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「俺は壁になりたいんだ!!」
しおりを挟む前世は腐男子だった、自称メガネモブ君(実は結構出来る)君は異世界に転生しても、腐男子だった。
前世の死因は社畜の夜勤明け、戻ったアパートにて買い込んだBL本の棚が崩れての圧死だった。ある意味で本望だ。
転生した世界はいわゆるナーロッパ的世界。貧乏でもないが裕福でもない男爵家の次男に生まれたモブメガネ君(くり返すが実はデキる)は王国の凱旋パレードにて視線を交わし合う騎士と王子にびびっ! ときてしまう。
とくにあの赤毛の騎士こそ自分の推しと、その憧れを原動力に見事王宮騎士団入りをし、その当時は副団長。今は団長となった彼の副官の地位をGetする。
そして、ときおり騎士団を訪ねてくる王子との間柄を無表情に妄想する。
ああ、自分は副官という名の壁になってよかった……心の鼻血を流す日々。さらに非番の日の楽しみは、同好の士とのサロン。女子しか入会できぬ掟のそこに、モブメガネ君は女装して参加していた。デキるメガネモブ君は、メガネを外すと実は黒髪の美少女顔でもあったのだ。
◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇
今日も今日とて、そのサロンにて話題の貴公子達の話題に花を咲かせる。女神の祝福でも男同士の愛が許されたこの世界。そんな麗しの男達の話題に花を咲かせ、自分達の考えた受け攻めとは逆だったと嘆いた上に、同好の士同士で考えた小冊子を交換し合う。
今日も収穫だったと、薄い小冊子を抱えて、自分が男と知る友人の令嬢と同じ馬車での帰宅中。いきなりその馬車が囲まれて謎の暴漢に襲われる。
その暴漢の剣をうばいとり、すらりと抜いて、メガネモブ君もとい、黒髪ひらりの美少女は反撃する。(くり返すがモブ君は文武両道デキるw)
しかし多勢に無勢、さらに友人を人質にとられてモブ君も剣を捨てるしかなくなる。
これまでか……と思ったときに、馬にまたがり颯爽と現れたのは騎士団長。再び剣を手にしたモブ君とともに、華麗に二人で撃退する。
マジマジとモブ君の顔を見た団長にバレたか?と思ったが彼はひと言「美しい」と。
バレ無かったことにホッとする、メガネモブ君であったが、この頃、貴族やブルジョアの令嬢狙いの誘拐団が出ていること、それが身代金要求もない不気味なもので、誘拐された令嬢も未だ見つかっていないというもので、偽名を名乗ったメガネモブ君は事件解決に協力することになってしまう。
普段は外部者など、ましていくら剣の腕が立つとはいえ女子に助けを求めるなんて……とそこは疑問に思ったメガネモブ君であったが、なんと驚愕の事実が発覚する。
「どうやら、私はあの可憐な令嬢にひと目惚れしてしまったようだ……公私混同などらしくない……」
それからは騎士団長の恋愛相談を受ける副官と、その騎士団長と逢い引き……じゃない誘拐事件の捜査をする令嬢の二重生活が始まる。
団長の実は自分である令嬢に対する愛の告白を聞く日々に、メガネモブ君の心はチクチクと痛む。この痛みは罪悪感なのか、それとも自分自身である令嬢への嫉妬なのか?
いやいや、自分は壁になりたいモブの身。騎士団長と王子との妄想をしたいのに、この気持ちはなに?と戸惑うモブ。
そのあいだにも、事件の捜査は進み、令嬢達の誘拐は美少女趣味の変態王弟公爵の仕業とわかる。王家の闇の罪を暴く王子と騎士団長。やはりこのお二人ことお似合いだと。
メガネモブ君はそっと身を引く決意をする。
そして、黒髪のカツラをはずしメガネをかけた姿となって「副官?」と訊ねる団長に微笑みかける。
「いままで騙していてすみませんでした。騎士団をやめます。もうあなたの前にも現れません」
騎士団長の前から去ろうとするメガネモブ。
しかし、そのモブの身体をふわりと浮いて、肩に担ぎ上げられていた。
「は、離してください!」
「離さない!」
ぽんと放り込まれた先は、団長の私室の豪奢なベッド。のしかかる団長にメガネモブは「正気になってください!」と叫ぶ。
「僕は男です!」
「君が男だろうが女だろうが愛してる!」
それにきゅんとしてしまったモブはおいしくいただかれてしまう。自分はモブで一生壁の予定だったのに……。
◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇
そして、今日も今日とて。
「イケナイ子だ。またあのサロンにいってこんな本を……」
「あ、やめて耳元で……そんな」
自分や同好の士が妄想したあんなことやこんなことを、耳元で良いお声で音読されながら、実地プレイされる恥辱に悦んでしまう、メガネモブ君だった。
「俺は壁になりたいんだ」
END
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