Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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大騒ぎの寄宿舎

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 ノエルから自分の番に各々が招待状を出すようにと伝えられてから半日、夕方になった寄宿舎の中は上に下にへと大騒ぎだった。いや、揶揄ではなく物理的にも。
 ノエルの用意したお手本は全部で5パターン。一応人数も考えられてか1パターンにつき6枚ずつ用意されたそれはそれでも足りないと、字を真似るのが得意な生徒によって其々10枚に増えていた。そしてA~Eまでアルファベットがふられ生徒達間でよびやすいように工夫された。

 「僕はAの出だしでCの文章の閉じ方にしたよ。」
 「ああ、君らしいね。僕はその反対でCの出だしにしたんだ。」

 等の会話があちこちでされた。そうして出来上がった下書きを翌日の朝が待てない生徒達はまだ学校で書類仕事をしていた校長に突撃して意見を仰いだ。

 翌日の昼、学校を訪ねたノエルは校長の番である保険医の1人にその事を聞き何故戻らせなかったのかと訪ねるとαである人間ならではの答えが返ってきた。曰く『自分の番がこうやって一生懸命自分宛の手紙を悩みつつ書いたのだと思ったら無下にもできず……。』だそうだ。さすがに日付が代わる頃には自分も帰ったらしいが呆れる。


 「ノエル様、上の子達ばっかりズルいです。」

 廊下をホテホテ歩いていたら年少組の子にそう言われた。まだ6才くらいの子なので丁寧に聞いてみると『何かわからないけど皆で楽しそうにしていて新しいお洋服ももらって今度パーティーをすると聞いた。上の子達ばっかりズルい。』という事らしい。
 しまったなと思った。ある程度年齢がいけば理解していたけどまだαもΩも関係ないこのくらいの子から見ればそう感じてしまう事に気づかなかった事に反省する。
 ……ふむ。……………「遠足行こうか?」

 「ほんと?!やった~!」

 大声で「みんな~」と走り去った姿を見てヤバいと感じた。だってまだ思考段階で声を出すつもりじゃなかったんだもの。

 「爺~爺~」

 必殺技、『爺助けて』を繰り出そうと即座に決めて館に走った。



 「はぁ??!……なんて事に。」

 あー、呆れていらっしゃる。ハイ。ゴメンナサイ仕事増やします。

 「……どうなさるのですか?」

 あー、それなんですけど……子供って理屈が通用しないのよね。忙しいし面倒見る人がいないからしばらく行けない…なんて言ってもわからないのよ。
 うーん、どうしましょ?
 
 「あ!」

 良いこと思い付いた!


 「それで……ここに?」

 僕が来たのは校長室だ。

 「そうそう。年長組のパーティーの時って人の出入り多いし警備も大変でしょ?業者も入るし。だから年少組をその時どっかに行かせておけば安心だよね?」

 そう。年少組は通常でも手がかかる。近くでパーティーなんかしてるって知っていて興奮しない訳がない。だからただでさえ大変なときに更にそっちにも気も人も人数を割くのが大変なんだ。でも、居なければ?ちょうどお出かけしてれば?

 「……ちょっと乱暴な方法ですが良いかも知れませんね。正装した年長組にいたずらしたがる小さい子も忌ますからそういう手間が減るだけでも違うかもしれない……。」

 ……僕のやらかし、たまには良い結果になるかも。
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