申します。キース様の婚約者でございます。」

「君があの噂のヒルデハイマー家の……」



 アリアは歩いていた制服をきた貴族に話しかけた。男生徒はアリアの美しさに目を惹かれ動揺しながら答えた。

 その男生徒はヒルデハイマーと聞くと「ヒルデハイマー家の長女はとても美しい女性」という噂を思い出したようだった。



「それにしてもキースの婚約者って本当ですか?彼は容姿端麗なのに婚約者がいないという噂が学園では流れていますよ。」

「まあ、そうなんですか。キース様は寡黙なお方なのであまりそのようなお話を好まないので、噂が独り歩きしているのかもしれませんね。」



 アリアは丁寧に対応した。キースの求める女性像はこのような事では動揺せず、真摯に丁寧に応答するものと思っていたからだ。



「それで、キース様はどこにいらっしゃるのですか?」

「キースなら図書館にいると思います。静かな場所が好きでよくいるのだとか。」

「ご対応いただきありがとうございました。それでは、失礼させていただきます。」



 アリアは図書館へと向かった。図書館へは今いる場所からは少し遠く、しばらく歩いていると、目の前からキースとキースの隣には黒髪の女性が歩いていた。

 制服の色から、彼女は魔法科の2年生で貴族の紋章はなく、平民と思われる格好だった。


「嘘でしょ……」


 アリアは衝撃的だった。クールで寡黙なキースが、隣にいる女性と和気あいあいに笑い合いながら歩いている所に遭遇してしまったからだ。

 咄嗟に身を隠し、アリアはバレないように学園から飛び出した。



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