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16.幸せな暮らし
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アーラクト公爵家に引き取られたことで、私の人生は好転したといえる。
父と母と二人で暮らしていた時と比べると、信じられない程恵まれている。
あの時の生活は、今考えてみると、本当に滅茶苦茶だった。幸福とはいえないその生活に、私の心も疲れ切っていたのかもしれない。
「だからこそ、この痣が呪われた痣に思えたのかな……?」
私は、改めて自身の腕にある痣を見つめていた。
これが不幸を呼ぶ呪われた痣――それは、あの生活があったからこそ、思い込んでしまったのかもしれない。
アーラクト公爵家の人々は、この痣のことを気にしていない。私のことを気遣い大切にしてくれている。そんな中で過ごしたことで、私も痣のことはそれ程気にならなくなってきた。
「例えこれが本物だったとしても、私は負けない……」
この痣が本物か偽物か、それは今となってはもうどうでも良いことである。
本物であるならば、立ち向かえばいいだけだ。アーラクト公爵家の人々が、私にそれを教えてくれた。
「……ルナリア」
「え?」
私が中庭でぼんやりと考えていると、声が聞こえてきた。
声のした方向を見てみると、ヴェルラン様がいた。彼はいつも通り少しぎこちなく、こちらに近づいてくる。
「こんな所にいたのか。父上が探していたぞ」
「そうなのですか? それなら急がないと……」
「ああいや、火急の用事という訳ではないようだ」
伯父様が探しているなら、すぐに向かわなければならない。そう思った私に対して、ヴェルラン様は首を横に振る。
急がなくても良いということは、わかった。しかしどちらにしても、探しているなら行った方が良いのではないだろうか。
そう思ったが、ヴェルラン様の態度に私は動きを止めることになった。なんとなく彼が、話したそうにしていることが読み取れたからだ。
「ヴェルラン様、どうかされましたか?」
「え?」
「なんだか話したいことがありそうな気がしましたが……私の勘違いでしょうか?」
「ああいや、そうだな。少しだけ聞いておきたかったんだ。今ルナリアは、幸せなのかって……」
私の質問に、ヴェルラン様は頬をかきながら聞いてきた。
それに私は、笑顔を浮かべる。彼の質問に対する答えは、考えるまでもなく決まっていることだからだ。
「もちろんです。私は今、幸せですよ」
「そ、そうか……」
「アーラクト公爵家は、本当に居心地が良くて……私なんかが、こんな所にいてもいいのかと思うくらいです」
「それはいいに決まっているさ。むしろ今までがおかしかったくらいだ。ルナリアは、幸せになるべきさ」
ヴェルラン様は、とても力強い言葉をかけてくれた。
やはり彼も、アゼルト様やイフェリア様と同じだ。私のことを心から思ってくれている。そんな人達に囲まれている幸せを、私は噛みしめていた。
END
父と母と二人で暮らしていた時と比べると、信じられない程恵まれている。
あの時の生活は、今考えてみると、本当に滅茶苦茶だった。幸福とはいえないその生活に、私の心も疲れ切っていたのかもしれない。
「だからこそ、この痣が呪われた痣に思えたのかな……?」
私は、改めて自身の腕にある痣を見つめていた。
これが不幸を呼ぶ呪われた痣――それは、あの生活があったからこそ、思い込んでしまったのかもしれない。
アーラクト公爵家の人々は、この痣のことを気にしていない。私のことを気遣い大切にしてくれている。そんな中で過ごしたことで、私も痣のことはそれ程気にならなくなってきた。
「例えこれが本物だったとしても、私は負けない……」
この痣が本物か偽物か、それは今となってはもうどうでも良いことである。
本物であるならば、立ち向かえばいいだけだ。アーラクト公爵家の人々が、私にそれを教えてくれた。
「……ルナリア」
「え?」
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「そうなのですか? それなら急がないと……」
「ああいや、火急の用事という訳ではないようだ」
伯父様が探しているなら、すぐに向かわなければならない。そう思った私に対して、ヴェルラン様は首を横に振る。
急がなくても良いということは、わかった。しかしどちらにしても、探しているなら行った方が良いのではないだろうか。
そう思ったが、ヴェルラン様の態度に私は動きを止めることになった。なんとなく彼が、話したそうにしていることが読み取れたからだ。
「ヴェルラン様、どうかされましたか?」
「え?」
「なんだか話したいことがありそうな気がしましたが……私の勘違いでしょうか?」
「ああいや、そうだな。少しだけ聞いておきたかったんだ。今ルナリアは、幸せなのかって……」
私の質問に、ヴェルラン様は頬をかきながら聞いてきた。
それに私は、笑顔を浮かべる。彼の質問に対する答えは、考えるまでもなく決まっていることだからだ。
「もちろんです。私は今、幸せですよ」
「そ、そうか……」
「アーラクト公爵家は、本当に居心地が良くて……私なんかが、こんな所にいてもいいのかと思うくらいです」
「それはいいに決まっているさ。むしろ今までがおかしかったくらいだ。ルナリアは、幸せになるべきさ」
ヴェルラン様は、とても力強い言葉をかけてくれた。
やはり彼も、アゼルト様やイフェリア様と同じだ。私のことを心から思ってくれている。そんな人達に囲まれている幸せを、私は噛みしめていた。
END
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