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娼婦、冒険者を待つ

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サリはケンの思いを理解し、そしてケンへの気持ちを自覚する。

ケンはサリの純潔を自分が貫くため、そしてサリを身請けするため、共に娼館へと向かった。

先輩娼婦や見習い娼婦、主人はサリが帰って来た事や孤児達が無事に解放された事に対して喜ぶが、明らかに以前より距離が近いサリとケンを見てピンとこれからなにが起きるのかを理解した。 

ケンは皆の考えない通りそのままに主人へサリを身請けしたい事、サリの純潔も自分が欲しい事を伝える。
 
主人はそれに対してまだサリが肛門性交を始めたばかりであるため、純潔貫通の予定はもう少し先であるという事、しかしサリは元々孤児だったにしては見目美しく成長し、更にまだ若いにも関わらず口や後穴の具合が良く、技に長けている事から恐らくかなりの高値が付くことをケンに伝えた。

ケンはそれでも了承し、主人が元々見込んでいた金額である金貨100枚に身請け金の標準相場である金貨200枚を加えた金貨300枚を数ヵ月の内に持ってくればサリを引き取る事が出来る事になった。

勿論その間サリは客をとるし、また半年を過ぎれば身請け自体は出来るが純潔は娼館の客に対して競売に賭ける旨が伝えられた。

サリとケンはその条件を飲んだが、主人や先輩娼婦達はこの条件の大金をケンが到底叶えられるとは思わなかった。

が、口には出さない優しさと厳しさを持っていた。





それからのサリは今までと同じように娼婦として生活している。

ケンを思って昂る恋の熱はサリを娼婦として一段階引き上げ、客へとぶつけられる。

今までの献身的で丁寧であったが抱かれる際はどこか受動的だった時とはまた違った積極性を持って快感を得るために腰を打ち付け、アプローチしてくる新しい魅力を持ったサリに対して客も夢中になり、嵌まっていく。

一月が経ち二月が経ち、三ヶ月が経った頃。

ケンがあの後娼館に来ることはなく、客として来る冒険者に聞いても誰も行方を知らず、音沙汰も一切無いために先輩娼婦達はやっぱり逃げたんだろうと言い、サリもそれに対して言い返すが内心ケンに何かあったのだろうかと不安で埋め尽くされていた中、一通の手紙が届いた。

ケンからであった。

ケンは今遠方まで赴き、ダンジョン探索をしているとの事。ダンジョンでは命を落とす危険が高いが、宝箱から出るアイテムや魔物の素材など高価で取引される品が多く、それらを持ち帰り資金稼ぎをしている事。

そして必ず帰るから待っていて欲しい事が記してあった。

サリは、ケンからの手紙に喜んだが読み進める内にケンが死ぬかもしれないという焦燥にかられる事になる。

しかし、サリに出来る事は信じて待つ。それだけだった。





更に月日が経ち、期限が来てもケンが戻ってくる事は無かった。

よってサリの処女は競売にかけられる。

サリは最早、ケンに純潔を渡したいとは思っていたがそれよりもケンが無事に帰ってくる事を願っていた。





そして当日。
夕方より競売が開始され、勝ち取った者がそのままサリの貞操帯の鍵を使い、その隠された秘処を開き、抱く事が出来る。

サリは扇情的な衣装に身を包み、その衣装からは貞操帯が透けて見え、後ろを向けば今まで数多の男に抱かれ、成長しきった張りのある大きな尻が透けて男を悩殺する。
サリの価値を高めるために拵えられた衣装であった。

競売に参加している客には一般の平民もいれば商人、貧民街の暴力団員、冒険者そして主人の目論見通り貴族より遣わされた従者もいた。
金貨10枚より始まったが、30枚、40枚、50枚と値が上がっていく。

そうして100枚を超え150枚超えとなり、主人も相場以上の価値がついたため、にこやかに競売を締めようとしたところで入口から「200枚!」と大きな声が会場を突き抜けた。

場が騒然とする。

会場にいた冒険者が気づく。

「ケンだ!」「ケンだぞ!」「ケンが帰って来た!」

サリは俯いていたが、その声に顔を上げ、汗だくで息を切らしながらも現れたケンを見ると途端に涙を溢す。

来てくれた。
無事で良かった。
そのお金はどうしたのか。
色々な想いが渦巻き、抑えきれない涙と声にしゃがみこんでしまうが、

貴族の従者は己の仕事を全うせんと更に金貨を上乗せする。

そこからは従者とケンの一騎打ちとなった。

孤児出身の冒険者とは信じられない程に金貨を積み上げていくケン。

従者も自分が渡された金貨を使いきるもケンの勢いは止まらず、サリの落札金額は金貨400枚超に及んだ。

落札者は、サリの純潔を散らす者は冒険者ケンで決定された。

高級娼婦の初物レベルの値がついた事に場は大盛り上がりし、主人に至ってはまさかの展開、まさかの売値に顔面蒼白となった。

サリは思わずケンに駆け寄り、飛びつく。

ケンは飛び込んできたサリを危なげなく抱き止め、その唇に口付けをした。

最早会場に敵はおらず。

何故か拍手に包まれる会場であった。
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