Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

文字の大きさ
627 / 708

僕らって溺愛されてるから

しおりを挟む
 翌朝、なんとサミュは僕の隣で寝ていた。

 「……なんで?アーノルド?」

 目覚めた僕の第一声がそれでも不思議はないだろう。だって予定では一度皇太子妃の寝室に入り、秘密の通路を使ってカドラさんとローランドが入れ替わり翌朝また入れ替わって出てくる筈だったじゃない。それがどちらとも居ずなぜ僕のベッドで寝てる?

 「あ、ノエル様おはよーございます。今日は良い天気ですよー。」

 なんでもないかのように入ってきてカーテンを開けるザサにサミュを指差すと、昨晩カドラさんに連れて来られたらしい。
 
 「ああ、カドラさんと一緒にいたらしいのですけどカドラさんが宴席に呼ばれまして……」

 「宴席って御披露目の後で大人のα達が集まってるというあの?」

 「ええそれです。真夜中過ぎだったので起こすのも可愛そうだとそっとお連れになりましてアーノルド様を連れ出してサミュエル様をお隣に入れました。」

 どちらも起きないんですもん。と笑うけど起きて入れ替わってたらビックリするでしょ。

 「まだ居るってことはお迎えに来てないの?」

 「それが……威圧の余波を受けられまして。」

 「はぁ!?威圧?」

 なぜ威圧を受ける?え、もしかしてカドラさんがサミュの番でいる事が了承できないない人がいる?宴席で酔った人から難癖付けられた?
 僕の顔色が悪くなったのかザサは焦って「違います違います」と手を振った。

 「めでたいめでたい!と騒ぐ老人達をフールフーガの陛下が宥めたのですが酔った勢いというのでしょうか1人が『カドラという男は巧くやりおった!』と暴言ともとれる事を言いまして……。」

 ああ、それで威圧を?

 「いえ、それを静めるために侍従がカドラさんを呼びに行ってしまったんです。で、カドラさんは自分が関わってる事なので出て行ったのですが、アーノルド様も行きましたよね?アーノルド様は平民出身と言うことで暴言を吐かれない為に自分がカドラさんを擁護すると一緒に行ったのですが……陛下と王様が威圧を出されました。」

 は?陛下と父様が?
ちょっとそのところ詳しく。

 「ええと。陛下と王様は『αであれば番の重要性も解るだろう』と諫められていたのですが侍従がカドラさん呼び出してしまい、更にはアーノルド様まで来てしまったことで『体調を崩すほど疲れた者の番を引き出すとはどういう事か!』と怒られ原因を作った方々に威圧を出されたんです。で、その時に王様もノエル様を置いてまでアーノルド様が出て来なければならないと思われる状況を作ったその方々に威圧を出され……。」

 アーノルドもカドラさんも優性αではあるものの父様と陛下という特級αクラス?の威圧は辛いと。

 「ええ、陛下も王様もお酒が随分入ってましたし男性αの血縁者だけという一種の無礼講のような会場で気も緩んでいらしたらしく威圧も凄かったらしいです。」

 ……はぁ。なるほど解りました。ん?ということはアーノルドは?カドラさんは?
しおりを挟む
感想 199

あなたにおすすめの小説

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

愛を知らない少年たちの番物語。

あゆみん
BL
親から愛されることなく育った不憫な三兄弟が異世界で番に待ち焦がれた獣たちから愛を注がれ、一途な愛に戸惑いながらも幸せになる物語。 *触れ合いシーンは★マークをつけます。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

処理中です...