誰からも必要とされていないから出て行ったのに、どうして皆追いかけてくるんですか?

木山楽斗

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3.友人達の婚約

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 ヴェリトン伯爵家のイグニスとシェレーゼ伯爵家のシスティアとは、同じ伯爵家の令息令嬢で同い年ということもあって、幼少期の頃から仲良くしていた。
 マートン伯爵家も含めて、三家の仲が良好だったことも、私達が親交を深めていた理由の一つだ。だからその二家との間で婚約が成立するというのは、何もおかしいことではない。

「二人とも、本当におめでとう。なんだか私まで嬉しいよ」
「ありがとう、ミリーシャ。他ならぬあなたにそう言ってもらえることが、私は嬉しくて仕方ないわ」
「イグニス、システィアのことは頼んだよ?」
「ああ、任せておいてくれ。システィアのことは、俺が必ず幸せにするからな」

 幼馴染二人の婚約は、私にとって心から嬉しいものだった。
 イグニスとシスティアは、幼い頃から惹かれ合っている節があった。そういった点も考慮されて、二人の婚約は決まったのかもしれない。

 それは本当に、喜ばしいものである。しかし一方で、私はこの状況に疎外感のようなものを覚えていた。
 同い年の二人は、貴族として順調に歩みを進めている。だけど私は、妹に立場を奪われて、政略結婚の道具としても期待されていない。その事実が、重くのしかかってきた。

「……さてと、そろそろ私は帰らせてもらうね」
「え? もう帰るのかよ」
「うん。邪魔したら悪いし……」
「別にそんなこと気にする必要はないのに……」
「そ、そうだぞ?」

 二人の婚約は、私達三人の関係性を大きく変えるものだといえる。
 もう今まで通りの三人ではいられないのだ。二人と一人になった。それもまた、私の中が孤独に思う理由の一つかもしれない。

 イグニスもシスティアも、決して口にすることはないだろうが、二人にとって今の私は邪魔者でしかないだろう。今の二人にとって、二人の時間は大切なはずだ。
 きっとこれからは、以前のような交流も少なくなっていくだろう。二人は何れシェレーゼ伯爵夫妻になっていき、その付き合いもメセリアの方に移っていくかもしれない。マートン伯爵家を背負うのは、彼女である訳だし。

「ふふっ、二人ともこれからも仲良くね?」
「え? あ、ああ、それはまあもちろん……」
「……そ、そのつもりよ。一応、私達は円満に夫婦になる訳だし、ね?」

 私の言葉に、二人は笑顔を浮かべてくれていた。
 もしかしたらこれが、二人との最後の時間になるかもしれない。私の頭には、そのような考えが過っていた。

 マートン伯爵家の屋敷に戻っても、私は一人だ。私の居場所は、どこにもない。
 それがなんだか、いつになく悲しく思えてきた。私は一体、どこに向かって行けば良いのだろうか。
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