Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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斜め上の更に上にいってた

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 「そのような脅しに屈するサムスプリングでは無いわ!」と自分の横にいたもう1人の手から巻いた紙を取り上げて、堂々と読み始めた。

「私、サムスプリング領主はスサエナ領主ノエルとグリフウッド領主アーノルドを次の事柄で訴える。
一つ,自領のΩを特別扱いしαを蔑ろにした事。
一つ,自領に怪しげな物を作り上げている事。
一つ,怪しげな物をグリフウッド領主との行き来に使い、馬よりも早く物質を移動させてる事。
一つ,近隣領にそれらの何一つを告げず許可を得てない事。
 その他諸々の無礼な行いにより制裁を与え、これらにより不利益を被った者に償いとしてその領土と集められたΩを奴隷として与えられたし。」

 読み終えるともう一度見渡して、フンッと鼻を鳴らした後全員に対して信じられない言葉を言った。

「ここにいる者共全員、無礼者の集まりだ!私の前で下馬も跪きもしないとは呆れて物も言えん!」

 そのまま振り向かず馬車の方へ帰って行った。
……皆、放心状態。治安が良い所でよかったよ…だって護衛兵ですら目を丸くしてるんだもの。


 暫くしてローランドが声を出した。

「あの者は、正常なのか?」

「……おそらくは。」

 絞り出すような護衛兵の声に父が眉を寄せて一言だけ「行くぞ」と言った。
 あーあ、機嫌悪くなっちゃた。

 誰も何も言わない重い空気の中馬を進めていくとローランドが僕達の隣に並んだ。

「兄上、兄上だけが頼りです。」

 はい?どういう事でしょう?って思っているとアーノルドも同意している。チラッと前を進む怒りオーラを出す父を見て僕をジッと見るから…仕方ない。

「アーノルド、父様の横につけて。
父様!其方に移っても良いですか?」

「おお~ノエル、どうした?父の馬が良いのか。そーかそーか、さぁ移りなさい。」

 途端に柔らかい雰囲気に変わって僕を前に座らせた。僕も聞きたい事あるからまぁいいか。
 馬鹿な隣の領主の話は気が進まないけど対策はしないとだしね。

「ねぇ父様、あの人が言っていた事って…おかしいよね?あの中で納得のいく訴えは〔馬よりも早く荷物を移動出来る物を作った〕っていうのだけだと思うんだけど。」

 納得いきませんと不満をもらすと王様としての答えが返ってきた。

「確かに馬よりも早く荷物を運べるというのは軍事的に考えれば驚異的だが、運べる様になる前の段階で時間がかかりすぎる。それを知っていれば驚異的とは言えない。
 ……ノエル、何か恨まれる心あたりはあるか?」

「いいえ。ですがΩの領主が存在する事自体がおかしいと思う者はいるでしょう。僕はΩといえども軽んじられて良い存在では無いと証明したいのです。」

 少し気分が重くなりながら僕が何時も思い悩んでいる事をいうと父親としての行動で僕の頭を撫でてくれた。
 こういう時に本当に僕は周りの環境に恵まれたのだとつくづく思う。
 少なくともあの馬鹿な人が兄弟だったら僕は今頃こうして馬に揺られている事すら無いだろうから。










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