Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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類友

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 爺から事情を聞いた。最近ちょっと爺が忙しそうでザサの姿すら見えなかったので何かあったのかと心配になったのだ。
 やっと大きな騒ぎが収まり落ち着いたがもう半年と少し先にはサミュとローランドの成婚式が控えている。だからここら辺では領内の仕事をまとめて片付けておきたいところだ。
 だから領内の作物集計やら交易の成果やらを見直したりと真面目にお仕事をしていてちょっと人手が欲しいと思って借りたかったんだ。

 でもサミュの大冒険……いや、サミュがそう前向きになるのは良いことなんだよ?なんならもっと外を知っても良いくらい!
 しかしその結果、影の人達は気絶するような臭いの汁を被り、その臭いを取るために山奥で毎日滝に打たれている…そう聞いちゃったら…ねぇ?
 哀れ。不憫。

 まぁそんな訳で人員補充ならず、今日もお仕事頑張ります。


 「ノエル~来たよ~」

 底抜けに明るいトータの声がした。今日からしばらくこっちに居てもらう予定なのだが別に遊びに来た訳ではない。

 「トータお疲れさま~、色々と大変だけどよろしくね~。」

 トータの乗った馬車がついたので迎えにいく。今日からトータは成婚式までこちら住まいなんだよ。一応、嫁に行くというていを取る為だ。前例を見れば愛人枠の人が妃になる際は実家に一度戻り送り出されるしきたりなんだけどトータに実家はないし一応貴族の名前を持たせるための養子縁組先はあるけどお断りされた。
 なぜなら養子縁組先は事なかれ主義を代々貫き通して地味で有名な地方の伯爵家だからだ。今回養子縁組をしてもらうにも条件があり、養子縁組をしても『一切の関わりを持たない』という事だった。なんでも先祖からの教えが [長生きしたくば目立たず小さな幸せを大事にせよ] だそうで、今回の養子縁組で得たあちら側の利益は向こう20年の税金減額と道の整備を国がするという事だけだ。
 事実上の正妃、対外的に即妃となるトータの実家にそれだけではダメでしょ…って思って汽車でも通そうか?と聞いたところ真っ青になって否定された。
 本当に欲のない人達だ。ウンウン。

 「さっそくだけど、部屋で荷物解いておいで~それからお茶にしよ?」

 先に荷物は運び込んであるから何処にしまわれたか見るだけなんだけどね。

 「ありがとう~、あ、途中の市場でなんだか珍しい果物?あったから買って来たんだ~。爺やさん~馬車の中にあります~。」

 あら嬉しい。爺~取ってきて~。


 馬車の中にあった木箱の中に鎮座した果物は例のトークトーン……見つけた爺はそっと持ち上げ始末した。
 (類は友を呼ぶ)そう一言、一緒にいた他の侍従にトーントーンを見せて洩らしたという。
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