Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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美味しい食事

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 なぜかフーフー鼻息の荒いアーノルドに抱っこされて馬車を降りる。疲れてるだろうから僕が助けたいのにアーノルドは僕をガッシリ捕まえていて降りれない。

 店に入り寛げるようにと用意された大広間に通された。そこはまるで回転寿司屋を連想させるように真ん中が空いていて口の字にテーブルが配置されていた。椅子は木のベンチなんだけどフカフカクッションがひいてあるので座り心地も問題無さそう。……もっとも僕はアーノルドの膝なんで関係ないけどね。いや、降ろそう?
 見回してみればサミュエルもトータも同じ状態。そんな僕たちを見て提督がおもむろにデジレ様を連れて席の移動をはじめた。なぜか離れたボックス席に行ったので「ん?」って思ったけど、デジレ様の頭が背もたれから出たまま下がらないのを見て納得した。提督もデジレ様を膝に抱えたかったんだね。でもここだとデジレ様が恥ずかしがると思って席を変えたんだ。

 呆れ顔の父様達は放っておいてさぁご飯にしようよ!

 大皿にランチプレートのようにもりつけられたご飯が運ばれてきた。そして真ん中のスペースにはこの店の店主さんが陣取り次の皿を準備しては出してくる。最初はサラダやカルパッチョのようなものから肉、魚料理とスープ、ここまでは『お~、こんな店でこんなおしゃれな物が』と思っていたんだけど、次のになったら肉じゃが、金平、高野豆腐等からカツ丼、ステーキ、唐揚げとなんでも出てきた。
たまに胃に優しい物が含まれているのはたぶん追加で頼んでくれた物なのかも。

 「ノエル、次は何を食べたい?」

 膝に居させるだけじゃなく食べさせる事もしたいらしく僕は餌付けよろしくアーンで食べさせてもらっていた。次はどれが良いかなぁと目をうろうろさせていると店主が僕の目の前に『これを食ってみろ』みたいに器を出してきた。それは肉の塊に卵と菜物を添えた……そう、これは!豚の角煮!艶々の照りのある煮汁とこの薫り!思わず涎がにじみ出た。

 「ん?店主、ノエルの前のを私にも。」

 気づいた父様が自分もほしいとリクエストを出した。ところが店主は父様の前にはちょっと違った物を置いた。そして「あちらは甘い。お酒を飲まれる方はこちらだろう」と僕の方に出された物をほんのちょっとと父様好みだろう物を別々に出した。
 この店主さん、良いタイミングで次の皿出してくるし個人の好みも箸の進み具合で把握してるっぽいからけっこうできる人のようだね。それに父様や陛下を前にしてのこの堂々とした接客……もしかしてこの界隈では有名なのか?後で爺に聞いてみよう。

 実は店主はこの時、『失礼な口の聞き方だと無礼打ちされないよな?!大丈夫だよな?!』とドキドキしていたなんて思ってもみなかった。

 「デザートを用意してもらってるんだ。まだ食べられそうか?」

 数種類の柑橘類をゼリーにした物が甘いシロップの中に浮かべて出された。

 「!!おいしぃ~。ん~!」

 スプーンに乗せて顔の前に差し出されたのでついパクっと食べると、甘酸っぱいのに爽やかな甘味が口一杯に広がって……なにこれ、最高~!
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