Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

文字の大きさ
402 / 708

デジレ様

しおりを挟む
 しばらく話をしていたら喉が乾いた。飲み物を……と思ったタイミングで提督がどこかに向かって合図をするとなぜかワラワラといろんな人がボトルを手に集まってくる。
 お酒は飲めないので…と断ろうとするとデジレ様がその人たちを一列に並ばせた。

「ノエル様、この者たちはこの街の外にで果樹園を持ち、果実酒を作っているのだが、新しい商品の開発もしている。それがこのノンアルコールの物で数種類の果汁から作っている。これをぜひ味見してほしいそうだ。そして気に入れば取引をしてほしいと望んでいる。」

 ……ほぅ。ジュースですか?それならばいただきましょう。
 そして僕は8人ほどの人から順に、まず一口分をもらって口に含んだ。

「……酸味が強いですね、渋味もけっこうします。ワインに使うブドウと何を使ってますか?あぁ、ブラックベリーを……。お酒やタバコを飲まれる方ならお好きかと。」

 一人目のは僕は好きじゃない。次は?見るからにイチゴっぽい。匂いもイチゴ……味は……うーん。ただ甘いだけかなぁ。シロップとしては有りかもね。三人目、四人目も五人目も従来品とあまり違いがない。そして六人目、……気に入った!爽やか白ブドウの酸味と柑橘系の甘味のコントラストが良い!

「これ、僕は好きですね。」

 僕が言うと持ち主は喜びを隠しきれずにいる。どうしてこんなに喜んでる?
 それから八人目の人のも気に入った。柑橘系のスッキリとした甘味となによりレモンの香りが良い。……ちょっとアーノルドのイメージと重なって嬉しい。

「気に入った物があったようですな。」というデジレ様の声に瓶を手にしたニコニコ笑顔の人が二人残った。特に気に入ったとか違うとか言わなかったのにちゃんと六人目と八人目が残るのがすごいよね。
……うーん、そーだなぁ日持ちとかもあるだろうからそんなに頼めないけど、南の島に行く途中にも飲みたいし帰るときもほしいし……爺~爺~どこ?ああそこ行く侍女さん、うちの爺に言っといてくれます?「これ欲しい」で通用しますから。

 侍女さんについて去っていく二人の持っていたジュースの瓶はちゃっかり僕の手元に。アルコール飲めないから貰えて良かったよ。こういうパーティーって子供もどうぞといってもお子様メニューなんて用意はされない。僕の開くパーティーが特別なんだってわかってはいるけど……不便だよね。

 テーブルの上に飲み物、食べ物と揃ったところでデジレ様がちょっと合図を送る。すると僕から子供達がいる場所が見える部分を残してササッと目隠しがされた。

「ノエル様にはお話をしておかなければなりません。」

 ……面倒な話でしたら嫌です。と言いたいけど、それは許してもらえなさそうだ。

「その様に硬くなられる事ではない。ノエル殿にフールフーガうちの城にいるΩの者の話を聞いてやってほしいのだ。」

「年は25、男Ωなのだが少々……幼く……年齢通りには見えない。そう……トータをより幼くした感じか。」
 
 提督が言う「うちの城」って……フールフーガの王城の事でしょうかね?何か含みありそうだから離宮にでもいるのかな?でもまぁなんとなく王族なんだろうなと思う。
しおりを挟む
感想 199

あなたにおすすめの小説

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

愛を知らない少年たちの番物語。

あゆみん
BL
親から愛されることなく育った不憫な三兄弟が異世界で番に待ち焦がれた獣たちから愛を注がれ、一途な愛に戸惑いながらも幸せになる物語。 *触れ合いシーンは★マークをつけます。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

処理中です...