Ωの僕がお偉いさん

よく寝ました。

　父様に渋々の承諾をもらい、元気気なると母様への挨拶のために部屋を出た。そして着いた母様の部屋は……ドレスの森？だった。
　もしかして今日は仕立て屋さん呼んで注文の日だったのか？だから僕が来ても飛んで来なかったのかな？

「母様～、ノエルです。」

　ドアが開いたままだったので開いたドアをノックしたのだがドアを押さえてる箱にノック音が遮られてトントンがホトホトになってしまい誰にも聞こえない。しょうがないので入り口で声をかけると対応の侍女さんを追い越して母様が現れた。

　ノエルが言葉を発する前にぎゅぅぅぅ！と抱き締められる。

「私も行くわ！」

　キラキラした目で嬉しさが隠しきれない声で告げられた言葉に？マークを飛ばしていると、後ろから来た爺が説明してくれた。

「お目付け役として着いていかれるそうです。」

　声で爺は遠い目をしているのはわかるよ。でもなんでこの部屋の状況に？

「ノエル様とアンリ様と３人でお揃いになさるらしく……。」

　……どういうこと？

「ノエル､どんなドレスが良いかしら？この海賊風は外せないわよ！？」

　母様が握っているのはもうドレスじゃないよ。完全に海賊姫になる気だよ。いや、昔はそう呼ばれていたんだから戻るだけか。ん？でも今は王妃だから海賊王妃？ナニソレ強そう。

「ノエル様､そうではございません。他にお言葉があるはずです。」

　ハッ！そうだった。僕としたことが部屋の状況にのまれてしまった。

「母様ただいま～。お元気そうですね。」

　ニッコリ笑顔でまずはご挨拶。次いでぎゅぅぅっと抱きついて頬っぺチュー。
さぁ、母様お茶しましょう～。

「そうではございません。いらないところでボケを出さないで下さい。」

　ちょっと爺ったら言い方酷くない？

「無駄よ爺。王様からちゃんとご許可をいただいたわ。ノエルとアンリの暴走を止められる人間は数少ないわよ？」

　……母様の暴走は？と思ったが口には出すまい。どうせ母の暴走は自分ですら完全には止められない。そして厄介な事に先に暴走されると冷静になってしまって自分は止める側に回るのだ。なんにせよ、言い出したら止まらない人だ。
　あー、なんとなく懐かしい標語を思い出した。
『気をつけて◯◯は急に止まらない』この言葉はある意味的確だ。

　ノエルにはこっちも良いわねと出してきた洋服はセーラーだ。ってあれ？それって……もう僕サイズの服になってない？

「いつ帰ってきても良いように数着は用意してるわよ？」

　ああそうなんだ。もういいや、これ以上突っ込むのやめよう疲れちゃう。
　それからの僕は夕方までの長い時間、着せ替え人形と化した。
　ぐったり疲れきった僕を爺が連れ出してくれて部屋へ戻るとマオが寝てた。なぜマオが？

「いや、王様と提督に言われてノエル様にとりあえず船の注意事項を教えに来たんだ。」

　マオの頬っぺたをツンツンして遊ぼうかとしてたらコウもいた。あー、だから珍しくソファーで寝てたんだ。
　マオはスサエナの僕の部屋にあるフワフワ絨毯が大好きでそこに直に寝転ぶんだけどここの絨毯も同じだから1人だったら床に寝てただろう。