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行ってきま~す
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グァーン グァーンといきなりの金属音が聞こえた。
「出港ですよ。」と爺が教えてくれたのでリリーと手を繋いで船の縁に寄る。背の届かないリリーは爺が抱っこしてアーノルドを探した。
「行ってきまーす。」とリリーが見つけたアーノルドに向かって手を降る。僕もアーノルドに手を降った。アーノルドは簡単な手信号で『気をつけて行っておいで、愛してる』と送ってくれた。僕もアーノルドに『行ってきます。僕も愛してるよ』と返す。実はこの手信号、本来使われてる物じゃない。
いわゆるアーノルドと僕、2人だけの暗号のようだ。
「爺、母様と父様は何をしているの?」
リリーは僕たちのしてる合図が不思議なようだ。
「あれは手信号というものです。声が届かない人に体の動きで意思を伝える為のものですよ。」
「そうなの?じゃあ母様はなんて言ってるの?」
「ええと……本来の手信号では無いようですね。おそらくお2人だけの合図でしょう。本来の手信号ではノエル様は『飛んでる夕飯』と言ってるんです。」
思わずブハッと吹いてしまった。は?僕、そんな手信号だったわけ?後で爺に聞いたら『愛してる』は『夕飯』という意味で使ってるらしく、手信号がわかる船員さんは皆怪訝な顔をしていたらしい。そうだよね、録に調べずに決めた事を後悔した。そしてアーノルドもごめんね。『午前に飛んでる夕飯』なんて送らせて。
僅かに桟橋と船の間に水が見え始めた。少しづつ少しづつ離れていっているらしい。
アーノルドは僕の決めた端から見ると変な手信号で『体に気をつけて、ムリはしないで、爺を頼って、子供達の事をよろしく、早く帰ってきて、愛してる』そう繰り返し送ってくれた。
僕もアーノルドに手信号で『行ってきます、爺の言うことちゃんと聞くよ、子供達も心配しないで、愛してる』と返す。声よりも長くやり取りできるとはいえアーノルドの姿がだんだん小さくなって見えなくなればもうやり取りもできない。なんだろうね、この寂しい感覚って。航海予定くらいの日数、アーノルドに会わないななんてざらにあることなのに。この雰囲気が寂しく感じさせるのかな。……爺、せっかく感傷に浸ってるとこに肩をプルプルさせるの辞めてもらえる?
「ノエル様、爺はその手信号を早急に直す事をお勧めします。ノエル様は今『壁に羊を突き刺して夕飯にする』という意味の合図をなさってました。」
……わぁ~お、なんてワイルドな夕飯なんでしょ。ヤバイね。寂しさが吹っ飛んじゃったよ。
さぁ~、この事は忘れてお部屋に行きましょうかね。リリーもちゃんと母様に預けて来ないと。あ、この航海中リリーは母様と同じ部屋になってる。エンジュは僕の隣でお付きの侍女さんが夜は一緒に寝る。昼間は僕やカシスと一緒だね。アンリは実は一人部屋で色んな仕事を見学したりもするらしい。
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いわゆるアーノルドと僕、2人だけの暗号のようだ。
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思わずブハッと吹いてしまった。は?僕、そんな手信号だったわけ?後で爺に聞いたら『愛してる』は『夕飯』という意味で使ってるらしく、手信号がわかる船員さんは皆怪訝な顔をしていたらしい。そうだよね、録に調べずに決めた事を後悔した。そしてアーノルドもごめんね。『午前に飛んでる夕飯』なんて送らせて。
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僕もアーノルドに手信号で『行ってきます、爺の言うことちゃんと聞くよ、子供達も心配しないで、愛してる』と返す。声よりも長くやり取りできるとはいえアーノルドの姿がだんだん小さくなって見えなくなればもうやり取りもできない。なんだろうね、この寂しい感覚って。航海予定くらいの日数、アーノルドに会わないななんてざらにあることなのに。この雰囲気が寂しく感じさせるのかな。……爺、せっかく感傷に浸ってるとこに肩をプルプルさせるの辞めてもらえる?
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……わぁ~お、なんてワイルドな夕飯なんでしょ。ヤバイね。寂しさが吹っ飛んじゃったよ。
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