676 / 708
デジレ様の災難
しおりを挟む
大分僕の質問に答えをもらって一番大きな問題、リリーのお披露目について聞こうと思った時、侍従が知らせを持って来た。
本来なら爺が知らせを受け取って判断をするだけなのだが僕を見て『非常事態』と目で告げた。
爺が非常事態ということは滅多に無い為、爺に「知らせは?」と水をむけた。
「お話し合いの途中ですが、至急お願い致します。提督とデジレ様のお部屋に賊が入り込みました。」
「「「「「賊!?」」」」」
一斉に反応した僕等は視線も一気に爺に向けた。特に父様は『有り得ない』と表情に出ているしローランドは立ち上がってしまっている。
一方でコウとマオは『フーン』と平然としてるしサミュも意外と落ち着いている。
「賊は捕らえられておりますが前代未聞の事態でして先ずは提督とデジレ様にお戻りいただき、お部屋の確認をと思うのですがいかがでしょうか?」
……前代未聞…ね。確かにそうだけど、部屋の確認に要人を戻すって普通はないけど?あ~、でも提督だもんなぁ何かあっても対処が人一倍早いか?いやでも毒とかトラップが仕掛けられてるとも解らない部屋に戻すのは……。
そう僕も思っていたけどローランドが僕より先に
「何があるか解らないから先に入るのは…」と発言した。
それに対して爺は何故かデジレ様に体を向けて「どの者でしたらご許可いただけますか?」と聞いている。
ピクンっと小さく体を揺らしたデジレ様は珍しく目が淀んでいて何かを堪えているように見えた。
「マ…マオに」
と掠れた声で指名するが殆どの人間が『いや、マオだけじゃ不安だわ』と目で語ってる。勿論僕も。
「…あの、デジレ様?オレも大丈夫でしょ?」
おかしいな?という表情でコウがデジレ様に自分もだよね?と聞いてもデジレ様は直ぐに頷かない。あくまでもマオだけが良いようだ。
…………ここらへんで皆が納得した。
マオだけ。マオは昔からデジレ様のお世話係をしている。普通とは違うお世話係……つまり事後のお世話。シーツを替えたりタオルを替えたり、デジレ様の体を綺麗にする提督に湯を運んだり等もあるらしい。
なるほど。お部屋に賊→荒らされる→人目を憚る物が有る→回収したいでしょ? という爺の優しさが先ず提督とデジレ様を部屋にという事だったのね?
「爺、賊は捕らえられているって?」
部屋の微妙な『察し』の空気を変えるべく賊の正体を聞くと別の意味で目を剥いた。
「賊はメディ伯爵家次女リーシア嬢です。お留守に部屋に忍込み部屋を荒らし寝台に居た処を捕まりました。」
………………はい?…え?…え?今なんて言った?
爺の言葉が全てをストップさせ、母様さえ目を見開いて爺を見ていた。
「その際、提督のお衣装を下敷きにしデジレ様の寝衣を纏いあられもない行為をしており……」
爺の続けた言葉に全員が絶句した。
本来なら爺が知らせを受け取って判断をするだけなのだが僕を見て『非常事態』と目で告げた。
爺が非常事態ということは滅多に無い為、爺に「知らせは?」と水をむけた。
「お話し合いの途中ですが、至急お願い致します。提督とデジレ様のお部屋に賊が入り込みました。」
「「「「「賊!?」」」」」
一斉に反応した僕等は視線も一気に爺に向けた。特に父様は『有り得ない』と表情に出ているしローランドは立ち上がってしまっている。
一方でコウとマオは『フーン』と平然としてるしサミュも意外と落ち着いている。
「賊は捕らえられておりますが前代未聞の事態でして先ずは提督とデジレ様にお戻りいただき、お部屋の確認をと思うのですがいかがでしょうか?」
……前代未聞…ね。確かにそうだけど、部屋の確認に要人を戻すって普通はないけど?あ~、でも提督だもんなぁ何かあっても対処が人一倍早いか?いやでも毒とかトラップが仕掛けられてるとも解らない部屋に戻すのは……。
そう僕も思っていたけどローランドが僕より先に
「何があるか解らないから先に入るのは…」と発言した。
それに対して爺は何故かデジレ様に体を向けて「どの者でしたらご許可いただけますか?」と聞いている。
ピクンっと小さく体を揺らしたデジレ様は珍しく目が淀んでいて何かを堪えているように見えた。
「マ…マオに」
と掠れた声で指名するが殆どの人間が『いや、マオだけじゃ不安だわ』と目で語ってる。勿論僕も。
「…あの、デジレ様?オレも大丈夫でしょ?」
おかしいな?という表情でコウがデジレ様に自分もだよね?と聞いてもデジレ様は直ぐに頷かない。あくまでもマオだけが良いようだ。
…………ここらへんで皆が納得した。
マオだけ。マオは昔からデジレ様のお世話係をしている。普通とは違うお世話係……つまり事後のお世話。シーツを替えたりタオルを替えたり、デジレ様の体を綺麗にする提督に湯を運んだり等もあるらしい。
なるほど。お部屋に賊→荒らされる→人目を憚る物が有る→回収したいでしょ? という爺の優しさが先ず提督とデジレ様を部屋にという事だったのね?
「爺、賊は捕らえられているって?」
部屋の微妙な『察し』の空気を変えるべく賊の正体を聞くと別の意味で目を剥いた。
「賊はメディ伯爵家次女リーシア嬢です。お留守に部屋に忍込み部屋を荒らし寝台に居た処を捕まりました。」
………………はい?…え?…え?今なんて言った?
爺の言葉が全てをストップさせ、母様さえ目を見開いて爺を見ていた。
「その際、提督のお衣装を下敷きにしデジレ様の寝衣を纏いあられもない行為をしており……」
爺の続けた言葉に全員が絶句した。
226
あなたにおすすめの小説
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
愛を知らない少年たちの番物語。
あゆみん
BL
親から愛されることなく育った不憫な三兄弟が異世界で番に待ち焦がれた獣たちから愛を注がれ、一途な愛に戸惑いながらも幸せになる物語。
*触れ合いシーンは★マークをつけます。
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる