俺の学園日常、そして趣味

白石華

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俺の学園生活、そして趣味

公園でバトン渡しをすることになりました

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「着いたっス~!」

「へー。こんなところに公園ってあったんだ。」

「ここは公園っスよ。景色に溶け込んでるんスね。」

 俺と好青年たちが公園に着くと確認の会話をする。言われてみればニスを塗った木のベンチに登り台に。芝生も周りに少しあるが綺麗に手入れされた土と。今は遊具も金属からプラスチックや木製に変わっているのだろうか。何も気にしないで通り過ぎたら何か置いてある広い所で芝生もあるところで流してしまいそうだ。

 注意しなさすぎな気もするけどな……。

 体育館は同じ敷地というか出てすぐの庭のような位置に運動公園が併設されており、芝生が広がるアスレチックスペースに来て、そこでバトン回しをする事になったのだが。

「はい、並ぶっス。」

 好青年の言う通りに円状に並んでいき、前の人にバトンを回していくように最初の人が棒を持つのだが、最初が俺だった。

「俺か~まあいいけど。」

「その次は俺か。」

 碧が俺の前にいたため俺に言う。

「次は俺っスね。」

「その後は私か。アンカーなんだね。」

「そっス!」

 碧の前が好青年で……アンカーというか最後の人が男性か。

「回すだけだから走らないっス。それでいいっスか?」

「俺は走らない方がいいわ。走ったら危ない。」

「俺は走ってすらいないし運動会にも参加してないけど。

 暫く走っていないから走ったらヤバい。」

 俺の他に碧も無理そうだった。

「私も……バトンを渡すくらいなら。」

 男の人もバトンに関してはこれでいいようだった。

「うし、やるっス! 準備はいいっスか?」

「おう。俺でいいんだよね?」

「はいっス!」

 俺が確認すると好青年は元気な返事をした。

(これで何かが変わるとは思えないけど……バトン渡し。)

(そういやあんまり、練習しなかった気がするな。)

 走る方で精一杯だから何も覚えていないが。バトン渡しそのものをやった記憶が消失している。

「碧、ホイ。」

「おう。はい。」

「っス! はい。」

「ああ、どうぞ。」

 俺、碧、好青年。男の人と来て、また俺に渡される。

「はい。もう一巡やるの?」

「やるっス。男の人がやりたくなくなるまででいいっス。」

 今回は男の人に合わせるのか。そりゃあな。男の人の思い出作りに参加しようという事で俺たちも来たんだし。碧はついでに体験を資料にしたいって言ってたな。

「それじゃあ、はい。」

 俺は男の人の気が済むまでバトンを渡していくことにした。

 ……。

「ああ。ありがとう。このくらいすればいいよ。」

 男の人は俺たちに終わりにしていいと言うと。そこでバトン回しは終わった。ものの何分ぐらいだったかは忘れたが。そんなに長くはなかった気がする。

「お疲れ様っスー。この後みなさん、何か用事、あるっスか?」

「あ~。俺と碧はラーメン食べて帰ろうかと話してたけど。」

「ラーメン。いいっスね! 男の人はどうっス?」

「あっ。ああ~……私はこのまま、帰ろうかと思ったんだけど。」

「折角だからみんなでラーメン、食べに行かないっスか?」

 好青年が俺たちを誘っているがそれって結局。

(男の人にも、そういうことに参加させたいって事だよな……。)

 家庭がどうなっているかまでは分からないが。不登校だったから、学園生活の思い出が無いって言ってたもんな。正直俺も、大した思い出はない。

「俺はいいけど、碧は?」

「ああ。全然。」

「ありがとうございまス! 男の人は食いに行きまス?」

「あ~……邪魔じゃなかったら。参加させて貰おうか……。」

「やったっス! みんなで行こうっス? なんかいい所ありまス?」

「ああ。私の知っている店で良かったら。」

 意外と知っていた。

「やったっス! お気に入りの店が他にもあったら、教えてくださいっス!」

「ああ。ええとね。和菓子とお茶も置いてある甘味処と。

 軽食屋さんと、喫茶店と。ご飯も美味しいバーとあるけど。どこにする?」

 いきなり大人のお店になった。

「えっと。学校は不登校でも、そういう所には行ってたんス?」

「ああ。仕事先の紹介とか待ち合わせでね。会食にも行ったよ。

 ビジネス街にもいたから、そこでお昼とかも食べていたんだ。」

 不登校とは全くイメージが出来ないフットワークなんだがどういう働き方をしていたんだこの人?

「なるほど! ラーメンってどんな場所っス?

