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最終章 人族編
ジジイトリオ
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レスターは一月ほどで3対1をクリアーしたのでそのまま離れに帰るのかと思っていたら、三人の先生から三者三様それぞれ別の課題を課され、結局二ヶ月程村に滞在した。
「クソジジイ共!!なんで俺ばっかり!!」
私の絵本の読み聞かせにより5カ国語をしゃべるレスターを多国籍の人が集まる街の酒場に連れて行き、聞こえた会話の全てを同時翻訳させたり、村の経理の書類を捌かせたり、村に招いた建築家と話をさせたり。本当にバラバラな事をレスターにさせていた。
クロム君はレイリン小公爵として、領地で爆発的人気になって、私の元に国内外問わず同じ年頃の令嬢がいる貴族や商家からのお手紙が絶えない。
「離れはやっぱり、落ち着くね」
縁側でリヒト様の膝の上。いつもの場所。
「もうここに隠しておきたい……おまえはずっとこっから出るな!」
「逃げる様な事しなければ、出ないよ?」
「~~~~~~~~~っ!」
「何かあれば、息子達の行動力はすごいもんねぇ」
「クソガキ共が…………」
そんな事いっていても、そばの座布団で丸くなって眠る二人の子竜を見る目は優しい。
村から王宮までの馬車の中で眠ってしまった二人はまだお昼寝中だ。
「おいガキ共起きろ!今日から毎日王宮の図書室に行け!」
目をこすりながら起きた二人の首根っこを掴んでブンと庭に放り投げる。
これだけは、人間の私にはまだ慣れない。
「図書室~~~?何なんだよめんどくせぇ」
「ははうえと、いたい」
「つべこべ言わずに行け!馬鹿ガキが!」
えぇ…………。
「図書室に、何かあるの?」
「今にわかるよ」
その日王宮中にレスターの叫び声が響き渡った。
————「クソジジイ共ーーーーー!!!ついてくんじゃねーーーーーー!!!!」
◇◆◇
竜人の子供は少ないので、竜人用の幼少期の学校は廃止されて長いらしい。
貴族学校は商家などの裕福な竜人以外の家からも来るのでちゃんとあるけれど、それも11歳から15歳の間だけなので、それまでは皆家庭教師を付ける。
二人のマナーの貴族教育は王宮の人員でまかなっていたけれど、家庭教師は私にベッタリな二人の様子を見て後回しにしていたそうだ。
村で暇そうなお爺さん達が二人を上手に誘導している報告を受けて、ユアンさんに勧誘に行かせたらしい。
王宮の奥にメイド付きの個室を用意され、お爺さん達はホクホク顔だ。
「いや~~、この歳で王宮勤めとは。人生何があるかわからんのぉ。しかも長年やってみたかった神童の指導など、神の采配かのぉ」
トムお爺さんが嬉しそうに言う。ちなみにイカサマジジイの二つ名を付けられていたのがこのトムお爺さんだけれど、あれは完全にわざとだったらしく、本人はさっぱりしたいい人だ。
「ほんにほんに。つまらんカリキュラムは全部すてて好きな事をしていいなどと殿下も器がでかいのぉ。しかもここのコーヒーはリオネルの所のとちがって、うまいしのぉ」
カカロお爺さんが相槌を打つ。背の高い、凛とした白いローブを纏ったカカロさんは嬉しそうにコーヒーをのむ。
「次期王と、次期公爵の教育など、腕がなるのぉ」
そういって、私の差し入れたケーキのカケラをクロム君の口に放り込むのは白髭のムートンお爺さん。
クロム君はムートンお爺さんの膝で何かパズルの様なものを課題に出されて楽しそうにしてる。ムートンお爺さん、白いお髭と眉毛で見えないけれど、やっぱりデレデレしてると思う。うん。クロム君、可愛いもんね。
レスターは毎日何とか三人から逃げることばかり考えている様で、ご迷惑ばかりかけて申し訳ない…………。
「もう少しで、双子の卵もかえるのです。この子達の弟と妹も、おねがいできますか?」
「ふぉっふぉっふぉ、何人でも何十人でも、連れておいで。お嬢さんの旦那からたっぷり給金をもらっている手前、働かねばのぉ」
トムお爺さんが答え、残り二人のお爺さんも笑い合う。
いい先生が見つかって良かった。
レスターの失礼さを気にしないでいてくれるだけでもすごい。
「しかしリオネルは残念じゃったのぉ。王弟殿下が相手じゃあ、どんな男も無理か…………虫一匹入り込む隙はなさそうじゃ」
「ほんにのぉ。しかも息子二人も過保護ときてる。難攻不落じゃの、お嬢さん」
トムお爺さんが訳のわからない事を言い、カカラお爺さんがそれに応える。
————「余計な事を喋るなよジジイ共」
「リヒト様!」
「紬、昼の時間だぞ。よくなってきてると報告は受けてるが、俺が会いたいんだ。ガキらはジジイ共に任せておけばいい」
