Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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新しい友達

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 了承を伝えるとすぐにベールを被った人が案内されてきた。
 デジレ様はその人に何かを伝えると僕の前にその人を座らせる小さな声で

「ノエル様、こちらは王弟のサミュエル様です。」

と告げた。
 デジレ様の声の小ささや目隠しを用意した事から、あまり人と関わるのを回りが良しとしないのか、本人が公の場が嫌なのかはわからないけど僕と会ってると公にしたくないのだと判断して僕も小さな声で自己紹介をした。

「このような形でお会いする事を許して下さい。……その……私は…あまり人が……。」

 なるほど、人が多いのが苦手なお人か。

「はじめまして。私もあまり目立つのは苦手なので大丈夫ですよ。」

 …………なにこの間。デジレ様と提督ばかりかお会いしたばかりのサミュエル様とそのお付きの人までなんでそんな目で僕を見るの?!
 あぁ、サミュエル様のその『そうなの?』って言いたそうな目、母様にそっくり。まぁそうだよね母様は王妹だからサミュエル様とは姉弟だもんね。
 この間が息苦しかったのかサミュエル様は無理やり話題を引き出す。

「……えぇと…私の母はノエル様のお母様と同じなのです。ノエル様のお母様とは本当に姉弟ですので」

 僕もなんとか会話にしなければと思って「本当の僕の叔父さんなんですね!」と、つい言ってしまった。歳が近いから叔父さんとは言ってほしくなかったかなぁと気付いたのは言ってしまった後だ。

 それぞれの思いが困惑した為、ぎこちない空気が流れたが無理やり話を戻す。水を向ければサミュエル様は苦手を推してまでここに来た理由を話した。

「実は…Ωとして貴方にお聞きしたい事がありまして。ですが私は人との関わり方が苦手なため将軍に紹介をお願いしたのです。」

 僕の頭に『人選ミス』という言葉が浮かぶ。なんでこんなよりによってαの中のαみたいな人に仲介を頼んだ?しかも最もΩらしくない規格外のΩに会いに来た?もっとΩらしい人を探しなよ。

「ノエル様でしたらΩの立場で一番良い答えをいただけるのではないかと……」

 と切々と訴えるサミュエル様は見ていてホントに可憐だ。肩までの銀髪がわずかに頬にかかりブルーグレーの目をウルウルさせて手を胸の前で組む姿はなんでも聞いてあげたくなる。
 危うく「なんでも任せて!」と言いたくなるけど注意しなきゃ。……けっこう僕の回りのΩは一筋縄ではいかない人が多いから。

 僕はお手本のような答えを返すしかない。
「私でお役にたてるかわかりませんが、お気持ちを話されれば少しは楽になれるのではないでしょうか。」という答えだ。
 提督やデジレ様もこれはわかっていたのだろう。頷いてとにかく話してみるようにすすめた。

 そうしたら……なんとサミュエル様は提督とデジレ様にΩ同士で話を進めたいので…とお二人を囲いの中から出してしまったんだ。もう厄介ごとの予感しかしない。優秀なアドバイザーもいなくなってしまったとあっては……暴走しても知らないよ~。
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