Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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優しさが痛い

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 翌日の僕の散歩コースには貴族が溢れていた。 いや、昨日のことで文句を言いに来ている訳じゃない。
『自分には関係の無い事と見ない振りをしていた』
『当時の有力者が怖くて何も知らない振りをした』
『何も考えていなかった』
 等々理由の後に謝ってきたのだ。
  
 特に当時の恨み辛みを引きずっている訳じゃないけど謝罪を受け今まで通りくらいのことはすると説明する。
 まぁ予想はしていたけど、僕の返事でこの貴族たちも2パターンの考えでここに来た事がわかった。
・宣言した事でこれからの恩恵が全く無くなる事を危惧した貴族
・幼い僕に同情し素直に謝りたかった貴族
 といたわけだけど、前者は明らかにホッとしてこれからやろうと思ってる事で自分達が携われる事がないかと探りをいれている。後者は僕が家族と過ごす時間を気にしてくれた。

 そんな中、あの母様のお気に入りの侯爵夫人が来てやっぱりの謝罪と意味不明のプレゼントをくれた。

 「ねぇ爺?この房飾りの凄いヒラヒラ扇子は何だと思う?」

 自室でもらった箱を開けるとそこには真っ白なレース布で作られた扇子があったんだけど、この扇子のオプションが凄かった。扇子の上の部分あるでしょ?仰ぐと顔の方にくる辺のところ。そこにはキッラッキラしたビーズが縫い付けられていてバランスが悪い。そして手元のところにはカーテンタッセル?!と見間違うような房飾りとレースリボンが幾重にもつけられていた。

 実用からは程遠く、センスの欠片もなさそうなバランス最悪の扇子……。(あ、センスの無い扇子ってシャレじゃないからね?まだそんなオヤジギャグ言わないよ?)
 送られた意味も用途もさっぱりわからず僕は頭を悩ませた。

 「おや、これはこれは……とても良い物を贈っていただいたようですね。」

 扇子を見せたとたん爺はとても柔らかい笑顔で笑い、嬉しそうに眺めていた。

 「覚えていらっしゃらないでしょうがこれはノエル様が大好きだった扇子ですよ。」と懐かしそうに言う爺を『……え…これ?』という思いで見つめた。

 「ノエル様はとても穏やかであまり泣かないお子様でしたが一度泣き出すと必ず愚図って泣き疲れるまで泣くんです。普通のお子様でしたら多少は泣かせて体力をつけさせるのですがノエル様の場合はお熱も出されるのでなんとか泣き疲れる前に止めたかったのですよ。」

 ……でも……その理由でなんでこの扇子なの?

 「お小さい頃のノエル様はレースの扇子で風を送ってもらうのが大好きでして、そこに玩具代わりによく触っていた房を付けたのです。それを見たノエル様はお笑いになられまして……。」

 だけどそれに慣れた僕はまた泣き出すと止まらなくなった。なので僕の好きな物を1つづつ足していった結果がコレですか…。

 「ノエル様が大きくなった頃、侯爵夫人は何かの折にこの扇子を下賜かしされたのですが、ご家族で過ごされた思いでの品としてお返しなさったのでしょう。」
 
 ……そっか。この扇子は……。……侯爵夫人、お気持ちは嬉しいです。……うん、僕のセンスだった。
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