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4.同じ長子でも
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「あら、アルディス様ではありませんか」
「ミリーシャ嬢……来ていたのですね」
ヴェリトン伯爵家の屋敷から去ろうとしていた私は、その道中でアルディス様と顔を合わせることになった。
彼はイグニスのお兄様であり、このヴェリトン伯爵家の嫡子だ。当然のことながら、私とも顔見知りである。一応それなりに、仲良くさせてもらっているつもりだ。
「イグニス様とシスティア嬢の婚約の件をお祝いしに来たんです」
「ああ、なるほど、そのことですか……」
「……どうかされましたか?」
私の言葉に対して、アルディス様は苦笑いを浮かべていた。
その反応に、私は少し違和感を覚える。彼は明らかに、歯切れが悪い。
「ああいや、些細なことなのですがね。僕としては、今回の婚約には色々と思う所がありまして。何せ、弟に先を越された訳ですから」
「あ、言われてみれば、そういうことになるのですね……」
「嬉しいと思っていますし、祝福もします。しかし焦りもあるのです。もっとも、こればかりは縁に恵まれなければなりませんからね」
「ええ、きっと焦っても仕方ないことですよ」
アルディス様は、自分がまだ婚約などしていないことを少し悲観しているようだった。
彼は私達よりも二歳年上である。そのことから焦りなどが、やはりあるのだろうか。
ただ彼は、ヴェリトン伯爵家の嫡子だ。その婚約者選びは、慎重に行われるべきものだろう。決まっていないのも、ある程度仕方ないことなのかもしれない。
「婚約ということに関しては、ミリーシャ嬢も特にまだ決まっていないのでしょうか?」
「え? ああ、はい……」
そこでアルディス様から、少し嫌な質問が飛んできた。
私の婚約、それは確かに決まっていない。ただそれは、そもそも期待されていないことだ。マートン伯爵家が、そのことに積極的になることはない。
「お互いにままならないものですね。とはいえ、悲観ばかりしても仕方ありませんか。僕達も貴族の一員として、やるべきことをやらなければならない」
「そうですね……」
「む……ミリーシャ嬢? どうかされましたか?」
私とアルディス様との間には、決定的な違いがある。それを実感して私は、少し気落ちしてしまった。
そんな私をアルディス様は、少し心配そうに見つめてくる。どうやら余計な気遣いをさせてしまったらしい。
「すみません。色々と考えてしまって……あの、そろそろ私は失礼させてもらいますね」
「ええ……呼び止めてしまって、申し訳ありませんでしたね」
「いえ、気にしないでください」
謝罪の言葉を口にしてから、私は逃げるようにその場を後にした。
あれ以上話していると、色々と零してしまいかねない。アルディス様に迷惑をかけないためにも、私は強引に会話を切り上げたのだった。
「ミリーシャ嬢……来ていたのですね」
ヴェリトン伯爵家の屋敷から去ろうとしていた私は、その道中でアルディス様と顔を合わせることになった。
彼はイグニスのお兄様であり、このヴェリトン伯爵家の嫡子だ。当然のことながら、私とも顔見知りである。一応それなりに、仲良くさせてもらっているつもりだ。
「イグニス様とシスティア嬢の婚約の件をお祝いしに来たんです」
「ああ、なるほど、そのことですか……」
「……どうかされましたか?」
私の言葉に対して、アルディス様は苦笑いを浮かべていた。
その反応に、私は少し違和感を覚える。彼は明らかに、歯切れが悪い。
「ああいや、些細なことなのですがね。僕としては、今回の婚約には色々と思う所がありまして。何せ、弟に先を越された訳ですから」
「あ、言われてみれば、そういうことになるのですね……」
「嬉しいと思っていますし、祝福もします。しかし焦りもあるのです。もっとも、こればかりは縁に恵まれなければなりませんからね」
「ええ、きっと焦っても仕方ないことですよ」
アルディス様は、自分がまだ婚約などしていないことを少し悲観しているようだった。
彼は私達よりも二歳年上である。そのことから焦りなどが、やはりあるのだろうか。
ただ彼は、ヴェリトン伯爵家の嫡子だ。その婚約者選びは、慎重に行われるべきものだろう。決まっていないのも、ある程度仕方ないことなのかもしれない。
「婚約ということに関しては、ミリーシャ嬢も特にまだ決まっていないのでしょうか?」
「え? ああ、はい……」
そこでアルディス様から、少し嫌な質問が飛んできた。
私の婚約、それは確かに決まっていない。ただそれは、そもそも期待されていないことだ。マートン伯爵家が、そのことに積極的になることはない。
「お互いにままならないものですね。とはいえ、悲観ばかりしても仕方ありませんか。僕達も貴族の一員として、やるべきことをやらなければならない」
「そうですね……」
「む……ミリーシャ嬢? どうかされましたか?」
私とアルディス様との間には、決定的な違いがある。それを実感して私は、少し気落ちしてしまった。
そんな私をアルディス様は、少し心配そうに見つめてくる。どうやら余計な気遣いをさせてしまったらしい。
「すみません。色々と考えてしまって……あの、そろそろ私は失礼させてもらいますね」
「ええ……呼び止めてしまって、申し訳ありませんでしたね」
「いえ、気にしないでください」
謝罪の言葉を口にしてから、私は逃げるようにその場を後にした。
あれ以上話していると、色々と零してしまいかねない。アルディス様に迷惑をかけないためにも、私は強引に会話を切り上げたのだった。
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