4 / 24
俺の学園生活、そして趣味
学園の時間
しおりを挟む
ダダダダダダ……ッ。
「よし、沙幹、バトン取って!」
「おう!」
体育祭のリレーに向けて俺たちは体育館を走るだけでなく、バトン渡しまで練習をしていた。ウチの定時制学園にはグラウンドが無く、体育館も運動公園などの施設のを借りて行わせて貰っている。俺たちの学園にあるのは定時制学園という名の、グラウンドが駐車場になり、体育館は老朽化のために撤去された、廃校舎や専門学校などのリサイクル施設という建物だった。
まあ、それはそれとして、こうして体育祭の練習をしているのだが。
「ぜー……ぜー……っ。あ、足腰が……。」
俺は自分のリレー区間を全力疾走しただけで息切れしていた。グラウンド一周ぐらいなのだが体育館でもそれは広かった。学園生は体力があると、改めて実感したのと。俺はそっち側の人間じゃなかったし社会人になってそれは増していたこととかも改めて実感した。ホント、来られるだけで凄いんだって。学園って。
「大丈夫っスか?」
「ああ、うん。日ごろの運動不足なだけだから……ありがとね。」
俺は気のいい、若いあんちゃんに声を掛けられて相槌を打つ。
「スポドリとかタオルとか持ってこないとっスよ。」
「へー。それもそうだね。」
定時制だからか、フリーターっぽい、人当たりもいい、好青年のような人とかもこういう所に来るんだなと思って話を聞いていた。
「あれ、何で俺がこういう所に来ているの? って顔してます?」
「あれ、そう見えた?」
俺の顔を見ながら青年が確認してくる。
「そりゃー学園生時代はバカすぎて授業が理解できなくて。
ロクに高校に通えなかったウチに落第したからに決まってるでしょー。
中卒は不利だから合間を見てここに来ることにしたっス!
フリーターならやってけそうなんスけど、やっぱり学歴で振り落とされる職場もあって。」
「あ、そうなんだ……。」
俺と関わる人は話も人も面白いのに、ジュブナイル学園物では出せそうにない人(含む自分と碧)の話を聞くなあと思っていると。
「あと、大学にも行ってみたいっス!」
「おお、いいじゃん。どこに行くの?」
「とりあえず経営学と法律と確定申告とかの税制教育がやれるところっス!
そしたら会社経営とかも自営業でやれるっス! 仕事の範囲も増えるっス!」
「意外と現実的だね。」
そして勉強したい内容は、社会人が社会に出る前に教わっておけばよかったと、とてもよく思うような内容だった。
「俺、高校の頃は勉強大嫌いだったんですけど、働くようになって働く人を見ていたら。
やりたいことが見つかったっス! 起業したらお兄さんも誘うっスよ!」
「うん、ありがとー。」
俺は好青年と雑談をしていたが、こういう所に来る人は子供の頃に学び損ねて掴めなかった将来を掴みなおしに来るんだよなと改めて思っていた。そしてとっても爽やかで眩しかった。
「青春ってこういう形でも立ち会えるんだな。それならそれでいいか。」
俺の思っているジュブナイル学園物とは違う形になるかもしれないが、青春の資料は得られたような気がする。
「なんだなんだ、そういう気持ちで来ているのかい?」
「っス! お疲れ様っス!」
「あ、どうもです。」
好青年と喋っていたら、今度は年配の男性に声を掛けられた。
「さっきはどうしてここに来ているのかって話をしていたみたいだけど。」
男性が確認してくる。
「っスよ。平たく言うと定時制学園に通って、大学まで行けるようになりたいっス。」
「ふむふむ。私もここに来る理由があってね。」
今日はやけに身の上話を聞かせて貰える日のようだ。
「私も不登校で学園に来られなかったのだが、ようやく定時制学園に通う事にしてね。」
「はー。みんな不登校って経験、あるんスね。」
「そりゃああるさ。」
好青年の相槌に男性が頷く。
「君みたいな若い子が、もう一度、学び直しに来ているのかと思うと私も負けてられないと思うよ。」
「俺でよければ、やる気、出してくださいっス!」
「ははは。ありがとう。」
好青年が実に爽やかだった。
「そういえば、どうして君はここに来ているのだい?」
俺の方にも年配の男性から確認が来た。
(うーん、どうするかな……。)
俺の話をしても変に目立ったりしないか心配だったりもした。小説などの創作活動に、学園に通って一通り、集団行動や行事もしたっていう実体験が欲しかったと言って、どういうリアクションが来るか。
「えっと……時期的に学園に通うって言うのを経験で知らなくて。やってみたかったんです。」
「君はそのくらいの年代だったのか。」
「俺もあったっス! そういえばここ、そういう人のために行事も取り入れてるっスよね!」
とりあえず嘘は吐いていない範囲で説明したら納得して貰えた。
「わざわざ学び直しに来るとはね。」
「あはは。案外、経験していないと青春って取り戻したくなるんですよ。やっとけばよかったって。
だったらやろうって思い立ったんです。」
「そうなのか。私もそうかもしれないな。」
そして、その説明は実に年配の男性にも受け入れられている内容だったようだ。
(こういうの、ジュブナイル学園物だと、どう落とし込むのか……はやめとこう。)
職業(ではない)病が頭をよぎったため、振り切るように慌てて頭を振る俺。不登校、落第、一時的な事情により通信教育からの学園への通い直し。暗いイメージになりがちなそれは、俺たちが話している範囲では、主に好青年が引っ張ってくれるからだが、大人になってからの青春のやり直しのようでもあって。何か人間の生命力や回復力すら感じるようであった。
