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3.公爵との対面
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「ふむ、双子の妹と聞いていたが、見た目は確かにそっくりだな」
ボルガン公爵は、私を舐め回すように見ていた。
彼の視線は、不愉快なものである。どうやら彼は、紳士としての立ち振る舞いなんてする気はないらしい。その下卑た感情を隠すことなく、私に向けてきている。
「さて、セフィーナ嬢……ああいや、君はセフィーナではなかったのかな?」
「……ソフィーナと申します」
「そうか。そういうことなら、ソフィーナ嬢、これからしばらくの間よろしく頼むぞ?」
ボルガン公爵は、そう言って笑っていた。
これは婚約であり、これから私達は一応夫婦となるはずなのだが、彼にはやはりそんなつもりは毛頭ないようである。しばらくの間――それはきっと、一年に満たない間だろう。彼は私を弄んで、放り出すつもりなのだ。
「……父上、いらっしゃいますか?」
「む? その声はハルベルトか? 入っていいぞ」
「失礼します」
私がそんなことを考えていると、部屋の中に一人の男性が入ってきた。
その男性のことは、知らない訳ではない。彼はボルガン公爵の息子であるハルベルト様だ。確か公爵にとっては、八番目か九番目くらいの子供だったと思う。一応、正式に結婚した奥様との間にできた子供だったはずだ。
「何かあったのか?」
「ええ、父上に客人です。ローガンタの踊り子と言えばわかると言われましたが……」
「ああ、彼女のことか。わかった、すぐに行く」
ハルベルト様の言葉に応えたボルガン公爵は、私のことを気にすることもなく部屋から出て行ってしまった。
それはつまり、その踊り子ともそういった関係であるということだろうか。私は思わずため息をついてしまう。
「……あなたは、ソフィーナ嬢ですね?」
「え? ああ、はい」
「僕の名前は、ハルベルトといいます。ボルガン公爵家の三男……ということになっていますが、父上はああいう人なので、それは定かではありません」
ハルベルト様の自己紹介は、ボルガン公爵の歪さを表していた。
彼の子供の正確な数は、不明である。多くの女性と関係を持っている彼には、何人もの隠し子がいるらしい。
そういった事実を、ボルガン公爵は権力で隠している。一応、領地の管理などは真面目に行っているらしいが、それ以外のことに関しては暴君といっていいような振る舞いだ。
「あなたも既にわかっているかもしれませんが、父上は凡そまともな人間ではありません」
「……失礼ながら、そのようですね。今対面して話してみて、彼が評判通りの人間であるということを思い知りました」
「申し訳ありません。父上がご迷惑をおかけしたようですね。しかし、ご安心ください。これからなたに、指一本触れさせるつもりはありませんから」
「え?」
つい恨み言を口にした私に対して、ハルベルト様は予想していなかった言葉をかけてきた。
ボルガン公爵の振る舞いに彼が不満を抱いていることは、言動からわかることではある。しかしだからといって、指一本触れさせるつもりがないというのは、いくらなんでも大言ではないだろうか。
「とりあえずついて来てください。今はとにかく、時間がありませんので」
「あっ……」
ハルベルト様は、私の手を握り引っ張ってきた。
呆気に取られていた私は、彼にそのまま連れて行かれる。一体ハルベルト様は、どういうつもりなのだろうか。
ボルガン公爵は、私を舐め回すように見ていた。
彼の視線は、不愉快なものである。どうやら彼は、紳士としての立ち振る舞いなんてする気はないらしい。その下卑た感情を隠すことなく、私に向けてきている。
「さて、セフィーナ嬢……ああいや、君はセフィーナではなかったのかな?」
「……ソフィーナと申します」
「そうか。そういうことなら、ソフィーナ嬢、これからしばらくの間よろしく頼むぞ?」
ボルガン公爵は、そう言って笑っていた。
これは婚約であり、これから私達は一応夫婦となるはずなのだが、彼にはやはりそんなつもりは毛頭ないようである。しばらくの間――それはきっと、一年に満たない間だろう。彼は私を弄んで、放り出すつもりなのだ。
「……父上、いらっしゃいますか?」
「む? その声はハルベルトか? 入っていいぞ」
「失礼します」
私がそんなことを考えていると、部屋の中に一人の男性が入ってきた。
その男性のことは、知らない訳ではない。彼はボルガン公爵の息子であるハルベルト様だ。確か公爵にとっては、八番目か九番目くらいの子供だったと思う。一応、正式に結婚した奥様との間にできた子供だったはずだ。
「何かあったのか?」
「ええ、父上に客人です。ローガンタの踊り子と言えばわかると言われましたが……」
「ああ、彼女のことか。わかった、すぐに行く」
ハルベルト様の言葉に応えたボルガン公爵は、私のことを気にすることもなく部屋から出て行ってしまった。
それはつまり、その踊り子ともそういった関係であるということだろうか。私は思わずため息をついてしまう。
「……あなたは、ソフィーナ嬢ですね?」
「え? ああ、はい」
「僕の名前は、ハルベルトといいます。ボルガン公爵家の三男……ということになっていますが、父上はああいう人なので、それは定かではありません」
ハルベルト様の自己紹介は、ボルガン公爵の歪さを表していた。
彼の子供の正確な数は、不明である。多くの女性と関係を持っている彼には、何人もの隠し子がいるらしい。
そういった事実を、ボルガン公爵は権力で隠している。一応、領地の管理などは真面目に行っているらしいが、それ以外のことに関しては暴君といっていいような振る舞いだ。
「あなたも既にわかっているかもしれませんが、父上は凡そまともな人間ではありません」
「……失礼ながら、そのようですね。今対面して話してみて、彼が評判通りの人間であるということを思い知りました」
「申し訳ありません。父上がご迷惑をおかけしたようですね。しかし、ご安心ください。これからなたに、指一本触れさせるつもりはありませんから」
「え?」
つい恨み言を口にした私に対して、ハルベルト様は予想していなかった言葉をかけてきた。
ボルガン公爵の振る舞いに彼が不満を抱いていることは、言動からわかることではある。しかしだからといって、指一本触れさせるつもりがないというのは、いくらなんでも大言ではないだろうか。
「とりあえずついて来てください。今はとにかく、時間がありませんので」
「あっ……」
ハルベルト様は、私の手を握り引っ張ってきた。
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