Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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駆け込み寺じゃないんだよ

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 僕の部屋は大渋滞中だった。最初は朝の件と散歩コースの件を聞き付けたトータが様子を見に来てくれた。それから知らないご令嬢に挨拶をされて逃げて来たサミュエル。その後に“親切な令嬢”に脅されたカドラさんとそれを助けたコウ。そして諸々を聞き付けたマオがなぜか母様を連れてやって来た為だ。

 「あれは絶対に“親切”なんかじゃ無いですよ!」

 「知らないご令嬢が集団で向かって来るんだ。」
 
 「ノエル、変な令嬢に絡まれたって?」

 「……私は貴族籍を持たないので相応しくないと言われたのです。でも私は!……」

 「ノエルって変なのに好かれるよな~。」


 ああああ!ごちゃごちゃと!一編に喋んないで!
面白がるマオは黙ってなさい。トータ、僕は大丈夫でした。ありがとう。母様、ここでそんな物騒な気配は止めて下さい。カドラさん、ちょっと待って下さい、サミュエルを泣き止ませた後で聞きます。

 グスグスと泣いているサミュエルの背中を撫でて紅茶を飲ませ一息つかせると漸く事の顛末を聞き出せた。
 僕の部屋に来る為歩いていたらきらびやかな5人の令嬢が正面から歩いて来たらしい。場所は広くすれ違いは容易だが人見知りを発揮させて廊下を曲がった。運悪くその令嬢の集団も後ろをついてくる形になったので早足で歩いていると何故か後ろにいたはずの令嬢達は正面から歩いて来た。さすがに回れ右して逃げるのは失礼だと思い、我慢してすれ違がおうとした時、令嬢から声がかけられた。

 「ようこそ我が国へ、サミュエル様。昨夜はゆっくりお休みになれまして?」

 と。
 聞いたとたん、僕は「はい??」って思ったよ。この台詞は母様や僕が言うには問題無いけど、他の貴族が言うには問題じゃない?貴族が言うのなら、『我が国』ではなく『エルドゥド』と国名を言うべき。だってその人が納めてる国じゃないもの。我が国と言えるのは本来は父様と母様、アーノルドだけが正しい。僕はギリギリokなのはそれを父様が望んでいるからに他ならない。
 それから、『ゆっくりお休みになれまして?』は令嬢の気にする処じゃない。ましてや異性で婚期前の令嬢ならよけいに。

 この場合、令嬢達がとるべきだったのは『黙ってサミュエルに道を譲って頭下げて通り過ぎるのを待つ』だったんだ。どうしてもお話したければ一番高位の爵位の令嬢が代表で挨拶し、立ち去る。それだけだ。

 あ、母様顔がひきつってる……。はい落ち着いて落ち着いて。あ、出て行っちゃった!
……これから探し出されるであろうご令嬢に南無~。

 「ごめんねサミュエル。」ととりあえず家の国の貴族が…と詫びる。普通にちゃんと育てられればこんな事しないと思うんだけどなんか変な人大集合でもしてるのかしら?
 可哀想に、ただでさえ人見知りで怖いのにそんな先回りする集団に会っちゃ余計に怖いね。
 そうだ、僕も今日の事で以前使っていた王子宮を使う事になったんだけどサミュエルもカドラさんと一緒にそっちに移ろう!昔は王子宮も色々と制限あったけど今は父様が僕が滞在中は僕の過ごしやすい場所として規則とか変えてくれたから!
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