Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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マオ、黙って

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 事態は悪化していく。
母様がコウに「口を塞いだら可哀想よ?」と注意したため自由になったマオはコウに食って掛かった。

「なんでいきなり口塞ぐんだよ!」

「いや~、さすがにダメでしょ。」

「口塞ぐ方がダメじゃん。俺もノエルもネコじゃん。皆知ってるよ」

「大声で言うことでもないだろ。」

「普通の声だった!」

 ……そういう意味じゃない!これ以上ここでギャーギャー喚かれたらたまらないので追い出そうとしたのだが……母様が。

「ああ!そういう意味合いなのね?ネコちゃんって。でもそれならあなたもノエルと同じΩの子?」

「いいえ~。王妃様~、俺はβなんだ。でも提督の船で雑用だったから。」

「まぁ、お兄様の船で?」

 とたんに“スゥー”っと細めた目で母様がコウを見る。なんか回りの温度が下がったかのように思えて背筋がゾクッとした。
 ここで慌てたコウが口を挟んだ。

「誤解なさらないで下さい。このマオは赤ん坊の頃外国の桟橋で拾って以来、船で育ったんです。子供なので出来ることは少なく雑用という位置付けになりましたが、健全な仕事のみでした。」

 おー、コウが焦ってるの珍しいな~じゃなくて。なんで母様がちょっと怒ってる?雑用係が……あ、そうだった。長い航海する船、特にフールフーガは海賊時代の流れから雑用係りは船員達の性欲処理係りの役目もあったんだった。そうか、母様はフールフーガ出身だからその辺りの意味も知っていて幼く見えるマオが雑用と知って怒ったのか。

「母様、母様、マオはいつもはデジレ様のお世話係りなんだよ。」

 マオは成人してるというより、こっちの方が良い答えの筈だ。案の定、「あらそうなの?」と空気が和みマオを見た。

「そうです。いつもはデジレ様のお世話係りしていて、後やってるのはコウの専属だけ。」
 
 ………あぁせっかく和んだのに。
ニッコリ笑ってコウを見る母様の手を引いてちょっと移動した。もうあんな広間の真ん中で出来る話題じゃない。マオも来るの!ローストビーフとチキンの丸焼きは置いてきなさい!
 後ろをついてくるコウの声はいつもと違ってハリがない。

「……王妃、改めて誤解のないようにお願いします。」

「何が?誤解って何さぁー。俺がコウの専属ってホントのことじゃん。」

 ああ、どんどん悪い方へ……。

「あ、あのね母様、コウは本当にマオが好きで他の人にとられたくなくて専属にしたんだって。」

「ンフフー。俺ってば愛されてるから!」

「まぁ、そうなの?」

「エヘヘ、コウは優しいしαだから強いし体力もあるし、最高~。」

 僕がコウはマオを好きだと言うとマオもコウが良いと話しにのってきた。よしっ、これで好きあってるもの同士なので専属で良いという事で丸く納めよう!はい、もうこの話はおしまい!

「だから今日も美味しいご飯いっぱい食べて体力つけないと!コウ、3回くらいじゃおさまんないし。」

 …………。沈黙が辛い。終わらせたかったのに。

「あ、あっちにケーキ来た~。ちょっと行ってくる!」

 …………1人だけ離脱とか。爆弾置いて離脱とか。

「…………ノエル?」

「は、母様…あの、マオは~、マオは……考え無しに喋るのね。自分の興味に沿って考えちゃうの。だから……その……。」

 僕も逃げたい。爺、助けて。
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