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偽熱
しおりを挟む先代の言葉に縛られて、身体にまつわる事は全ていけない事だと怯えていた俺はどこに行ったのか。でもあんな本を読んで気持ちだけ大胆になって、さわってと言いながらも身体のどこかは震えていた。
それが怯えなのか期待に震えているのか自分が分からない。
へベスの唇が俺の髪や額や瞼、頬、耳に触れて、唇に戻り、顎の下、喉、鎖骨の窪みに一つ一つ印をつけるようにたどっていった。
「ここに触れてもいいですか」
俺が一番待ち望んでいる場所に、へベスの手が触れた。ぴったりとした下着の上からそっと手を置くだけで、へベスはそのまま形の良い鼻先で、俺の乳首を押した。
今日はもう二回も出ているから、多分もうどうにもならないと思ってた。
それなのに、ただそこに掌の熱を感じるだけで、へベスの手は動いてもいないのに、何かがそこにゆっくりと溜まってきて、陰茎が少しずつ硬くなってくる。
他人の手やその熱や、唇や舌の動きを知らない俺の身体は快楽に従順で、乳首を転がされるだけで離れた場所がゆっくり屹立しへベスの掌をこすり、下着の端から先端をはみださせた。
「…へベス、さわってよ、ここ」
俺は腰を浮かせるようにして、へベスの掌を求めた。
へベスの手は先端には触れてくれず、乳首からようやく離れた濡れた舌先がゆるゆるとくすぐるように腹直筋の薄い線を下がっては、下唇でこするように戻り、臍の窪みから下は、舌なのか唇なのか鼻先なのか、顎なのかもう何で触れられているのかわからなくなった。
そこまでたどり着いておきながら、へベスはまだ足の間から手を動かしてくれなかった。
「…へベス、へベスねぇ」
もうさわってよ、じらさないで、さわってくれないと困る。
下着から出ている先っぽがひくひくして、つらい。
やっと触れてくれたと思ったら、へベスは俺が射精出来ないように先端を器用に押さえて、下着の上から俺の性器を唇と歯で挟み弄んだ。甘噛みされても布一枚を挟んでいるので痛みはなく、たっぷりと唾液で濡らされた下着はぴちゃぴちゃと音をたてて張り付き、それを唇で挟むようにして擦られると快感ともどかしさで、身体は勝手に跳ね上がり、恥ずかしい声が出るのを我慢できなかった。
「…そんなに大きな声を出したらゼルドに聞こえてしまいますよ」
へベスは最大級の意地悪をした。それがもたらす効果は覿面だった。
身体が羞恥ですくみ上がり、ほんのわずかにへベスの指先の支配から逃れた俺の先っぽから、ぴゅっと白いものが飛んだ。
全部出し切る前に、そこが熱い物にくるまれる。
「あっ、 あ あ だめ ぁ」
我慢なんてできるはずがなかった。
そこがへベスの舌と唇に挟まれて扱かれるように吸われた。へベスの手は俺の腰を抱いて、もう一つの手は下着を押し下げながら陰嚢を包むように押し揉んでいた。
へベスは最後の一滴まで絞り尽くすように俺を舐め回して、さっきとは逆に俺が離してとお願いしても、離してはくれなかった。
全部出てしまうと、後は触られると痛くて、痛いからもう許してと言ってはじめて解放されて、ぎゅっと抱きしめられた。
あつい熱に全身がくるまれるのに、身体が震えた。
こんなのを識って、どうすれば良いんだろう。
へベスがいなくなったら俺はどうするんだろう。セルカに帰った時に、俺は独りで荒野で今日した事を思い出して自分を慰めて生きていくんだろうか。心に思い浮かんだのはそんな事だった。
俺の思い描く未来にゼルドさんは最初からいなかった。
好きだけれど、空の星と同じだ、手の届かない人だ。最初から諦めている。
無性に泣きたくなった。
へベスは一度だけ手の甲で自分の口元を拭い、そのまま俺にキスしてきた。最初にしたキスよりずっと激しくて、息が続かなくなるようなものだった。オレンジの香りと、俺の匂いと味とへベスの唾液が入り混じってぐちゃぐちゃになる。
俺の潤んだ眼を見て、へベスはもう一度、唇に触れるだけのキスをした。
なんでへベスは俺とこういうことができるんだろう。
その答えを聞いたら、俺はへベスにもう触ってと言えなくなる気がして、もう一度キスをねだった。
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