Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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 目を覚ますと体が暑い……重い。出産後の為当たり前じゃないか?いいえ違います。右に赤ちゃん左にシモン……シモンの向こうにアーノルド。因みにアーノルドの腕はシモンの頭上を経由して僕に腕枕。…シモンがサンドイッチされちゃってるよ、気をつけて!それから何でこんな大人数?キングサイズのベッドだからいいけど普通なら落っこってるからね?
 ……皆ぐっすり寝てるから僕が起きると起こしちゃう?

「おはよう」

 僕の身動きで目覚めたらしく聞こえてきた声は……シモン……。そこはアーノルドであるべきじゃない?
僕の身動きで目覚めたアーノルドが優しく朝の挨拶、ご褒美のキス付きで、僕が「子供の前だよ。」というのに対して「まだ寝てるさ。」と返すお約束パターンがほしかったよ。

「かーさま、まだおちゅかれ?」

 ちっちゃな手で僕の頬を撫で撫でしてくれる。僕が「おはよう」をすぐに返さなかったから心配したようだ。

「おはようシモン。……まだちょっと動けないけどごめんね?」

「うん。爺におしえてもらったの。かーさま、しゅっごくたいへん。だからぼくは“いいこ”するの。」

 嬉しくなったのか子供特有のかん高い声に徐々になっていってしまい、慌ててシーッって言ったけど遅かったらしい。

「……良い子は大声出さない。」と大きな手がシモンの唇をムニッと掴むのと赤ちゃんがウミャウミャ泣き出すのは同時だった。
 アーノルドがシモンと一緒にベッドから出たから“朝の甘いイチャイチャお目覚め”はお預けかぁ……と残念に思っていたらシモンを侍女さんに預けてすぐに戻って来てくれた。

 そして僕を抱き起こし、おでこキス!背中の部分にクッションをつめて楽な体勢に。反対側に回って赤ちゃんを抱いて僕に渡す。……流れるような動きなのに常に僕を優しく見つめながら動くアーノルドに思わず照れてしまう。……お目覚めイチャイチャはこういうのも有りだ。なんせさりげないキスも付いてるからね!


 午前中はアーノルドとゆったり過ごした。赤ちゃんの名前を決めたり、αだと確認したりして2人と赤ちゃんの優しい時間だった。
 そしてお昼を挟んだ午後、嵐がやって来た。

「おめでとうノエル!私は本当に良い子をもって幸せよぉ~!!」

 歌うように腕にシモンを抱いたままクルクル回りながら浮かれているのは母様。シモンはキャーキャー言って喜んでるし、母様はこんな感じだし一気に騒がしくなった。そしてそのテンションのまま赤ちゃんの名前が気になるらしく聞いてくる。

「母様落ち着いて。シモンが目を回しちゃう!」

 母様を落ち着かせる為にベッドの横まで来てもらい、赤ちゃんとシモンを交替。首の座らない赤ちゃんを抱いた母様は面白いくらいピタリと動きを止めた。シモンは爺に何か言われてるらしく僕にぴったり張り付いているけど大人しく黙ってる。でも目がキラキラしてるしソワソワと身動きしてるから何か言いたいのを一生懸命我慢しているみたいだ。

「この子の名前は“アンリ”です。」

 アーノルドがそっと告げた。
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