 俺も働くようになったら行ってみたいっス!」

「うん。それじゃあ。大人のラーメン屋さんにしようか。」

 あるのか。大人のラーメン屋。興味を引かれたから俺たちは行ってみる事にした。

 ・・・・・・・。

「いらっしゃいませ……。」

「ほぼ個室っすね。」

 俺たちは男の人に通されたラーメン屋に来ると。一つ一つ。テーブル席には、なっていたのだが。そこが入り口が引き戸で区切られた一室になっていた。

「まあ、衛生対策だね。他の人にうつさないように。」

 男の人が説明する。そういう時代だったわ、そういえば。内装も新しそうだし。ラーメン屋も衛生を気にする時代か。回転率あると確かに気にするわな。テーブルにも消毒液が詰められたスプレーボトルが置いてあったし。これで手を消毒したりテーブルを拭けって事か。

「へ~。大人のラーメン屋って事は何か大人のメニューとかあるんス?」

「いやあ。ラーメンはラーメンだよ。

 サイドメニューに野菜炒め追加と餃子とミニチャーハンかライス。

 それにラーメンだけどこんな感じ。」

 俺が男の人に続くようにメニューを確認すると、一般的なラーメンも確かにあったが。その先に続くのが。

「季節替わりのスペシャルラーメンってありますね。」

「そうそう。季節に応じてラーメンを特別に作ってくれる。

 メニューもあるんだ。それが大人なんだよ。」

 俺の確認に男の人が答えてくれた。

「へーってどれどれ。今は……ピリ辛エビ味噌混ぜそば。」

 うまそうであった。ちょっと冷やし中華も意識しているし確かに季節に合わせている。

「ああ。それはね。ねぎの他にチャーシューや辛みそ追加もやれてね。

 味玉もあったような。」

 男の人がやけに詳しい。

「えーっと。不登校って聞いていたんスけど。こういう店はご存知なんス?」

 好青年が男の人に確認している。

「うん。会社がどこも長続きできなくてね……趣味でこういう店を回って。」

「はいはい。」

「ブログとか書いていたんだ。」

「ああ。あるっスね。そういうブログ。」

「まあね。念のため。

 良かった店の美味しかった事しか書かないようにしている。」

 男の人はそういうのを趣味にしていたのか。

「良かったら見る? ここなんだけど。」

「あ~、ホントにブログになっているっスね~。」

 男の人がスマホを見せて好青年と話していた。

「え。俺も見たい。」

「俺も見ていいですか?」

「いいよ。ついでだから踏んでってよ。」

 男の人は俺たちにもブログの場所を教えてくれた。

「ええっと。他におススメのメニューってありまス?」

「あるよ。ドリンクも頼んじゃおうか。こういうの頼んじゃったら

 ドライジンジャーエールがいいと思うよ。」

「やったっス! ドライジンジャーエール飲むっス!」

「俺も飲むか~。」

「そんじゃ俺も。」

 普段はパリポですらない俺と碧だが。付き合いたい気分だったから飲むことにして。

 ・・・・・・・。

「うわーい、注文が来たっス!」

「へー。エビ味噌混ぜそば。いかにも赤い。」

 全員で月替わりのラーメンメニューを頼んで。サイドメニューでチャーハンも頼んで、ドライジンジャーエールに餃子にと、ちょっと贅沢なラーメンを夜に頼むことにしたのだが。

「……うまい。なにこれうんまー。」

 碧が口に運んだ瞬間、驚いている。

「美味しいよね。ラー油以外にも揚げ薬味のスナックとか入っているだろ?」

 男の人が慣れたようにかき混ぜてザクザクと歯で音を立てて食べている。

「ホントだ。フライドオニオンとスライスアーモンドと。

 ニンニクチップに混ぜそばと……タレにも何か入ってますね。」

 俺も食べてみたらコシのあるストレート麺で食べやすく。かつ混ぜそばの辛さも控えめなのに色が赤く。ニンニク以外にも花山椒や香辛料も入っていて。脂も香油になっていて。これは人気が出そうな味だった。

「ドライジンジャーエールさっそくいただきたいから、乾杯していいっスか?」

「あ、そうだ、乾杯。」

 好青年に続いて俺もドライジンジャーエールをグラスで持って掲げると、みんなも用意して。

「「「「かんぱーい!」」」」

 みんなでカツンとグラスを当てていた。

「ん~っ。ドライジンジャーエールも美味しいっス! これどこのでス?」

「ああ。これは地元の所で。」

「地元のジンジャーエール! 安いっすね!」

「う~ん。安い理由は秘密だけどね。」

 男の人は何か知っているようだった。まあ。地元と言っても大きくて有名なところとか利益回収が間に合っているとか、そういう所なんだろう。ジンジャーエールって流行っているかどうかまでは知らないけど。クラフトコーラと同じ扱いなんだろうか。国産でも高いって聞いた気がするんだけどな。

「まあ、これならグビグビ行けそうだわ。俺。」

 碧も既にグラスを半分くらい空けている。

「何か。学園生気分を満喫するつもりだったのに。

 飯を食うのは大人の店もいいし入れるからな。」

「なー。ちょっと大人びた学園生の話にしようぜ。」

「俺も段々、そういう話が向いているんじゃと思えるように……。」

 俺と碧が話していると。

「何の話っス? 資料?」

「ああいいか。話す?」

 好青年の確認に碧が俺に尋ねる。

「いいよ。特に隠してもいないし。」

 俺は言ってみる事にした。

「へー。学園物の作品を描くために定時制で。」

「そうなんです。」

「ははは……君たちはそういう理由でこうしているのか。」

 俺が打ち明けてみたら好青年も男の人も、気楽に受け取ってくれていた。

(随分と、俺がイメージしていたリアクションと違っていた。)