三人のお爺さん先生達が揃って立ち上がり頭を下げる。
「あ、うん。先生方、ご迷惑をおかけしますが、宜しくお願いします」
「「「御意に」」」
「うげぇ~~~~~~」
「クソジジイ共!!なんで俺ばっかり!!」
私の絵本の読み聞かせにより5カ国語をしゃべるレスターを多国籍の人が集まる街の酒場に連れて行き、聞こえた会話の全てを同時翻訳させたり、村の経理の書類を捌かせたり、村に招いた建築家と話をさせたり。本当にバラバラな事をレスターにさせていた。
クロム君はレイリン小公爵として、領地で爆発的人気になって、私の元に国内外問わず同じ年頃の令嬢がいる貴族や商家からのお手紙が絶えない。
「離れはやっぱり、落ち着くね」
縁側でリヒト様の膝の上。いつもの場所。
「もうここに隠しておきたい……おまえはずっとこっから出るな!」
「逃げる様な事しなければ、出ないよ?」
「~~~~~~~~~っ!」
「何かあれば、息子達の行動力はすごいもんねぇ」
「クソガキ共が…………」
そんな事いっていても、そばの座布団で丸くなって眠る二人の子竜を見る目は優しい。
村から王宮までの馬車の中で眠ってしまった二人はまだお昼寝中だ。
「おいガキ共起きろ!今日から毎日王宮の図書室に行け!」
目をこすりながら起きた二人の首根っこを掴んでブンと庭に放り投げる。
これだけは、人間の私にはまだ慣れない。
「図書室~~~?何なんだよめんどくせぇ」
「ははうえと、いたい」
「つべこべ言わずに行け!馬鹿ガキが!」
えぇ…………。
「図書室に、何かあるの?」
「今にわかるよ」
その日王宮中にレスターの叫び声が響き渡った。
————「クソジジイ共ーーーーー!!!ついてくんじゃねーーーーーー!!!!」
◇◆◇
竜人の子供は少ないので、竜人用の幼少期の学校は廃止されて長いらしい。
貴族学校は商家などの裕福な竜人以外の家からも来るのでちゃんとあるけれど、それも11歳から15歳の間だけなので、それまでは皆家庭教師を付ける。
二人のマナーの貴族教育は王宮の人員でまかなっていたけれど、家庭教師は私にベッタリな二人の様子を見て後回しにしていたそうだ。
村で暇そうなお爺さん達が二人を上手に誘導している報告を受けて、ユアンさんに勧誘に行かせたらしい。
王宮の奥にメイド付きの個室を用意され、お爺さん達はホクホク顔だ。
「いや~~、この歳で王宮勤めとは。人生何があるかわからんのぉ。しかも長年やってみたかった神童の指導など、神の采配かのぉ」
トムお爺さんが嬉しそうに言う。ちなみにイカサマジジイの二つ名を付けられていたのがこのトムお爺さんだけれど、あれは完全にわざとだったらしく、本人はさっぱりしたいい人だ。
「ほんにほんに。つまらんカリキュラムは全部すてて好きな事をしていいなどと殿下も器がでかいのぉ。しかもここのコーヒーはリオネルの所のとちがって、うまいしのぉ」
カカロお爺さんが相槌を打つ。背の高い、凛とした白いローブを纏ったカカロさんは嬉しそうにコーヒーをのむ。
「次期王と、次期公爵の教育など、腕がなるのぉ」
そういって、私の差し入れたケーキのカケラをクロム君の口に放り込むのは白髭のムートンお爺さん。
クロム君はムートンお爺さんの膝で何かパズルの様なものを課題に出されて楽しそうにしてる。ムートンお爺さん、白いお髭と眉毛で見えないけれど、やっぱりデレデレしてると思う。うん。クロム君、可愛いもんね。
レスターは毎日何とか三人から逃げることばかり考えている様で、ご迷惑ばかりかけて申し訳ない…………。
「もう少しで、双子の卵もかえるのです。この子達の弟と妹も、おねがいできますか?」
「ふぉっふぉっふぉ、何人でも何十人でも、連れておいで。お嬢さんの旦那からたっぷり給金をもらっている手前、働かねばのぉ」
トムお爺さんが答え、残り二人のお爺さんも笑い合う。
いい先生が見つかって良かった。
レスターの失礼さを気にしないでいてくれるだけでもすごい。
「しかしリオネルは残念じゃったのぉ。王弟殿下が相手じゃあ、どんな男も無理か…………虫一匹入り込む隙はなさそうじゃ」
「ほんにのぉ。しかも息子二人も過保護ときてる。難攻不落じゃの、お嬢さん」
トムお爺さんが訳のわからない事を言い、カカラお爺さんがそれに応える。
————「余計な事を喋るなよジジイ共」
「リヒト様!」
「紬、昼の時間だぞ。よくなってきてると報告は受けてるが、俺が会いたいんだ。ガキらはジジイ共に任せておけばいい」
三人のお爺さん先生達が揃って立ち上がり頭を下げる。
「あ、うん。先生方、ご迷惑をおかけしますが、宜しくお願いします」
「「「御意に」」」
「うげぇ~~~~~~」
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