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デジレ様が悪役令嬢のよう
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ある日の王宮の庭園では兵士が青ざめる事件がおきていた。
清々しい朝の空気の中デジレ様は提督と一緒に朝の乗馬に向かう途中だった。そこに1人の令嬢が近づいて来てデジレ様に向かって言い放った。
「私、リーシア·メディと申します。メディ伯爵家の次女でございます。」
ここまでなら非礼ではあってもこの令嬢本人が何かに焦って挨拶をしにいった(大抵の場合は取り入って実家の支援をしてもらいたがる)ぐらいで寛容にすませる。この色々と目立つ御仁達はこのようなことは度々あるので一々目くじら立ててはいられないのだ。
挨拶をすませて自分を印象付けられたと満足して立ち去ると思われるので周りも『マナーがなってないヤツ!』というくらいで済ませてしまうのが常だったのだがこの日の令嬢は立ち去らなかった。そればかりか堂々とした態度で言い放った。
「デジレ様、貴方様はいい加減に去られるべきではありませんの?!提督は後継者を求められるお方ですのよ!」
と食ってかかったのだ。
それを見聞きした周りの(主に見回り中の兵士達と朝早くから働く庭師)が顔を真っ青にした。
泣く子も黙る鬼神提督の唯一無二の存在がデジレ様というのは両国共の認識だった筈なのに……。
周りから一切の音が無くなった時、デジレ様本人が口を開いた。
「ほぉ…、オマエの後継に口出しをする者が居たとはな?」
薄く笑う口元に対して目は笑っていない。
オマエと提督を見てちょっと思い返した様子のデジレ様は令嬢の方を向き鼻であしらいはじめた。
「伯爵家というのはどの様な位置にあったか?我等は国外の王族になるのだが解って居らぬのか?残念なのは佇まいだけでけっこうだ。」
はじめから敵にもならない小娘と扱い、片手であしらわれる様は周りに失笑を伝染させた。顔を青ざめさせていた兵士も相手にもされない様子を見て小さな笑みが浮かぶ。
しかし当の令嬢は馬鹿にされたのだけは理解できたのか顔を真っ赤にして怒った。
「なんて失礼なの!レディに向かって!お子を産んでもあげられないクセに!」
「ご令嬢、いつセオと話したのです?セオが自分の血を継ぐ子を欲しがったと?フールフーガの何を知っていると?狭い自分の世界に当て嵌められては迷惑この上ない。」
バッサリ切り捨てたデジレ様はそのまま城の侍女を呼び寄せ『頭が悪いようだから医者にみせろ』と言い追い返した。
この事件は飛行船で到着した次の日の出来事なのだが、この頃ノエルとアーノルドは城に到着したばかり。疲れ切ったノエルがこの一報を受けてシクシクと静かに泣き始めたのだが周りも同じく泣きたい気持ちでいっぱいだった。
清々しい朝の空気の中デジレ様は提督と一緒に朝の乗馬に向かう途中だった。そこに1人の令嬢が近づいて来てデジレ様に向かって言い放った。
「私、リーシア·メディと申します。メディ伯爵家の次女でございます。」
ここまでなら非礼ではあってもこの令嬢本人が何かに焦って挨拶をしにいった(大抵の場合は取り入って実家の支援をしてもらいたがる)ぐらいで寛容にすませる。この色々と目立つ御仁達はこのようなことは度々あるので一々目くじら立ててはいられないのだ。
挨拶をすませて自分を印象付けられたと満足して立ち去ると思われるので周りも『マナーがなってないヤツ!』というくらいで済ませてしまうのが常だったのだがこの日の令嬢は立ち去らなかった。そればかりか堂々とした態度で言い放った。
「デジレ様、貴方様はいい加減に去られるべきではありませんの?!提督は後継者を求められるお方ですのよ!」
と食ってかかったのだ。
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「ほぉ…、オマエの後継に口出しをする者が居たとはな?」
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