3 / 5
1章
自由な公爵令嬢
しおりを挟む
考えられることは3つある。
一つは、猫のような種族でも当たり前のように人間が生まれてくるという可能性。未だ猫科の人々しか見たことがないが、外には当たり前のように猫種族から生まれた人間がいるのかもしれない。それどころか別の種族もいるのではないだろうか。
もう一つは、自分は人間だと思い込んでいるが実は猫科種族なのではということ。前世の記憶があるために自分が人間であると錯覚している?周りからは人間に見えていないのかもしれない。
そして最後は、本当はみんな人間で、ジェシカだけが猫科種族に見えているのではないかということ。
呪いなのか生まれつきの仕様なのか分からないが、ジェシカとしてはこの説が一番有力だ。
なぜこの説が最有力かと言えば、手の使い方だがおかしいのだ。
今のミラもそうだが、当たり前のように手でクシを持っている。
握っているならまだわかるが、手に吸い付くようにくっついているのだ。
物理的におかしい。こちらの物理法則などよく知らないが。
これらの説を考えてはいるが、まだ誰にも「全員猫科の生き物に見える」などとは口にしていない。
まだ幼いために本気で捉えてもらえないかもしれないし、宗教観や世間の常識によっては悪魔憑きだとかなんとか言われて糾弾されることもあるかもしれない。
とにもかくにも、ジェシカは今のところ周りが猫科種属ばかりでも問題はない。皆愛情いっぱいに育ててくれているし、生活は全く不自由していないのだから。
「お嬢様、本日は何をして遊びましょうか」
「おさんぽする」
「よろしいですね、天気もいいし。ではお着替えを致しましょう」
水色の動きやすいドレスに着替えると、ミラと手をつないで庭園にでる。
季節は春めいていて、園芸用品種の花から野草のような花の群生まで、この庭は多様な植物を育てている。
野草の花畑周辺は小川まで流れ、川には小魚もいる。
川の先には池があり、ボートで遊ぶことも可能だ。子供が走り回ったり摘んだりしてもいいようにあえて作っているのだそう。
2歳の足でとにかく走り回り、小川の魚をながめて手を突っ込み、しまいには靴を脱いで足までつかってびちゃびちゃと遊ぶ。
前世大人の記憶があるわけだが、体も心も結局は2歳で、好奇心の前には理性など全くはたらかない。
公爵家のお嬢様としてはきっとやってはならないことだらけのはずだが、教育方針なのか咎められることはない。
侍女たちや護衛たちは微笑ましそうに見ているだけだ。ちなみにみんな猫である。
「さあさ、お嬢様。そろそろお昼ご飯の時間ですよ」
川遊びをしていたジェシカをミラが抱き上げるともう一人の侍女がタオルで手足を拭う。近くの木陰には絨毯と小さな椅子に机、ランチがすでに用意されていた。
「おなかすいた」
「そうでしょうとも。たくさん遊びましたからね」
ミラはそのままジェシカを椅子に座らせて、お茶を入れる。
ミラのお茶を待ちながら、ジェシカは改めて自分の家が所有する庭園をながめる。
「おにわ、ひろいね」
「パントラ公爵家が保有する邸宅の中では最も広い庭園です。こことは別に街中にもお屋敷があるのですよ」
ジェシカはふーむ、と頷いた。
便利な街中ではなく自然豊かなここで生活をしているのは何か理由があるのだろうか。
考えても分かることではないが、とにかく2歳がべらべらとそんなことを聞き出したらみんな恐ろしいと思うだろう。
生活していく上で知ることもあるか、と深く考えず、ジェシカは食事に取り掛かった。
一つは、猫のような種族でも当たり前のように人間が生まれてくるという可能性。未だ猫科の人々しか見たことがないが、外には当たり前のように猫種族から生まれた人間がいるのかもしれない。それどころか別の種族もいるのではないだろうか。
もう一つは、自分は人間だと思い込んでいるが実は猫科種族なのではということ。前世の記憶があるために自分が人間であると錯覚している?周りからは人間に見えていないのかもしれない。
そして最後は、本当はみんな人間で、ジェシカだけが猫科種族に見えているのではないかということ。
呪いなのか生まれつきの仕様なのか分からないが、ジェシカとしてはこの説が一番有力だ。
なぜこの説が最有力かと言えば、手の使い方だがおかしいのだ。
今のミラもそうだが、当たり前のように手でクシを持っている。
握っているならまだわかるが、手に吸い付くようにくっついているのだ。
物理的におかしい。こちらの物理法則などよく知らないが。
これらの説を考えてはいるが、まだ誰にも「全員猫科の生き物に見える」などとは口にしていない。
まだ幼いために本気で捉えてもらえないかもしれないし、宗教観や世間の常識によっては悪魔憑きだとかなんとか言われて糾弾されることもあるかもしれない。
とにもかくにも、ジェシカは今のところ周りが猫科種属ばかりでも問題はない。皆愛情いっぱいに育ててくれているし、生活は全く不自由していないのだから。
「お嬢様、本日は何をして遊びましょうか」
「おさんぽする」
「よろしいですね、天気もいいし。ではお着替えを致しましょう」
水色の動きやすいドレスに着替えると、ミラと手をつないで庭園にでる。
季節は春めいていて、園芸用品種の花から野草のような花の群生まで、この庭は多様な植物を育てている。
野草の花畑周辺は小川まで流れ、川には小魚もいる。
川の先には池があり、ボートで遊ぶことも可能だ。子供が走り回ったり摘んだりしてもいいようにあえて作っているのだそう。
2歳の足でとにかく走り回り、小川の魚をながめて手を突っ込み、しまいには靴を脱いで足までつかってびちゃびちゃと遊ぶ。
前世大人の記憶があるわけだが、体も心も結局は2歳で、好奇心の前には理性など全くはたらかない。
公爵家のお嬢様としてはきっとやってはならないことだらけのはずだが、教育方針なのか咎められることはない。
侍女たちや護衛たちは微笑ましそうに見ているだけだ。ちなみにみんな猫である。
「さあさ、お嬢様。そろそろお昼ご飯の時間ですよ」
