「優秀な妹の相手は疲れるので平凡な姉で妥協したい」なんて言われて、受け入れると思っているんですか?

木山楽斗

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12.二人での調査

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 私は、ゼルート様と一緒に廊下を歩いていた。
 クラスメイトではあるが、これまで彼とはほとんど交流などはなかったため、不思議な感覚である。

 一緒に歩いてわかったことは、公爵家の令息である彼も、この学園では普通に一生徒としか見られていないということだ。特に注目されたりはしていない。まあ、私も普段そういったことは気にしていないし、そういうものなのだろうか。

「さてと、今回僕達はオーディス・トレファー侯爵令息について調べます。リメルナ嬢やフェルトが動くと、ややこしいことになりかねないので、その役目を担うのは僕達ですね」
「えっと、すみませんね、ゼルート様まで巻き込んでしまって」
「いえ、これも乗りかかった船ですからね」

 リメルナと話し合った結果、オーディス様のことは放っておけないということになった。
 オーディス様の主張というものは厄介極まりない。このままではその主張が、正となりかねないからだ。
 彼には、発言力がある。それなりに人望もありそうだったし、噂を誰もが信じたら手をつけられないことになるかもしれない。現に噂は、どんどんと広まっている。

 当然のことながら、リメルナはオーディス様との婚約等は望んでいない。彼女にはフェルトという心に決めた人がいる。その人以外と結婚するつもりなどはないそうだ。
 私としても、オーディス様との婚約などは回避するべきものだと思う。今回のことからもわかる通り、彼はまともではない。できることなら関わり合いになりたくないような人である。

 そのため私とリメルナは、この状況をなんとかするための行動を開始することにした。
 ただ、リメルナがオーディス様に近づくのは状況的に良くない。という訳で、主だって動くのは私ということになった。ゼルート様は、それを手伝ってくれている。

「それに、既に知っている通りフェルトとは入学以来の友人ですからね。彼とリメルナ嬢の結婚を僕は応援しています。二人のためにできることがあるならしたいと思っている。それだけのことですよ」
「素晴らしい友情ですね……でも、どうして公爵令息のあなたと平民のフェルトさんが?」
「言葉にするのは難しいですね。単に気が合ったといいますか、縁があったのですよ」
「……まあ、そういうものですかね。下らない質問をしてしまい、申し訳ありません」
「いえ、お気になさらず」

 ゼルート様の助力は、私にとってありがたいものだった。
 成績優秀な彼が助けてくれれば、きっと上手くいくだろう。もちろん、私も頑張るつもりだ。ロディオン子爵家の未来のためにも、しっかりと務めるとしよう。
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