誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗

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49.動く事態

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「レリクス様、王家の力を使うとはどういうことですか?」
「言葉通りの意味ですよ。王家の権力を使って、オルフェント公爵家を黙らせるのです」
「そんなことをしていただけるんですか?」
「ええ、大切な友人のために一肌脱ぐのは、僕としてもやぶさかではありません」

 レリクス様は、いつも通りの笑顔でそう言ってきた。
 王家の権力、それはオルフェント公爵家を黙らせることができる唯一のものだ。
 それを使ってくれるというのは、とてもありがたい。

 だが、本当に大丈夫なのだろうか。
 今の彼は、悪しき王が宿っている。そんな状態の彼の言葉を、簡単に信じていいのだろうか。

「ただ、一つ条件があります」
「条件……?」
「ええ、あなたの身に宿る龍……ズグヴェルさんを僕にくれませんか?」
「え?」

 レリクス様の突然の言葉に、私は驚いていた。
 その直後、彼の腕がゆっくりとこちらに伸びてくる。それは、私の背中、左肩の辺りに向かっているように見える。

「うぐっ……!」

 しかし、レリクス様の腕は制止した。
 私の痣から出た漆黒の腕が、彼の腕を止めたのである。

 事態が動いた。そう思った時には既に、私の意識は深い所に落ちていた。
 ズグヴェルさんが、私の体を乗っ取ったのである。

「ついに動いたか……悪しき王よ」
「さて、どうでしょうか……」
「む……?」

 腕を封じられたが、レリクス様は笑っていた。
 その笑みは少し苦しそうではあるが、まだ余裕がありそうだ。

「今のお前は、レリクスなのか? それとも、奴なのか?」
「それを僕が素直に答えられると思いますか?」
「なるほど……」

 レリクス様の体に、ゆっくりと黒い腕が巻き付いていく。どうやら、彼の体を拘束するつもりのようだ。
 レリクス様は、それに特に抵抗しなかった。いや、できなかっただけなのかもしれないが。

「少々、失礼するぞ?」
「うぐっ……」

 私の体は、ゆっくりとレリクス様に近づきその手を伸ばした。
 そして、そのまま彼の制服に手をかける。恐らく、服を脱がせるつもりなのだろう。

 一体、ズグヴェルさんは何をするつもりなのだろうか。
 レリクス様の綺麗な肌が露わになる様を見ながら、私はそんな疑問を覚えていた。

 だが、彼の意図はすぐに理解できた。
 なぜなら、レリクス様の胸に刻まれている大きな痣が見えてきたからだ。

「ドグマード……ここにいたか」

 私の体は、ゆっくりとそのように声を出した。
 その大きく禍々しい痣こそが、悪しき王ドグマードが宿っている証であるようだ。
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