Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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問題はここです

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 さて、今日のお見送りが一番問題です。
そう!フールフーガ行きご一行様のお見送りです。
なお、昨日の鼓笛隊は今日も出動するらしい。
 いっそのこと管楽器とかも入れてマーチングバンドにしたらどうよ?

 さてさて今日はフールフーガ関係とあってサミュも来るしお迎えで提督が来る。もうグリフウッドには入港していて朝方向こうの駅を出たからもうそろそろスサエナの駅に汽車が来る……あれ?なんか嫌な予感が?
 いやいやいや~、そんなはずはないよ。頭上からフォンフォンフォンフォンなんて風を切るような音なんて無い。無いったら無い!


 「ノエル様現実逃避中に畏れ入れますがいいから来て下さい。」

 爺の呆れ声が届く。僕が両耳をふさいで外を見ないように蹲っていたからだ。爺は『わかってるんでしょ、聞こえない振りしてないで対処にあたって』と言ってるんだ……あぁやっぱり飛行船だ。


 「ノエル様……大変申し訳ない。」

 眉間にしっかり皺をよせて額に青筋を浮かべるデジレ様がそこにいた。
 爺によばれ諦めて飛行船発着場へ行くとそこには満足げな提督とこのデジレ様がいたのだ。

 僕を確認するなり挨拶もそこそこに「経緯の説明をしたい」と言うので僕の執務室へ通す。

 「王から陛下へ贈られたのだが何か聞いていらっしゃいますか。」

 簡単な一言だったけど経緯の全てが詰まった言葉に僕も頭を抱えた。
 僕の様子でデジレ様も全てを理解し大きなため息が出る。

 「時系列順に申し上げよう。先日王より陛下へ親書という名の密書が届いた。」

 ……それはもう密書で良いのでは?どうせ影が持ち込んだ親書でしょ?もう密書で良いよ。

 「王は儀礼的な事は全部すっ飛ばし、サミュエル様輿入れの返礼と称して飛行船を贈る用意をしていると……。」

 うん、ダメだねそれ。もう手続きとかで時間稼いで抑えとく事が出来ないくらい浮かれるよね。

 「密書を見た陛下は直ぐに『欲しい』と返事を返したらしく……」

 待って、デジレ様の言い方だと外交員通して無いようですけど?

 「通しておらぬ。その場で密書を渡した者に『欲しい!』と言伝てしたらしく……。」

 ……うわぁー。うちの父様も父様だけどそっちの陛下も陛下だよ。

 「……ああ、そして何も周りに話すことなく陛下はその場で受け取り日等を決めて」

 待って!!……え、まさかのまさか?
え、っていう事は……?
 僕はチラリと発着場に止まる飛行船を見た。

 「ああ。私が気付いた時は飛行船は海を越えフールフーガの砦の上で陛下を乗せて浮いていた。」

 ……えっともしかして航海中で居なかった?その隙をついて?でもなければ注意深くってアンテナをあちこちにちらばせてるデジレ様の目を盗むなんて出来っこないものね。

 「……すまない。……あの日あたりは……セオに…。」

 あ、言わなくて結構です大丈夫です理解しました。じゃあ提督は知っていたな。
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