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一人目
嫉妬④
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これが読まれているということは私、アリア・ヒルデハイマーは既にこの世を去っていることでしょう。
私は幼少期は父の教えに逆らわずに従順で手のかからない娘として生きてきました。
そんな私は5歳の頃にアルカイド公爵家と政略結婚をさせられるとの事で将来の結婚相手であるキース・アルカイド様と出会いました。
彼と出会い、今まで無色透明だった私の世界に彩りが加えられました。この方が私の結婚相手で心底良かったと思いました。
しかし、私はそんな素晴らしいキース様の隣に立てるほどの女性ではありませんでした。なので、私は彼の横に立っても恥ずかしくない女性になるために努力をしました。
キース様は侯爵家ですから、貴族との交流もあるでしょうから、礼儀作法から毅然とした態度、ありとあらゆる必要な能力を身につけ、彼のような美麗な容姿の方のお隣に立つために食事を制限したりいたしました。
そして、遂に私は貴方の隣に立っても恥ずかしくないほどの女性へとなりました。しかし、そこに現れたのがあの忌まわしき女のクロエです。
貴方は静かで優美な方が好きと仰っていたにもかかわらず、品のない笑い方をして馴れ馴れしく接するクロエを好きになっていると知った時、私の中で貴方への思いは憎しみに変わりました。
あの女さえいなければ、貴方の隣に私が立っていた。
いえ、違うでしょうね。クロエがいなくても貴方は私のことを認めはしなかったでしょう。
私はクロエを殺そうとした時にアルト・パーロックと手を組みました。
その時に貴方のことを知りました。貴方は本当のキース・アルカイドでは無いということを。
本当のキース・アルカイドは小さい頃に難病を患い、3歳の頃に命を引き取ったそうです。
しかし、アルカイド侯爵は息子がいなくなったことがしれれば、自分に何かが起こった時に他の領主から狙われると思い、孤児であった戸籍も名前もない貴方をキース・アルカイドとして育てたそうですね。
貴方の領主は貴族に殺され、貴方は貴族を恨んでいる。そして、皮肉にも貴方は貴族になってしまった。
だから、貴族の私を好きになることはなく、平民であるクロエを好きになった。
そして、私は貴方に殺されたのでしょう。恐らく、アルト・パーロックが私を呼び出し、貴方が自身の手で私を殺めたことでしょう。
アルト・パーロックが私を裏切ったように見えたでしょうが、あれは私がアルト・パーロックにそうするように言ったのです。
貴方の本当の血は孤児であり、貴族ではない。
この国では貴族では無いものが貴族を殺せば、どんな理由であろうと死刑になります。
私はアルト・パーロックと協力して貴方が本当の貴族ではないこと、そして、貴族である私を殺めたことを呼び出される前に国王陛下へと告発しに行きました。
貴方はすぐにでも処刑がされるでしょう。
貴族という身分に縛られ、自由が許されなかった私からは貴方は自由で何よりも美しく映っていました。
そんな貴方やそんな貴方の心を射止めたクロエに嫉妬をしてしまったのでしょう。
私の不自由で歪んだ愛は死で償います。
本当にごめんなさい、愛しています。
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「この者は身分を偽り、キース・アルカイドという貴族の名を語り、その上で貴族である子爵家のアリア・ヒルデハイマーを剣で刺し殺した。貴族偽証罪、貴族殺害罪の2つの罪によって、この者を打首とする。」
後にアルカイド家はヒルデハイマー家とパーロック家に攻められ滅ぼされた。
ヒルデハイマー家は侯爵家になり、アルト・パーロックはパーロック家の跡を継いだ。
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