スキル【鑑定】がいらないと言われギルドを追放されましたが特に問題はありません

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2話 スキル【鑑定】

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「このリンゴもらうよ。」

「まいど!銀貨1枚になるぜ。」

「はい。」



 俺のスキルは便利なもので自分が欲しい情報を鑑定できる。現にこのリンゴは『この中では1番美味しいリンゴ』と鑑定結果が出た。


 今、俺はギルドの拠点だった『シルベニア王国』の王都から200kmほど先にある街『ギリシア』にきている。ここは俺の生まれ故郷だ。



「おいおいおいおい、もしかして、お前ナオトじゃないのか!!!」

「おう、久しぶりだな。」



 この手ぬぐいを額に巻いて、頬に傷があるいかにも大工みたいなやつは俺の幼馴染のだ。



「なんで、こんなとこにいるんだ?もしかしてギルドをクビにでもなったのか!」

「あぁ、そうだ。見事、クビになった。」

「はっはっは、やっぱりお前おもしれぇ。」



 そう、こいつは勘が良くて大雑把なやつだ。特に深いことを考えないが、そのおかげで変な先入観や価値観を持たないのがいいところだ。



「それより、カイトは大工してるのか?」

「あったりめぇよ!お前が俺のが大工っていうから大工始めてみたが、これが本当に面白いんだぜ。」

「それならよかったよ。」



 俺のスキルは『』とまあ、本当に便利なものだ。




「それにしても、なんで帰ってきたんだ?ギリシアにでも住むのか?それなら、家作るぞ!」

「いいや、俺は旅に出ることにするよ。最近は引きこもってばっかだったからな。だから、当分は帰れないから、1回寄っておきたかったんだよ。」

「おう、そうか。それなら、他のやつらも呼んでくるから今日は飲もうぜ!もちろん、お前の奢りな。」

「はいはい、じゃあ、いつもの時間にいつもの場所でな。」



 俺は夜になるまでは自分の生まれ育った街をブラブラ歩いた。


 
「お!英雄!おかえりかい!」

「ナオトくん、この子のことを見てやってくれないかい?」

「おやおや、久しい顔が歩いておるのぉ。」


 

 歩いているとたくさんの人に話しかけられた。それは今も昔も変わらない。




「いやぁ、それにしてもこうやって俺たち4人が集まるのは何年ぶりだよ。」

「3年ぶりくらいだろうな。」

「あの時は3人だったよ。ナオトくんをいれて4人だったのは……」

「子どもの時以来だろうな。」



 俺には幼馴染が3人いる。大工のカイト、薬師のニコ、医者のジンだ。



「それにしても本当にナオトの鑑定はすごいよな。」

「本当だな。俺も医者の世界では天才ルーキーなんて呼ばれてるんだぜ。」

「ふふ、やんちゃなジンくんの天職が医者なんて私たちは思ってもなかったもんね。」

「そういうニコもドジで薬師のような繊細な調合ができると思わなかったけどな。」

「それに比べるとカイトはまんまだよな。」

「確かに、大工さんって感じだったもんね昔から。」



 こうして、俺らは昔話やこれからのことを話しながら一夜をすごした。



「それで、カイトくんにお願いがあるんだけど。」

「ああ、なんだ?」

「旅に行くなら、ある子どもの親御さんを探して欲しいんだよね。」




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