「よし、沙幹、バトン取って!」
「おう!」
体育祭のリレーに向けて俺たちは体育館を走るだけでなく、バトン渡しまで練習をしていた。ウチの定時制学園にはグラウンドが無く、体育館も運動公園などの施設のを借りて行わせて貰っている。俺たちの学園にあるのは定時制学園という名の、グラウンドが駐車場になり、体育館は老朽化のために撤去された、廃校舎や専門学校などのリサイクル施設という建物だった。
まあ、それはそれとして、こうして体育祭の練習をしているのだが。
「ぜー……ぜー……っ。あ、足腰が……。」
俺は自分のリレー区間を全力疾走しただけで息切れしていた。グラウンド一周ぐらいなのだが体育館でもそれは広かった。学園生は体力があると、改めて実感したのと。俺はそっち側の人間じゃなかったし社会人になってそれは増していたこととかも改めて実感した。ホント、来られるだけで凄いんだって。学園って。
「大丈夫っスか?」
「ああ、うん。日ごろの運動不足なだけだから……ありがとね。」
俺は気のいい、若いあんちゃんに声を掛けられて相槌を打つ。
「スポドリとかタオルとか持ってこないとっスよ。」
「へー。それもそうだね。」
定時制だからか、フリーターっぽい、人当たりもいい、好青年のような人とかもこういう所に来るんだなと思って話を聞いていた。
「あれ、何で俺がこういう所に来ているの? って顔してます?」
「あれ、そう見えた?」
俺の顔を見ながら青年が確認してくる。
「そりゃー学園生時代はバカすぎて授業が理解できなくて。
ロクに高校に通えなかったウチに落第したからに決まってるでしょー。
中卒は不利だから合間を見てここに来ることにしたっス!
フリーターならやってけそうなんスけど、やっぱり学歴で振り落とされる職場もあって。」
「あ、そうなんだ……。」
俺と関わる人は話も人も面白いのに、ジュブナイル学園物では出せそうにない人(含む自分と碧)の話を聞くなあと思っていると。
「あと、大学にも行ってみたいっス!」
「おお、いいじゃん。どこに行くの?」
「とりあえず経営学と法律と確定申告とかの税制教育がやれるところっス!
そしたら会社経営とかも自営業でやれるっス! 仕事の範囲も増えるっス!」
「意外と現実的だね。」
そして勉強したい内容は、社会人が社会に出る前に教わっておけばよかったと、とてもよく思うような内容だった。
「俺、高校の頃は勉強大嫌いだったんですけど、働くようになって働く人を見ていたら。
やりたいことが見つかったっス! 起業したらお兄さんも誘うっスよ!」
「うん、ありがとー。」
俺は好青年と雑談をしていたが、こういう所に来る人は子供の頃に学び損ねて掴めなかった将来を掴みなおしに来るんだよなと改めて思っていた。そしてとっても爽やかで眩しかった。
「青春ってこういう形でも立ち会えるんだな。それならそれでいいか。」
俺の思っているジュブナイル学園物とは違う形になるかもしれないが、青春の資料は得られたような気がする。
「なんだなんだ、そういう気持ちで来ているのかい?」
「っス! お疲れ様っス!」
「あ、どうもです。」
好青年と喋っていたら、今度は年配の男性に声を掛けられた。
「さっきはどうしてここに来ているのかって話をしていたみたいだけど。」
男性が確認してくる。
「っスよ。平たく言うと定時制学園に通って、大学まで行けるようになりたいっス。」
「ふむふむ。私もここに来る理由があってね。」
今日はやけに身の上話を聞かせて貰える日のようだ。
「私も不登校で学園に来られなかったのだが、ようやく定時制学園に通う事にしてね。」
「はー。みんな不登校って経験、あるんスね。」
「そりゃああるさ。」
好青年の相槌に男性が頷く。
「君みたいな若い子が、もう一度、学び直しに来ているのかと思うと私も負けてられないと思うよ。」
「俺でよければ、やる気、出してくださいっス!」
「ははは。ありがとう。」
好青年が実に爽やかだった。
「そういえば、どうして君はここに来ているのだい?」
俺の方にも年配の男性から確認が来た。
(うーん、どうするかな……。)
俺の話をしても変に目立ったりしないか心配だったりもした。小説などの創作活動に、学園に通って一通り、集団行動や行事もしたっていう実体験が欲しかったと言って、どういうリアクションが来るか。
「えっと……時期的に学園に通うって言うのを経験で知らなくて。やってみたかったんです。」
「君はそのくらいの年代だったのか。」
「俺もあったっス! そういえばここ、そういう人のために行事も取り入れてるっスよね!」
とりあえず嘘は吐いていない範囲で説明したら納得して貰えた。
「わざわざ学び直しに来るとはね。」
「あはは。案外、経験していないと青春って取り戻したくなるんですよ。やっとけばよかったって。
だったらやろうって思い立ったんです。」
「そうなのか。私もそうかもしれないな。」
そして、その説明は実に年配の男性にも受け入れられている内容だったようだ。
(こういうの、ジュブナイル学園物だと、どう落とし込むのか……はやめとこう。)
職業(ではない)病が頭をよぎったため、振り切るように慌てて頭を振る俺。不登校、落第、一時的な事情により通信教育からの学園への通い直し。暗いイメージになりがちなそれは、俺たちが話している範囲では、主に好青年が引っ張ってくれるからだが、大人になってからの青春のやり直しのようでもあって。何か人間の生命力や回復力すら感じるようであった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる