Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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戦勝報告

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 勝敗は1日で決した。油を撒いた直後の降伏勧告で敵側の一般兵はこぞって貴族兵をつきだしてきた。それはもう…「付きだせ」と言ったこちらが可哀想に思うほどぐるぐる巻きにされて付きだされた。

 潜り込ませていたスパイの報告と一致するか調べていくと3人程少なかったが、すぐにどろどろの負傷兵の中から見つけ出せた。先に投降した将兵と合わせて貴族兵は全部で100名ちょっと。以外に少なく思える。しかも最前線に来た事から本当に重要な貴族は10名くらいなものだろう。捕虜として遇して身代金が届いた者は帰して行くのだが、今回はその交渉にデジレ様が出る。おそらくどの家もいろんな意味で真っ青になるだろう。

 気の速い話だが既に王都を出るときに、この戦の賠償について話をされている。それによればデジレ様……フールフーガ側は大陸に港が欲しいというので海側の領土をゴッソリ貰い、半分ずつにしようという事になっている。それにより国土の大部分が砂漠になるポーリシア帝国は自国のみでは成り立たなくなるのは明白で、うちの属国になるだろう。まぁ、訳のわからない言いがかりで攻め入って来たのだから同情はしない。

「……失礼します!
帝国側の一般兵士から陳情があがっているのですが如何致しますか?」

「代表者を5名決めさせ意見をまとめさせろ。明日の朝に代表者と会うとする。」

 向こうの兵士は今、泥だらけか酢の臭いか、油まみれか……どれかなので順番に川で汚れを落とさせている。この作戦、死人は少ないが負傷者は半端ない数だし後始末が大変だ。デジレ様は死者を出すより負傷者が多い方が敵にとって負担になると言っていたが、想定より短期間で勝敗が決まった今はこの臭いがこちら側にも地味にダメージを与える。

 結局、引き上げるまで酢の臭いは取れなかった。そしてこの捕虜の人数が扱いに困った。落とし穴に落ちた者達は怪我が深く動かさない方が良いのでここに仮の病院を用意して収容。この者達と面倒を見るこちらの兵のために捕虜を使い、帝国側から食料を運び込む……山の補強と開拓等、人は必要なのだがそれでも余る。悩みどこだがそれも帝国側と話がつけば早々に解決できるだろう。

「準備が整ったようだ。飛行船部隊は夜のうちにお客様を連れて来るぞ。」

 至極上機嫌の提督がいる。それもそのはず……提督はいつもの手下を連れて飛行船部隊で移動し夜襲を仕掛ける。
……考えただけでも恐ろしい。寝静まった真夜中、城を囲む炎と鬼……敵兵。それも敵にフールフーガの鬼提督がいるなんて嫌だ。

 今日はデジレ様は留守番らしくお見送り体制だ。離れていて聞こえないが、イチャイチャしてるのはここからでもわかる。……早く行ってほしい。

 そして、夜明け前……一つも傷つけることなく飛行船部隊は帝国側の人間を連れて戻ってきた。
……提督はご満足のようで、鬼の笑みがあった。
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