勝手に期待しておいて「裏切られた」なんて言わないでください。

木山楽斗

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24.気になっていたこと

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「……所で、一つ聞いておきたいんですけれど」
「うん? どうかしたのか?」

 お姉様と騎士の兄弟の出会いを聞いた私は、前々から少し気になっていたこともついでに聞いてみることにした。
 それをレオールさんに聞いていいのかどうかは、正直わからない。ただこのまま抱えておくのもなんだし、やはり思い切って聞いておいた方がいいだろう。

「その、お二人はお姉様に恋愛感情などを持っていたりしますか?」
「え? あいたっ……」
「レオールさん? だ、大丈夫ですか?」

 私の質問に、レオールさんは手に持っていた荷物を足元に落とした。
 なんというか、彼はかなり動揺しているらしい。もしかして、私の質問が的を射ていたということなのだろうか。

「……だ、大丈夫だ。それで、えっと、恋愛感情の話だったか?」
「ええ、なんとなくそうではないのかと思ったんですけど」
「それは俺の話か、それとも兄貴の話か?」
「どちらかというと、ルバートさんですけど……」
「それならあんたの勘は正しいといえるかもしれないな。確かに兄貴は、レネシアに惚れている節がある」

 レオールさんは、足のつま先を押さえながら私の質問に答えてくれた。
 やはり、ルバートさんの方はそうだったようである。私の勘も、案外鋭いものだ。

「レオールさんは違うんですか?」
「俺は違うさ。別にあの人にそんな感情は抱いていない」
「そうなんですか……」
「ああ、違うとも」

 レオールさんは、私の顔を見ながらはっきりとそんなことを言ってきた。
 どうやら兄弟で恋敵だとか、そういうことではないらしい。
 それはなんだか、安心することができる。もしもそうだったら、どちらも応援することができなくなってしまうからだ。

「ふふ、お姉様はいい人と巡り会えたみたいですね……まあ、お姉様側の気持ちはまったくわかりませんが」
「まあ、その辺りに関してはあんたに頼りたい所かもしれないな」
「そういうことなら、任せてください。私もルバートさんの恋を応援しますよ」

 とりあえず私は、お姉様にそれとなく事情を聞いてみることを決めた。
 ルバートさんはいい人みたいだし、できる限り協力してあげたい。ここは私が、一肌脱ぐことにしよう。

「……しかし、そういうあんたはどうなんだ?」
「え? 私ですか?」
「いい人とかそういう人はいないのかよ?」
「ええ、今の所はいませんね……まあ、それに関してはこれから、ですね」

 レオールさんの質問に、私はそのような答えを返していた。
 正直な所、恋愛なんて今までの人生で考える暇はなかった。これからはそれについても、もっと向き合えるのだろうか。
 そんなことを思いながら、私は引っ越しの作業をレオールさんとともに続けるのだった。
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