Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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提督のため息

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 場の空気を破ったのはマオの大笑いだった。
ポカンとしたマオは理解するとお腹を抱えて引き笑いを出すほどケラケラと笑いデジレ様のげんこつで黙らされた。
 マオにとっては笑い事だけど他の人間からすると笑い事では済まない。先ず、父様母様ローランドにしてみれば城の警備面からその問題の令嬢の……ってあれ?その令嬢ってこの間デジレ様に絡んで追い出した人じゃない?

 「その令嬢は今は?」

 母様からすっごく冷たい声がした。……あー、身内だけのせいか表情繕うのやめて般若になってる!!
 これはヤバい!

 「はい、今はその辺の袋を着させて拘束しておりますが何か薬を使用したようでして正気ではございません。
 私が確認して参りますので……どなたかご一緒に参られますか?」

 「私が」と青い顔で進み出たデジレ様と支える提督と一緒に爺が退室した。……うん、まぁなんとか体裁を整えてはいるけどバレバレです。おそらくデジレ様達のお愉しみのお薬を量を間違って使用して飛んで行ってしまってるのだろう。

 「えっと…何が目的なのかな?」

 僕の独り言は意外と部屋に響き、ローランドが答えてくれた。

 「今の若い貴族の間ではデジレ様の婚姻は政略的なものだと言われているんだ。α同士で古い友人であった2人に国が頼んだ形だと。親友同士の愛国心に満ちた美談にしている。勿論、本当の婚姻の経緯は全て記録にあるし大方の貴族は本当の事を知ってるのであくまでも『想像遊び』の範囲だったはず…。」

 「その想像遊びの物語を本気にしておかしなヤツが出たって事?
 その令嬢ってのはあくまでも想像上の物語の中の提督に惚れてデジレ様より自分が相応しいわ~って思い込んだっていうのか?アホか。」

 身も蓋もない言い方でマオが引き継いだ。間違ってる解釈じゃないけどもうちょっと言い方をどうにかしてほしいと思っていた処に僕の後ろからのチョンチョンと袖を引かれた。後ろにいるのはサミュ……どうしたの?顔が紅い?
 え、その物語知ってる?サミュも読んだ?侍女が確認の為に持ってきたって!?

 サミュの元に侍女の一人が『こんな本が一部の令嬢の間に広まっています。抗議するべきでは?』とつい最近持ち込んだようだ。サミュは読んでも『荒唐無稽こうとうむけい過ぎて、物語でしか有り得ない。令嬢というからには教育をキチンと受けているのだろうから物語として受け取っているだろう』と判断したらしい。

 そこへ提督が帰ってきたのだけど、それはそれは大きなため息をついて「デジレがキレた」と……。
 珍しく困ってる様子の提督にマオはコウの後ろに隠れ
「オレ知らねぇから!絶対知らねぇから!」とブツブツ言っていた。

 何事?と爺を見ると爺は僕に「デジレ様のお怒りは激しくは無いのですが長いのです」とウンザリした声を隠すこと無く教えてくれた。
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