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余計な知恵
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嵐のような鈍痛が去った……今のうちに用意をしないと。
実はこの世界、時計はないけど大きな時間を知る水時計、小さく時間を計る砂時計は存在する。水時計は公園とか庭に設置されていて鐘の音で知らされる。家庭にはいくつか砂時計がありその大きさにより計れる時間が異なるので目的にあわせて時間を計る。
大きな砂時計をセットする四半刻を知るための砂時計だ。
他には~と考えて、出産に望むためのゆったりしたネグリジェみたいなものに着替える。
……波が来た。じっとして耐える…耐える…耐える。ゆっくりと大きく呼吸を繰り返して~ふぅ…乗り切った!砂時計をひっくり返して時間を計ろう。
後の準備は?そうだ!仕事の指示書書いておかないと!
・今回の騒動の決着の詳細と今後の可能性。
・出産にあたり、領へ帰るのがだいぶ遅れる為、人員配置。
・それらに関わる費用の算出。
・デジレ様に任せた交易の詳細。
・寄宿学校の最近の様子と周囲の様子
あれ?結構色々とあるな……僕のお仕事ってこんなにあったっけ?
なんて思っていたら、次の波が!そうだった、陣痛始まっていたの忘れてた!
…吸って~吐いてぇ~吸って~吐いてぇ~。
チラッと砂時計を確認……んん?まだ途中じゃない!ちょっと!思っていたよりも間隔が短いかも!
いや!思い出せ~何分間隔になったらだった?
うーん……いや知るわけないじゃん、前世も男の子だよ!でも、10分以下だったよ!えーと、今の四半刻が30分くらい……この砂時計は今、3分の2だから、20分くらいとわかるから、この砂時計をもう半分の大きさに変えて……これが半分になった頃に陣痛がきたらいよいよだね!
結果から言うね……僕、今ピンチなんだ。
小さい砂時計が半分くらいで波が来たとき、僕の部屋から爺の部屋に伝わる緊急用の配伝管の蓋を外した。だけど蓋の上にはカバー……僕は痛みと戦い中で思うように助けが呼べない。取りあえずはと思って、この波だけは乗り越える方を優先。落ち着いたので呼ぶために蓋を外して、
「爺…爺!」
「ノエル様?如何なさいました!」
「爺…怒らないでねー?」
「怒りませんがどうなさったのですか?」
切羽詰まった僕の呼びかけに慌てて返す声は緊張を帯びたもの。とっさにこれって怒られそうと思い「怒らないでね~」と言ってしまう。でもこの「怒らないでね」も怒られそう……。
「あのね爺、僕…お腹痛い。」
幾分落ち着いた爺の声に僕の怒られたく無いが故の遠慮がちな緊急事を伝えた。
「!す…直ぐに参ります!」
頼もしい爺が直ぐに来てくれると安心したときまた波が襲って来た。
ちょっと!もうヤバい間隔じゃない!なんで!なんで?!
そして今のピンチを迎えている訳なんだけど……爺の何時もとは違う走るような足音を聞きながら、僕の腰…の辺りに何かが嵌まったような感じがして……ヤバい!イキみたい!
実はこの世界、時計はないけど大きな時間を知る水時計、小さく時間を計る砂時計は存在する。水時計は公園とか庭に設置されていて鐘の音で知らされる。家庭にはいくつか砂時計がありその大きさにより計れる時間が異なるので目的にあわせて時間を計る。
大きな砂時計をセットする四半刻を知るための砂時計だ。
他には~と考えて、出産に望むためのゆったりしたネグリジェみたいなものに着替える。
……波が来た。じっとして耐える…耐える…耐える。ゆっくりと大きく呼吸を繰り返して~ふぅ…乗り切った!砂時計をひっくり返して時間を計ろう。
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・デジレ様に任せた交易の詳細。
・寄宿学校の最近の様子と周囲の様子
あれ?結構色々とあるな……僕のお仕事ってこんなにあったっけ?
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…吸って~吐いてぇ~吸って~吐いてぇ~。
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うーん……いや知るわけないじゃん、前世も男の子だよ!でも、10分以下だったよ!えーと、今の四半刻が30分くらい……この砂時計は今、3分の2だから、20分くらいとわかるから、この砂時計をもう半分の大きさに変えて……これが半分になった頃に陣痛がきたらいよいよだね!
結果から言うね……僕、今ピンチなんだ。
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「爺…爺!」
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「怒りませんがどうなさったのですか?」
切羽詰まった僕の呼びかけに慌てて返す声は緊張を帯びたもの。とっさにこれって怒られそうと思い「怒らないでね~」と言ってしまう。でもこの「怒らないでね」も怒られそう……。
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「!す…直ぐに参ります!」
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ちょっと!もうヤバい間隔じゃない!なんで!なんで?!
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