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第三章 それぞれの魔獣戦
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「賢!昴!」
「勇。了解です!同時に行きますよ?昴。【Wing cutter】」
「はぁ~い。んじゃ、いっくよ~!喰らえ~!【Water tornado】」
賢の唱えた魔法に拠る風の刃は、昴の水竜巻によって巻き上げられた牛型の魔獣ジャイアントバッファローの身体に無数の傷を付けた。
そして、竜巻の消失と共に落ちてきた虫の息に等しいバッファローに向け、
「俺の燃え盛る魂の火よ。アイツを燃やしてしまえ!【Flame pillar】」
と、詠唱だかなんだか分からない呪文を唱えた勇。
すると自身が持つ自慢の剣から炎を出し、火柱がバッファロー目掛けて発射された。
それを受けたバッファローは断末魔の叫びをあげ絶命したのだ。
勇 賢 昴は足元に転がったジャイアントバッファローの屍が起き上がって来ないかを足で蹴って確かめた後、ハイタッチで発討伐の成功を喜んだ。
先程まで騎士団の中ではイケメンの男性の後ろに隠れて何もしなかった愛子は、
「キャー!勇も賢も昴も超絶カッコイイ!」
と言って、勇達の元へ駆け寄った。そして、
「皆、怪我とかしてなぁい?大丈夫?愛子は聖女様だからぁ、皆の事が心配で心配で。でも皆が無事でホント良かったぁ。」
と一見最もらしい事を言っている様に聞こえるが、実は全くもって関係ない言葉を言って勇の腕にぶら下がっている。そんな愛子を一瞥しながら、
「流石勇者様でしたね、勇。」
と賢が褒めれば、
「賢のWing cutterも、昴のWater tornadoもマジ良かったぜ。アレが無かったら、アイツは倒せなかったと俺は思う。」
と勇も二人を褒める。
「僕達の魔法より、勇のあの火柱の凄さだよ~。ホント マジかっこよかったもんな。」
と勇を褒めちぎる昴の言葉に、愛子もウンウンと頷いていた。
そんな彼等の元へパチパチと拍手をしながら近づく昭弘。
「流石俺の生徒達だな。先生も鼻が高いよ。」
と己の行為(愛子同様、昭弘も何もしていない。)を棚に上げ、上から目線の言葉で勇達を褒めている。が、勇達は冷やかな視線を送っただけだった。
そんな五人の様子に、騎士団長は苦笑いを浮かべるしか無かった。
そして、使えるのはあの三人だけだな。
と記録媒体である、鎧の胸元に埋め込まれている魔石を触り鎧から外すと、腰に提げていた小さな袋の中に大事にしまった。そして、
「お疲れ様でした、勇者殿。賢者様も魔法使い様もお見事でした。」
と、さも褒めている様な口振りで勇達に近づき、
「初の実戦でお疲れでございましょう。さぁ、馬車に乗り城へ帰りましょうか。」
と彼等を促した。
「そうですね。帰りましょうか、勇、昴。」
「帰ったら魔法の先生に報告しないとだなぁ~。褒めてくれるかなぁ。」
と言いながら、頭の中で豊満な身体の女性魔導師による、素敵なご褒美を想像し、馬車に乗り込んだ。
城へと向かう馬車の車内では、勇は自慢の剣の手入れをし、賢は鞄から紙とペンとインク壺を取り出し、今日の魔獣との戦いぶりを書き記していた。
また昴の脳内では、妄想がつづいており、何もしなかった愛子と昭弘は、彼等が魔獣を倒せたのは 一重に自分のおかげだと思っていた。
五人を乗せた馬車が城に着いた時。
辺りは夕焼けに染まっていた。
「勇。了解です!同時に行きますよ?昴。【Wing cutter】」
「はぁ~い。んじゃ、いっくよ~!喰らえ~!【Water tornado】」
賢の唱えた魔法に拠る風の刃は、昴の水竜巻によって巻き上げられた牛型の魔獣ジャイアントバッファローの身体に無数の傷を付けた。
そして、竜巻の消失と共に落ちてきた虫の息に等しいバッファローに向け、
「俺の燃え盛る魂の火よ。アイツを燃やしてしまえ!【Flame pillar】」
と、詠唱だかなんだか分からない呪文を唱えた勇。
すると自身が持つ自慢の剣から炎を出し、火柱がバッファロー目掛けて発射された。
それを受けたバッファローは断末魔の叫びをあげ絶命したのだ。
勇 賢 昴は足元に転がったジャイアントバッファローの屍が起き上がって来ないかを足で蹴って確かめた後、ハイタッチで発討伐の成功を喜んだ。
先程まで騎士団の中ではイケメンの男性の後ろに隠れて何もしなかった愛子は、
「キャー!勇も賢も昴も超絶カッコイイ!」
と言って、勇達の元へ駆け寄った。そして、
「皆、怪我とかしてなぁい?大丈夫?愛子は聖女様だからぁ、皆の事が心配で心配で。でも皆が無事でホント良かったぁ。」
と一見最もらしい事を言っている様に聞こえるが、実は全くもって関係ない言葉を言って勇の腕にぶら下がっている。そんな愛子を一瞥しながら、
「流石勇者様でしたね、勇。」
と賢が褒めれば、
「賢のWing cutterも、昴のWater tornadoもマジ良かったぜ。アレが無かったら、アイツは倒せなかったと俺は思う。」
と勇も二人を褒める。
「僕達の魔法より、勇のあの火柱の凄さだよ~。ホント マジかっこよかったもんな。」
と勇を褒めちぎる昴の言葉に、愛子もウンウンと頷いていた。
そんな彼等の元へパチパチと拍手をしながら近づく昭弘。
「流石俺の生徒達だな。先生も鼻が高いよ。」
と己の行為(愛子同様、昭弘も何もしていない。)を棚に上げ、上から目線の言葉で勇達を褒めている。が、勇達は冷やかな視線を送っただけだった。
そんな五人の様子に、騎士団長は苦笑いを浮かべるしか無かった。
そして、使えるのはあの三人だけだな。
と記録媒体である、鎧の胸元に埋め込まれている魔石を触り鎧から外すと、腰に提げていた小さな袋の中に大事にしまった。そして、
「お疲れ様でした、勇者殿。賢者様も魔法使い様もお見事でした。」
と、さも褒めている様な口振りで勇達に近づき、
「初の実戦でお疲れでございましょう。さぁ、馬車に乗り城へ帰りましょうか。」
と彼等を促した。
「そうですね。帰りましょうか、勇、昴。」
「帰ったら魔法の先生に報告しないとだなぁ~。褒めてくれるかなぁ。」
と言いながら、頭の中で豊満な身体の女性魔導師による、素敵なご褒美を想像し、馬車に乗り込んだ。
城へと向かう馬車の車内では、勇は自慢の剣の手入れをし、賢は鞄から紙とペンとインク壺を取り出し、今日の魔獣との戦いぶりを書き記していた。
また昴の脳内では、妄想がつづいており、何もしなかった愛子と昭弘は、彼等が魔獣を倒せたのは 一重に自分のおかげだと思っていた。
五人を乗せた馬車が城に着いた時。
辺りは夕焼けに染まっていた。
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