 こういうのって全然、気にしないのだろうか。他にも聞いてみると。

「えっと、何書いているか聞いてもいいっスか?」

「それは無理。」

 碧がキッパリと答えた。だよな。

「なるほど。深入りはしないっス。」

 なんか好青年が理解を示してくれている。

「あ~でも。商品化とか販売とかはしているんス?」

「えっと。DL販売サイトに。

 ネット小説が溜まった分を表紙付けて売ってるけど。」

「なるほど。それじゃあ。経営とかマーケティングとか。

 販売宣伝とかは特にやっていないんスね?」

 好青年がいきなりビジネスの話を持ち出してきた。

「えっ何。何も知らない俺たちに教えてくれるとか。チート講習とか。

 そんな感じ?

 そういうの、経営に詳しそうな人が書いたネット小説で見たことある。」

 碧が突然、狼狽え始めた。

「チートはよく分かんないけど。俺も経営学、勉強しているっス。」

 そういえばそうだった。

「どうする、聞いとく?」

「う~ん。そうだな……個人でやる事じゃなくなりそうな気配がするんだけど。」

「そんじゃ止めときまス?」

「「やります。」」

 俺と碧はアッサリ乗った。

「そっか……それじゃあ私も。草の根レビューの書き方で良かったら。

 そこから興味を持ってくれる人が増えるよ。」

「おお!」

 男の人からもレビューを書いてレビューを書いて貰うネットの好循環の作り方を教えて貰えそうだった。

「経営学、本の販売に用いられるか分からないっスけど。

 俺が大学に行くことになったら。

 もっとそういうのも教えてあげられるかもしれないっス。」

「俺もなあなあでやってたけど。知っといた方がいいよね。

 やっぱり……。」

 俺は二人に身につまされていた。

「うーん……そうだね、何も思い出が無いと思っていたけど。

 私がしていたことは、こうして伝えられる人がいたんだ……。」

 男の人はしみじみとしていた。

「そういえば、バトン渡しの感想はいかがでス?」

 好青年も確認している。

「うん。そうだね……すごく簡単で、何回もやれて。びっくりした。

 こういうので良かったんだ……ってなったよ。」

「良かったっす! 無理はさせないようにしたからこういうのだけど。

 ちょっとずつ、走るのもみんなでやりまス?」

「今回だけにしておこうと思ったけど。どうしようか。」

 男の人が考えるようになっている。

「うん。皆さんとは、ここで卒業後もやってけそうな気がするっス!」

「ははは。そうしてくれるならね。」

 好青年と男の人が話しているが。

「俺も、こういう繋がりになるとは思わなかったな……。」

「俺も。」

 俺と碧も全く予想していない展開を迎えていた。

「そんじゃ、改めて、新たなつながりに乾杯します?」

 俺が提案すると。

「やるっス!」

「私もだね。」

「あいよ。」

 みんながグラスを掲げてくれた。

 ・・・・・・・。

「はーくったくった。」

「お疲れ様だな。」

 その後、帰路に帰る俺と碧だが。四人のメンツでグループチャットルームまで作ってしまい。意見交流の場と相談所を作れてしまった。

「は~。今はネットとオフでつながれる時代か~。」

「いい時代じゃねーの。」

 俺と碧が会話をしながら今日の事に浸っていると。

「体育祭だけじゃなくて、学園物の資料だけでもなくて。

 ネットでの売り方や人とのつながりまで教われそうだな。」

「ああ。やってけよ。折角だし。」

「うん。でもさ。こういうことをしている人たちって俺。

 ちょっと前まではあんまり理解、出来なかったんだよな。

 でも実際、会話してみる立場になるとさ。」

「何か変わったか?」

「俺がしていた事って。自分一人でやろうとしすぎていたし。

 人脈を掴んで知見を広げるって事とかもしなかったんだなって思ったよ。

 それで創作で飯食いたいって思っていたんだからな。」

「……今回はその、なんだ。どこもそうだと思わない方がいいぜ。」

「だよな。いきなりでびっくりした。」

 どこで縁が結ばれるかは本当に分からないのであった。

「男の人にあとで。俺たちが書いている小説と絵。

 カミングアウトしたら見てくれるんかな。」

 俺はちょっとだけ、乗り気になっていた。

「……あんまり期待しない方がいいぜ。今の所だけど。」

「うん。今の所だ。」

 俺たちの帰り道は、二人でダベっている内に、いつの間にかマンションにまでたどり着いていた。随分と喋っていたはずなのに、あっという間に時間が過ぎてしまった気がするのと。

(怪我、明日は一応。見て貰ってこよう。)

 平日の振替休日だったため。明日は病院にも行けそうだった。医務室でも見て貰ったが走って転んだから念のためだな。
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