川遊びをしていたジェシカをミラが抱き上げるともう一人の侍女がタオルで手足を拭う。近くの木陰には絨毯と小さな椅子に机、ランチがすでに用意されていた。
「おなかすいた」
「そうでしょうとも。たくさん遊びましたからね」
ミラはそのままジェシカを椅子に座らせて、お茶を入れる。
ミラのお茶を待ちながら、ジェシカは改めて自分の家が所有する庭園をながめる。
「おにわ、ひろいね」
「パントラ公爵家が保有する邸宅の中では最も広い庭園です。こことは別に街中にもお屋敷があるのですよ」
ジェシカはふーむ、と頷いた。
便利な街中ではなく自然豊かなここで生活をしているのは何か理由があるのだろうか。
考えても分かることではないが、とにかく2歳がべらべらとそんなことを聞き出したらみんな恐ろしいと思うだろう。
生活していく上で知ることもあるか、と深く考えず、ジェシカは食事に取り掛かった。
10
あなたにおすすめの小説
え?わたくしは通りすがりの元病弱令嬢ですので修羅場に巻き込まないでくたさい。
ネコフク
恋愛
わたくしリィナ=ユグノアは小さな頃から病弱でしたが今は健康になり学園に通えるほどになりました。しかし殆ど屋敷で過ごしていたわたくしには学園は迷路のような場所。入学して半年、未だに迷子になってしまいます。今日も侍従のハルにニヤニヤされながら遠回り(迷子)して出た場所では何やら不穏な集団が・・・
強制的に修羅場に巻き込まれたリィナがちょっとだけざまぁするお話です。そして修羅場とは関係ないトコで婚約者に溺愛されています。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!
夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」
婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。
それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。
死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。
……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。
「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」
そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……?
「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」
不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。
死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!
ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する
ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。
皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。
ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。
なんとか成敗してみたい。
悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。
しぎ
恋愛
カーティア・メラーニはある日、自分が悪役令嬢であることに気づいた。
断罪イベントまではあと数ヶ月、ヒロインへのざまぁ返しを計画…せずに、カーティアは大好きな読書を楽しみながら、修道院のパンフレットを取り寄せるのだった。悪役令嬢としての日々をカーティアがのんびり過ごしていると、不仲だったはずの婚約者との距離がだんだんおかしくなってきて…。
真実の愛を見つけた王太子殿下、婚約破棄の前に10年分の王家運営費1.5億枚を精算して頂けます?
ぱすた屋さん
恋愛
「エルゼ、婚約を破棄する! 私は真実の愛を見つけたのだ!」
建国記念祭の夜会、王太子アルフォンスに断罪された公爵令嬢エルゼ。
だが彼女は泣き崩れるどころか、事務的に一枚の書類を取り出した。
「承知いたしました。では、我が家が立て替えた10年分の王家運営費――金貨1億5800万枚の精算をお願いします」
宝石代、夜会費、そして城の維持費。
すべてを公爵家の「融資」で賄っていた王家に、返済能力などあるはずもない。
「支払えない? では担保として、王都の魔力供給と水道、食料搬入路の使用を差し止めます。あ、殿下が今履いている靴も我が家の備品ですので、今すぐ脱いでくださいね?」
暗闇に沈む王城で、靴下姿で這いつくばる元婚約者。
下着同然の姿で震える「自称・聖女」。
「ゴミの分別は、淑女の嗜みですわ」
沈みゆく泥舟(王国)を捨て、彼女を「財務卿」として熱望する隣国の帝国へと向かう、爽快な論理的ざまぁ短編!
悪役令嬢に転生したので推しの悪役王子を救おうと思います!
かな
恋愛
大好きな乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生!?
しかもこのままだと最推しが死んじゃうんですけど!?
そんなの絶対ダメ!!
そう思って推しの死亡ルートを回避しようと奮闘していると、何故か溺愛が始まって……。
「私に構っている暇があったら、(自分の命の為に)ヒロインを攻略して下さい!」
距離を取ろうとしたのに、推しから甘やかされて……?
推しを救うために頑張ってたら、溺愛ルートに突入しました!?
他サイト様にも掲載中です
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる