詩の隠れ家

凛七星

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終わりの始まり

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孤独を確立しないかぎり
人生は始まらない
寂寥を自分の中で
ぐっと噛み殺し
それでも生きていく
覚悟があるはずと
自分に問い質す


壁のスイッチを押し
灯りを消した部屋の
暗がりの中で
身を震わせながら
粛然として襟を正し
少しばかりの滑稽と
えぐられた哀しみを
確かめてみる


どこからか耳に届く
荘厳な調べは
静かで精緻な美しい
和音ばかりではなく
不協和音やミスタッチも
あるからこそ退屈を
しなくてすむ


冴えわたる精神の泉に
「なぜ?」という波紋が
わたしという個の存在と
永遠の通路をつなぎ
聖性の予め定められた
残酷な運命を知る


だがそれでも
そうであるとしても
わたしは先へ先へと
進まねばならない
さらなる結びと
深まる霊の交わりのために
わたしの終わりに
わたしの始まりがあるのだから

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