Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

文字の大きさ
550 / 708

暴走は血筋

しおりを挟む
 さて、いよいよ最大の難関の話題へ。予想されるのは『貴方達、帰国は一緒に帰れるよ』→皇太子発狂するが如くの喜び→僕が大変。という流れだが修正できる見込みは一切無い。

 ええ、僕は諦めた!もしかしたら、案外冷静になるかも知れない……という一抹の望みをかけて。

 「王から結納の話が来ました。」と言ってみた。
1…2…3…4… 皇太子は一瞬理解が遅れたのか4秒の差で声を張り上げた。

 『本当ですか!!』

 いきなりの大声はやめてください。目立ってます!うるさいです!興奮しすぎで鼻息フムッフムッと凄い。もう言葉忘れて天仰いじゃってる。

 

 漸く落ち着いたのは動物園の熊みたいにウロウロしたり意味も話さずいきなりの番になる生徒にキスしたりと迷惑行動を一通り済ませてからだった。
 一抹の望みなんて無かったよ。

 「……お話再開させても?大人しくしてないとこの先の展開無くしますよ?」

 僕がもうめんどくさくなって本音を漏らすと皇太子はスーっと帰ってきて大人しく着席した。そしてお茶を一口……二口……うん、平常心を保ってますアピールしてるけどそれ僕のお茶ね。
 黙って様子を伺っていつ気づくか見てたけど気づかず飲み干したので諦めて続きを話した。
 
 「詳しいことが書いて無いのでその辺の事をお聞きしたいのです。何か話あわれていたのですか?」

 「ええ!ええ!そうです!私が巡り会うことができた愛らしくて可愛くて健気でちょっと心配性で、でもそんなところが……」

 要約すると、大事な大事な番だと報告すると意志が堅いのなら婚約だけでもという流れになり、生徒達の後ろ楯が僕だということで僕に結納を納めれば良いのでは?となり見合う物の選定に掛かったらしい。
 皇太子は「決してがっかりさせませんよ!?」と何か違う勘違いをしているようだがフールフーガからはもうキャラック船という過ぎたお礼をいただいてしまっているのでもうこれ以上は遠慮したいところだ。

 「結納のお品としてガレオン船を二隻と大砲20門、運用人として50人を」

 「まった!まった!まった!」

 とんでもない内容に思わずストップをかけたが皇太子は『?何か問題でも?』という顔だ。
 思い出すようにしていた様子でまだ続きそうだと思った僕は慌ててストップをかける。

 「多すぎですよ!!」

 「いえいえとんでもない!ちょうど西の方の海で船団を盧獲で…………補給したので、新造艦を直ぐに用いなくても良くなりましてね。」

 ……今、虜獲って言ったよね?絶対言ったよね?本当に…本当に、超友好国で良かったと思える瞬間だよ。っていうかまだフールフーガに対して敵愾心をもって来るような船がいたんだ。あんな大きさと機動力を持つ艦隊は見つけたら逃げの一手が当然だと思うけど?

 「ええ、そうなんですよ。提督の隊ではそうなるんですけど今回は練習船を狙って来まして。まぁその練習船の艦隊に負けたのはお笑い草ですよね。」

 ………………。練習船の艦隊に負けたんだ。
恥ずかし!!恥ずかし過ぎて本国に身代金払って自分達を帰国させて下さいって連絡出せないじゃん!
……ああ、だから船も人も余剰が出来すぎたんだね?
 

 
しおりを挟む
感想 199

あなたにおすすめの小説

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話

降魔 鬼灯
BL
 ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。  両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。  しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。  コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。  

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

愛を知らない少年たちの番物語。

あゆみん
BL
親から愛されることなく育った不憫な三兄弟が異世界で番に待ち焦がれた獣たちから愛を注がれ、一途な愛に戸惑いながらも幸せになる物語。 *触れ合いシーンは★マークをつけます。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...