【完結】可哀想なSubインキュバスが可愛いから独占溺愛しちゃう

ユネ

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ウィラがアジトに戻ったとき、ユアは医療用ベッドの上で静かに座っていた。フィオが右手の微弱な電気信号をチェックしている最中だった。ウィラの帰還を察知したユアは、すぐにフィオの手を振り払い、ベッドから降りようとした。
​「ウィラ、おかえりなさい。ドレイクは……」
​ウィラは穏やかな Dom の笑みを浮かべ、ユアを制した。
​「座っていなさい、ユア。良い子ね」
​ウィラが近づき、彼の隣に腰掛けた。彼女の魔力は、先ほどの戦闘の緊張感から、再びユアを包み込むような温かい光へと変化していた。
​「ドレイクは、私のSubに酷い事をした代償を支払ったわ。彼とあなたの間の契約は、すべて無効化した。もう、彼のグレアも、彼の命令も、あなたの魂に届くことはない」
​ユアは、その言葉を聞いた瞬間、全身の鎖が外れたような解放感に襲われた。長年、彼の精神を支配していた**「罰への恐怖」**が、ウィラの力によって根こそぎ消え去ったのだ。
​「ウィラ……ありがとう……」
​涙がユアの瞳から溢れ出た。これは、Subspaceで感じた歓喜とは違う。トラウマからの解放、そして真の Dom に命を救われたことへの、純粋な感謝だった。
​ウィラはユアの頬を両手で包み、優しく目を合わせた。
​「あなたは、もう自由よ。あなたの過去を傷つけた Dom は、二度とあなたの前に現れない。あなたの命は、私と、私たちが作る新しい世界のためにある」
​数日後、ユアの身体は目覚ましい回復を見せていた。抑制剤のデトックスは終わり、ウィラの安定した魔力と愛情が、インキュバスであるユアの魔力生成の核を徐々に活性化させていた。
​そして、フィオが最も回復が困難だと診断していた、利き手の右手の神経損傷にも、ついに劇的な変化が現れた。
​ユアは、ウィラから指示された「手のひらに触れているものを感じること」という簡単なコマンドを繰り返していた。ウィラは毎日、ユアの右手を握り、ベリアル族の治癒の魔力を流し込み続けていた。
​その日の午後。
​「ユア。あなたの右手に、私の魔力を集中させるわ。痛いかもしれないけれど、すべて私に委ねて」
​ウィラはそう告げると、両手でユアの右手を深く包み込んだ。ユアは目を閉じた。ウィラの魔力が、まるで火花のように、右手の痙攣していた神経回路を再接続していくのを感じた。鈍い痛みと、痺れが走る。
​「……っ!」
​ユアが声を漏らした瞬間、ウィラは額をユアの額に優しく重ねた。
​「大丈夫よ、ユア。あなたは、強い子」
​その言葉が、ユアの精神的な支えとなった。
​数分の後、ウィラがそっと手を離した。ユアは恐る恐る、右手に意識を集中した。長年、力が入りきらず、常に痙攣していた右手が……今は、ぴたりと静止している。
​ユアは震える右手で、空中で小さな円を描いた。スムーズに動く。次に、利き手ではない左手で握ったウィラのコーヒーカップを、右手でそっと受け取った。
​「動く……完全に、僕の意思で動いています……!」
​ユアは歓喜の声を上げた。彼の顔に、心からの笑顔が戻ったのは、何年ぶりのことだろうか。
​「良かったわ、ユア」ウィラは優しく微笑んだ。「あなたの右手は、もう傷ついていない。これは、あなたが私を信頼し、あなたの命を委ねてくれた**『信頼の証』**よ」
​ユアの心身の完全な回復を見届けた後、ウィラは、アジトの仲間たちを前に、魔界の未来について語り始めた。ユアも、ウィラの隣に座り、その話に耳を傾けた。
​「ドレイクへの制裁は、腐敗した評議会への明確な宣戦布告となった。彼らは、私を**『法則への反逆者』**として、全力で追ってくるだろう」
​セティが厳しい表情で頷いた。「評議会は、ユアを虐待という形で『管理』していたDomたちを擁護し、あなたを悪者に仕立て上げるでしょう。魔界の法則を変えるには、評議会そのものを倒す必要がある」
​フィオは端末をウィラに差し出した。「アジトは安全ですが、この活動には新たな資金源と、情報網が必要です」
​ウィラはフィオから端末を受け取ると、視線をユアに向けた。ユアはもう、怯える下級Subではない。ウィラの絶対的な信頼とケアによって、彼は最も安定した、ウィラの真のパートナーへと成長していた。
​ユアは、ウィラの瞳に宿る炎のような正義と、自分への深い愛情を感じた。彼は、ウィラの戦いが、自分と同じように苦しむすべてのSubを救うためのものであることを理解した。
​ユアは、ウィラの隣に立ち上がり、自分の治癒した右手を、ウィラの力強い左手に重ねた。
​「ウィラ。僕は、もう昔の無価値なSubではありません。僕の魔力は、ウィラによって完全に満たされている」ユアは、自身のインキュバスとしての魔力が、今やウィラの安定したDom性によって最大限に引き出されているのを感じていた。「あなたの計画を教えてください。あなたのSubとして、僕の命と魔力のすべてを、あなたのために捧げます」
​ユアの瞳には、ウィラへの絶対的な忠誠と、共に戦う決意が宿っていた。
​ウィラは、ユアの成長と献身を見て、満足そうに頷いた。
​「ありがとう、私の愛しいSub。では、話しましょう。私たちが、この魔界をどう変えるか、を」
​ウィラの表情には、ユアへの溺愛と、評議会への反逆の二つの感情が、同時に燃え盛っていた。物語は、救済の章から、革命の章へと進むのだった。

