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野バラが王宮にきた理由 1
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そもそも野バラがどうして王の側室として結婚する羽目になったかというと、それは1年前にさかのぼる。
野バラたち食花族はこのギブラン王国の南側にある高山でひっそりと暮らしていた。ギブラン王国はもともと温暖な地だが、そこからさらに南に行くと植物は豊かで果物も豊富にあり、高山であっても大変暮らしやすかった。
山の中腹を切り開いて造られた村には百人ほどの食花族がいた。食花族は植物のみを食べて生活している種族で、見た目は緑色の髪をしている以外には特に普通の人間と変わりない。
植物であればなんでも食べることができ雑草も食事扱いのため生命力はかなり強く、実は国の各地に住んではいるが山暮らしが多く国の主要な人々に見つかることがなかったのだ。
山から下りて街にでることもあるが、髪色が目立つことがわかっていたためいつもフードをかぶって歩き、山菜や木の実、きのこ類などを売り、布やお茶、麦などを買って帰る。山暮らしで足腰は強く一日歩いても平気だ。
村で一人暮らしをしている野バラは、ある時町の買い出し係として下山することになった。買い出しにはもう一人村の男も行くことになっており、野バラは売り物の食材を背負い込んで意気揚々と出発した。
「そういえば、お前の両親からはなにか連絡がきているのか?」
「きたきた、旅を楽しんでるみたい」
「うちの一族はみんなそうだが、草食って生きていけるからみんな自由なんだよなぁ」
野バラの両親は野バラが15歳で成人するとどこかへ行ってしまい、以来あちこちを旅して歩いているようだ。野バラには兄弟が全部で6人ほどいるが、全員巣立ってどこかへいくか村に残って結婚し新しい家庭をつくっている。
そんなことを会話しながら下山し、山の麓にある町へやってきた。この町は果物が豊富にあり、流通もそこそこ整っているため山では食べることができない物が多くそれを眺めるだけで野バラはわくわくしていた。
いつも食材を卸している場所に行き、貨幣と換金してもらう。野バラは自分で作った草の帽子やカゴなどを買ってもらえないか市場で交渉して換金し、自分が好きなものを買うようにしているのだ。
野バラは最近人工で栽培された生花を購入することが多く、食べると野草とはくらべものにならないほどの甘味と爽快感があり大のお気に入りであった。町ではあまり利用されることが少ない生花だが、野菜や果物のおまけで売っていることがあり、一緒に降りてきた男と正門で会う待ち合わせをしてから花を探しに歩きまわっていた。
結局市場の果物屋で水に生けてあった生花を果物と一緒に購入し、その他おつかいで頼まれていた布や主食となる麦などを購入してほくほく顔で正門へ向かった。
この時ははやく美味しいものを食べたいという幸せな気持ちでいっぱいだった。正門は目の前で、一緒にきた男がこちらを見て待っている。弾む足で歩いている時、ある男とすれ違いざまぶつかった。
「おっと、すみません」
「いえ、こちらこそ」
そう声をかけて通り過ぎようとしたとき、はっしと腕をつかまれた。
「あの、なにか?」
野バラが不審げに聞くと、彼は目をこれでもかと見開いて言葉を発した。
「もしかして君、食花族か……?」
ぶつかった勢いでフードが脱げていることに気付いた野バラは、ああ、もうダメだなと瞬時に悟り、正門に立っている男に一族の合図を送った。
(バレた。逃げろ)
合図を確認した男は身をひるがえして逃げ出した。
食花族には昔から言い伝えられていることがあり、自分たちのことを知っていそうなやつに見つかったら村総出で逃げ出すことというものだった。野バラももちろんその言い伝えを教え込まれ、なにかあったときは合図をすることを身に染みこませていたのだが。
(まさか自分が捕まる対象になるなんて!)
自分の腕をつかむ男を忌々し気に見ながら内心愚痴るのだった。
野バラたち食花族はこのギブラン王国の南側にある高山でひっそりと暮らしていた。ギブラン王国はもともと温暖な地だが、そこからさらに南に行くと植物は豊かで果物も豊富にあり、高山であっても大変暮らしやすかった。
山の中腹を切り開いて造られた村には百人ほどの食花族がいた。食花族は植物のみを食べて生活している種族で、見た目は緑色の髪をしている以外には特に普通の人間と変わりない。
植物であればなんでも食べることができ雑草も食事扱いのため生命力はかなり強く、実は国の各地に住んではいるが山暮らしが多く国の主要な人々に見つかることがなかったのだ。
山から下りて街にでることもあるが、髪色が目立つことがわかっていたためいつもフードをかぶって歩き、山菜や木の実、きのこ類などを売り、布やお茶、麦などを買って帰る。山暮らしで足腰は強く一日歩いても平気だ。
村で一人暮らしをしている野バラは、ある時町の買い出し係として下山することになった。買い出しにはもう一人村の男も行くことになっており、野バラは売り物の食材を背負い込んで意気揚々と出発した。
「そういえば、お前の両親からはなにか連絡がきているのか?」
「きたきた、旅を楽しんでるみたい」
「うちの一族はみんなそうだが、草食って生きていけるからみんな自由なんだよなぁ」
野バラの両親は野バラが15歳で成人するとどこかへ行ってしまい、以来あちこちを旅して歩いているようだ。野バラには兄弟が全部で6人ほどいるが、全員巣立ってどこかへいくか村に残って結婚し新しい家庭をつくっている。
そんなことを会話しながら下山し、山の麓にある町へやってきた。この町は果物が豊富にあり、流通もそこそこ整っているため山では食べることができない物が多くそれを眺めるだけで野バラはわくわくしていた。
いつも食材を卸している場所に行き、貨幣と換金してもらう。野バラは自分で作った草の帽子やカゴなどを買ってもらえないか市場で交渉して換金し、自分が好きなものを買うようにしているのだ。
野バラは最近人工で栽培された生花を購入することが多く、食べると野草とはくらべものにならないほどの甘味と爽快感があり大のお気に入りであった。町ではあまり利用されることが少ない生花だが、野菜や果物のおまけで売っていることがあり、一緒に降りてきた男と正門で会う待ち合わせをしてから花を探しに歩きまわっていた。
結局市場の果物屋で水に生けてあった生花を果物と一緒に購入し、その他おつかいで頼まれていた布や主食となる麦などを購入してほくほく顔で正門へ向かった。
この時ははやく美味しいものを食べたいという幸せな気持ちでいっぱいだった。正門は目の前で、一緒にきた男がこちらを見て待っている。弾む足で歩いている時、ある男とすれ違いざまぶつかった。
「おっと、すみません」
「いえ、こちらこそ」
そう声をかけて通り過ぎようとしたとき、はっしと腕をつかまれた。
「あの、なにか?」
野バラが不審げに聞くと、彼は目をこれでもかと見開いて言葉を発した。
「もしかして君、食花族か……?」
ぶつかった勢いでフードが脱げていることに気付いた野バラは、ああ、もうダメだなと瞬時に悟り、正門に立っている男に一族の合図を送った。
(バレた。逃げろ)
合図を確認した男は身をひるがえして逃げ出した。
食花族には昔から言い伝えられていることがあり、自分たちのことを知っていそうなやつに見つかったら村総出で逃げ出すことというものだった。野バラももちろんその言い伝えを教え込まれ、なにかあったときは合図をすることを身に染みこませていたのだが。
(まさか自分が捕まる対象になるなんて!)
自分の腕をつかむ男を忌々し気に見ながら内心愚痴るのだった。
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