異端の巫子

小目出鯛太郎

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へベスの部屋

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 戦争で下半身を無くして、強化体となりました。幸い石は適合して義足も生体部分も非常に良い状態で融合しています。
 へベスが告げた言葉は暫く俺の頭の中で処理されずにぐるぐると行き場なく回転していた。エヌではない知識が改造体サイボーグかと聞いたことの無い言葉をどこからか引っ張り出す。

 人の身体と変わりないくらいになめらかに動く石の身体…。

「私の身体は日常生活には支障をきたしませんが、この部位は男として機能しません」
 へベスが俺に触れさせている部分は硬い感触がある。

「…機能しなくても、欲望は消えません」
 むしろ、とても強くて嫉妬で巫子をエヌをめちゃくちゃにしてしまいそうですと、へベスは熱い吐息と共に俺に囁き頭をこすりつけた。

「巫子が私に心を傾けてくれると、石の身体も満たされたように感じます。でも私が側にいても、あなたの心は一瞬であの男に支配されてしまう。それが…つらい」


 へベスの辛さを他所に、俺はへベスははずるいんじゃないかと思ってしまった。だって俺が石に触れるよりもずっと敏感に俺の想いがわかってしまうなんて。


「俺はゼルド、さんのことが好きだけど、へベスのことも好きだよ」
 一番ではないけれど、へベスの事は好きだ。好きだけれど俺は自分がすごく怖くなるんだ。俺は俺に優しくしてくれる人は皆好きになってしまうんじゃないかと思って。
 撫でられると誰にでもお腹を見せて撫でてとねだる節操のない馬鹿な犬みたいになりそうですごく怖い。


「俺が好きだって言ったら、へベスの石の部分も満たされる?試してもいい?」
 本当はこんな事、試したり、実験するような事じゃない。

 
「へベスは絶対動いちゃだめだよ」
 へベスの引き結ばれた唇に俺の唇を合わせる。近くにある目が発情を堪えるように光ったとしてもそれはお互い様だから見ぬふりをして俺はへベスの前に跪いた。

 へベスが身じろぎする。
「動いちゃだめだからね」

 動きを制して、俺はへベスのベルトに手をかけた。

 そこで俺は残酷にも思い出した。へベスは俺の身体を自由に操った。俺を勃起させて喘がせて後ろに指を挿れて射精を焦らしたり管理したけれど…。へベスも俺が命じれば何でもしてくれるよね?
 俺が悪戦苦闘して脱がそうとしなくとも見せてと命じれば、ここを曝け出してくれるよね?


  あの時はまだ羞恥と、男同士の性交に対する恐怖があってへベスに見せろと命じる事が出来なかった。見せろと命じる事でそうなってしまうのが怖かったから。でも今は…。


「へベスのここを見せて」
 俺がへベスのベルトに手をかけたまま言うと、彼は辛そうに俺を見下ろしだが言葉通りにベルトを外して、ゆっくりズボンの前をおろした。

 灯りのない薄暗がりの中でもへベスの隠れた部分が肌の色をしていない事がわかって、その時の俺は驚いたのか安堵したのか喜んだのかあまりにも複雑な気分で説明のしようがなかった。

 
 俺がいきたくて、いきたくて乱れて、馬鹿みたいになっていた時にへベスがいつも平然としているように見えるのが俺は嫌だったんだ。もしへベスがそこに触れさせてくれて同じように硬くなっていたら俺はすぐにでもひれ伏しただろうに。

 
 俺はすごく単純で好きになった分同じように返して欲しかった。


 へベスのそこが機能しないのなら、俺と同じだけ感じて欲しい。

 へベス、好きだよ。一番じゃないけれどへベスが好きで、へベスはキスだけでも簡単に俺を支配するんだよ、俺はそんな事を思いながらへベスの灰色の石の部分に口付けた。

 へベスが喉をそらせて鋭く息を吸い込み、耐えきれなかったような嗚咽、喘ぎ、それに似た何かが聞こえただけで俺の身体は熱を持った。

 俺が二回目に唇をつけると動いてはだめだと言ったのに俺の身体を抱き上げてベッドに運んでしまった。多分それは俺がそうしたいと思った事をへベスが感じたからなのか、そうじゃないのか…。



 そうして俺は初めてへベスの部屋で夜を過ごした。


 
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