ウィラとユアが手を重ねた瞬間、アジトの空気が一変した。それは単なる愛情の誓いではなく、魔界の支配体制に対する、強大なDomと、そのSubの、絶対的な反逆の契約だった。
​「ユア、感謝するわ。あなたの献身は、私たちの力になる」ウィラはユアの頬を撫で、自信に満ちた笑みを浮かべた。
​セティが、壁一面に広がる魔界の勢力図と、評議会の組織図を指し示しながら、話し始めた。
​「私たちの最終目的は、評議会の解体。しかし、評議会を支えるのは、**『Domの絶対権』**という、魔界に根付いた思想そのものです」
​セティは、評議会の主要なDomの名を指した。「彼らは全員、かつてのドレイクと同じく、弱者からの魔力搾取を旨とする偽りの支配者たち。ユアの魔力枯渇と神経損傷の事例は、そのシステムが限界であることを証明しています」
​フィオが、ユアに新たなデバイスを渡した。インプ族の技術が詰まった、ユアの身体状態と魔力反応をウィラと共有する特注品だ。
​「ユア君の役目は、私たちの作戦の**『核』**となる。インキュバスの魔力は、愛情と安心を得ることで、通常の魔族を遥かに超える力を発揮する。ウィラ様が戦闘で最大の力を発揮するためには、ユア君の安定したSubspaceが不可欠です」
​ユアは、デバイスをしっかりと握りしめた。無価値な駒ではなく、ウィラの勝利に不可欠な存在。その事実は、彼の心を誇りで満たした。
​「わかっています。僕が、ウィラ様の**『絶対的な魔力の供給源』**になります。二度と、ウィラ様の足を引っ張るようなことはしない」
​革命の第一歩は、評議会の中枢ではなく、彼らの資金源である「違法なDom/Sub訓練場」の壊滅に置かれた。
​「正面から叩けば、評議会はベリアル族である私を警戒し、防衛を固める。だから、私たちは闇の中から崩す」ウィラは計画を説明した。
​そして、ユアの具体的な役割が示された。
​ユアは治癒した右手に、フィオが開発した、微弱な魔力を帯びたナイフを構えた。そのナイフは、ウィラの魔力と共鳴し、戦闘中に彼女のDom性をさらに増幅させるための**「増幅器(アンプ)」**の役割を果たす。
​「私のコマンドに従って、そのナイフで私の背中を護衛しなさい。戦場で最も大切なのは、私のDom性を信じ、疑念を抱かないことよ」ウィラはユアの肩に手を置いた。「ユア。もしあなたが再びフラッシュバックに襲われ、冷静さを失いそうになったら、私のDom性を全身で感じなさい。私は、あなたを絶対に傷つけない」
​ウィラは、ユアの首筋の「真実のマーキング」にそっとキスをした。
​「私のSub. あなたは、私と共に勝利する」
​そのキスとコマンドで、ユアの身体は歓喜に震え、一瞬で深いSubspaceへと落ち込んだ。目の前のウィラが、彼にとって絶対的な真実となり、恐怖は完全に消え去った。
​「Yes, Dom.」
​その夜。魔界の裏路地にある、次のターゲットとなる訓練場に、ウィラとユアの姿があった。
​ウィラは漆黒の戦闘服を纏い、背中にはユアがしっかりと立っている。ユアの右手には、ウィラの魔力を宿したナイフが構えられていた。彼の瞳は、かつての怯えは消え、 Dom であるウィラに対する絶対的な信頼と、静かな戦闘への覚悟が宿っている。
​訓練場に潜入する寸前、ウィラはユアに最後の確認を行った。
​「ユア。もし私を傷つける者、あなたを連れ戻そうとする者が現れたら、どうする?」
​ユアは迷いなく答えた。
​「ウィラ様が与えてくださったこの命と、魔力のすべてをもって、**ウィラ様をお護りします。**そして、ウィラ様の邪魔をするすべての偽りの Dom に、裁きが下るのを見届けます」
​「Good Sub.」
​ウィラは満足そうに頷き、訓練場の重い扉に手をかけた。
​扉を開けると、待ち受けていたのは、ウィラの行動を察知し、評議会から急遽派遣された**「調停者」**を名乗る上級Domたちだった。彼らのグレアは、ドレイクの比ではない強烈なもので、ウィラを包囲した。
​その中心には、ユアの父親の虐待的な Dom 性に似た、冷酷な魔力を放つ、評議会直属の魔族が立っていた。
​「ベリアル族のウィラ・クライム。あなたの行動は、魔界の秩序に対する反逆行為だ。その『管理 Sub』を置いて、投降しなさい」
​その攻撃的なDom性のプレッシャーが、ユアを襲った。一瞬、ユアの胸に過去のフラッシュバックの影がよぎる。しかし、ユアはすぐに、ウィラの背中に意識を集中させた。
​(僕は、ウィラ様のSub。ウィラ様が僕を護ってくれる)
​ユアは震えそうになる右手で、ナイフをしっかりと握りしめ、ウィラに魔力を送り込み始めた。
​「投降?冗談はやめて」
​ウィラは冷笑した。彼女のDom性は、ユアから供給される魔力によって、さらに増幅された。
​「私の Sub に手を出した者、そして、その過去の罪を擁護する者は、すべて私の敵だ」
​ウィラは、ユアを背中に隠したまま、ベリアル族の能力を解放した。ユアのケアと、魔界の革命。二つの目的が、この夜、交差する。

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