婚約破棄が、実はドッキリだった? わかりました。それなら、今からそれを本当にしましょう。

木山楽斗

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 私は、屋敷の自室にて新聞を読んでいた。
 この新聞には、国であった様々な事件が記されている。いつもなら気軽に読める新聞だが、最近は少し違う。自分自身のことが記されているかもしれないからだ。
 聞いた話によると、今日の新聞に私のことが乗っているらしい。取材を受けた時に、そのように言っていたので、特に問題がなければ乗っているはずだ。

「さてと……あっ」

 新聞を見てみると、そこには大きな見出しで、私のことが書いてあった。予定通り、私とルグファド様の事件が国中に伝わることになるようだ。
 とりあえず、私はそれに目を通していく。新聞には、事件の経緯が記されている。その記述に特に誤りはない。

 取材の時に知ったが、ルグファド様は本当に事件のことを正直に報告していた。自分に不利になるはずの証言も、しっかりとしたようである。
 もっとも、彼の場合はそれが不利になるとわかっていなかっただけだ。自分本位な彼は、自分の行動が全て正しいと思っている。だから、正直に話したのだ。決して、彼が公平な人間であるということではない。

「ドッキリね……」

 新聞には、ルグファド様がドッキリを仕掛けたと書いてあった。こうやって文面で見ると、改めてそれが非常に滑稽であることがわかる。

「情けない……」

 その滑稽なものに自分が巻き込まれているという事実に、私は頭を抱えた。別に私は悪くないはずなのだが、なんだか無性に恥ずかしくなってくる。
 この記事が、国中に広まるのだ。それは、寒気がする程嫌なことである。今度他の貴族と会った時に、笑われたりしないだろうか。

 いや、笑われるようになるのはルグファド様であるはずだ。私は愚かな男の被害者と同情してもらえるはずである。
 そのために、私はこの事件を公表することを望んだのだ。それを忘れてはならない。

「というか、よく考えてみると、これじゃあ、貴族どころか平民にも知れ渡るのでは……?」

 そこで、私はあることに気づいた。新聞は平民も読むので、そこにまで私達の事件は知れ渡ってしまうのだ。
 新聞に載せるのだから、それは当然のことである。今まで何故気づかなかったのだろうか。私は、相当馬鹿だったようだ。

「これから、どんな顔をして出歩けばいいの……?」

 この事件が世間に知れ渡ったということは、これから出歩く時に、私はドッキリをかけられた人と思われるということだ。なんだか、とても恥ずかしい。真剣な顔をして歩いていても、なんだか滑稽に見られるのではないだろうか。
 考えすぎかもしれないが、私はそんなことを思っていた。世間に事件を公表するということは、もしかしたら色々と問題があることだったのかもしれない。
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