1 / 24
1.無茶な要求
しおりを挟む
「アフィーリ様、お疲れ様です」
「お疲れさまでした。トルフェリア様」
「あの……本当にもう帰っていいんですか?」
「はい、大丈夫です。後は私に任せてください。トルフェリア様は早く休んで、どうか魔力を回復させてください。明日も、多分忙しくなりますから」
「……お役に立てずにすみません」
聖女である私には、人並み外れた魔力がある。トルフェリア様も優秀な方ではあるが、私の七割くらいの魔力しか持っていないだろう。
故に、この場に私が留まり、彼女を帰すのは当然のことだった。彼女がここにいても、もうできることなどないのだから。
「王国全土を監視する魔法システム……こんな馬鹿げたもの、一体誰が考えたんだろう」
私は、聖女として王国の魔法に関する事柄を取り仕切る立場にある。このウォーマルス王国ではそのようになっているとされているが、実際はそうではない。
王国である以上、この国を支配しているのは王族だ。現在、王国では王子達がそれぞれの分野のトップとなっている。国王様は、その働きによって次期国王を決めるらしい。
私の上司は、第三王子であるドルマール様だ。彼は、私の婚約者でもある。聖女になった際、そう約束されてしまったのだ。
「権力争いか……そんなものに私達を巻き込むのはやめて欲しいんだけどね」
ドルマール様の性格は、最悪だった。人を見下し、権力欲に溢れた彼は凡そ人の上に立つ器ではない。
そんな彼は、次期国王の座を狙っている。いや、狙っていない王子など恐らくいないだろう。皆、全力で成果をあげて王座を手にしようとしている。
ドルマール様の問題は、その玉座の狙い方だ。彼は、私達に無茶な要求をして、それを叶えようとしている。部下のことを考えず、自分の成果しか考えていないのだ。
「……こんなのは無理だ。そもそも期間が短すぎる。次から次へと、いくつもいくつも」
ドルマール様の無茶な要求を私と部下達はなんとか叶えてきた。通常なら考えられない程の期間で、王国に利益を生む魔法などを開発してきた。
だが、流石にそろそろ限界である。魔力は回復するものだが、こうも色々な要求を重ねられてしまうとやりくりができない。完全に回復する前に魔力を消費してしまう。
「がはっ……」
この国で最も大量の魔力を持つであろう私すら、限界が訪れているのだ。部下の人達は、もう限界を超えているといえるだろう。
このままでは、この国の魔法関係は崩れる。私は、そう思うようになっていた。
だが、そもそもそれはわかっていたことである。それは、ドルマール様にも言っていた。しかし、彼はそれをまったく聞き入れてくれなかったのである。
「なんとかしなければならない……とにかく、彼と話してみるしかないか」
このままドルマール様の要求を受け入れる訳にはいかない。それを理解した私は、彼にもう一度抗議することを決意した。
彼がそれを聞いてくれるかどうかはわからない。だが、何もしなければ潰れるだけだ。とにかく行動するしかない。
「お疲れさまでした。トルフェリア様」
「あの……本当にもう帰っていいんですか?」
「はい、大丈夫です。後は私に任せてください。トルフェリア様は早く休んで、どうか魔力を回復させてください。明日も、多分忙しくなりますから」
「……お役に立てずにすみません」
聖女である私には、人並み外れた魔力がある。トルフェリア様も優秀な方ではあるが、私の七割くらいの魔力しか持っていないだろう。
故に、この場に私が留まり、彼女を帰すのは当然のことだった。彼女がここにいても、もうできることなどないのだから。
「王国全土を監視する魔法システム……こんな馬鹿げたもの、一体誰が考えたんだろう」
私は、聖女として王国の魔法に関する事柄を取り仕切る立場にある。このウォーマルス王国ではそのようになっているとされているが、実際はそうではない。
王国である以上、この国を支配しているのは王族だ。現在、王国では王子達がそれぞれの分野のトップとなっている。国王様は、その働きによって次期国王を決めるらしい。
私の上司は、第三王子であるドルマール様だ。彼は、私の婚約者でもある。聖女になった際、そう約束されてしまったのだ。
「権力争いか……そんなものに私達を巻き込むのはやめて欲しいんだけどね」
ドルマール様の性格は、最悪だった。人を見下し、権力欲に溢れた彼は凡そ人の上に立つ器ではない。
そんな彼は、次期国王の座を狙っている。いや、狙っていない王子など恐らくいないだろう。皆、全力で成果をあげて王座を手にしようとしている。
ドルマール様の問題は、その玉座の狙い方だ。彼は、私達に無茶な要求をして、それを叶えようとしている。部下のことを考えず、自分の成果しか考えていないのだ。
「……こんなのは無理だ。そもそも期間が短すぎる。次から次へと、いくつもいくつも」
ドルマール様の無茶な要求を私と部下達はなんとか叶えてきた。通常なら考えられない程の期間で、王国に利益を生む魔法などを開発してきた。
だが、流石にそろそろ限界である。魔力は回復するものだが、こうも色々な要求を重ねられてしまうとやりくりができない。完全に回復する前に魔力を消費してしまう。
「がはっ……」
この国で最も大量の魔力を持つであろう私すら、限界が訪れているのだ。部下の人達は、もう限界を超えているといえるだろう。
このままでは、この国の魔法関係は崩れる。私は、そう思うようになっていた。
だが、そもそもそれはわかっていたことである。それは、ドルマール様にも言っていた。しかし、彼はそれをまったく聞き入れてくれなかったのである。
「なんとかしなければならない……とにかく、彼と話してみるしかないか」
このままドルマール様の要求を受け入れる訳にはいかない。それを理解した私は、彼にもう一度抗議することを決意した。
彼がそれを聞いてくれるかどうかはわからない。だが、何もしなければ潰れるだけだ。とにかく行動するしかない。
12
あなたにおすすめの小説
完結 私の人生に貴方は要らなくなった
音爽(ネソウ)
恋愛
同棲して3年が過ぎた。
女は将来に悩む、だが男は答えを出さないまま……
身を固める話になると毎回と聞こえない振りをする、そして傷つく彼女を見て男は満足そうに笑うのだ。
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
【完結】婚約破棄して泥を投げつけた元婚約者が「無能」と笑う中、光り輝く幼なじみの王子に掠め取られました。
ムラサメ
恋愛
「お前のような無能、我が家には不要だ。今すぐ消えろ!」
婚約者・エドワードのために身を粉にして尽くしてきたフィオナは、卒業パーティーの夜、雨の中に放り出される。
泥にまみれ、絶望に沈む彼女の前に現れたのは、かつての幼なじみであり、今や国中から愛される「黄金の王子」シリルだった。
「やっと見つけた。……ねえ、フィオナ。あんなゴミに君を傷つけさせるなんて、僕の落ち度だね」
汚れを厭わずフィオナを抱き上げたシリルは、彼女を自分の屋敷へと連れ帰る。
「自分には価値がない」と思い込むフィオナを、シリルは異常なまでの執着と甘い言葉で、とろけるように溺愛し始めて――。
一方で、フィオナを捨てたエドワードは気づいていなかった。
自分の手柄だと思っていた仕事も、領地の繁栄も、すべてはフィオナの才能によるものだったということに。
ボロボロになっていく元婚約者。美しく着飾られ、シリルの腕の中で幸せに微笑むフィオナ。
「僕の星を捨てた報い、たっぷりと受けてもらうよ?」
圧倒的な光を放つ幼なじみによる、最高に華やかな逆転劇がいま始まる!
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
新しい聖女が優秀なら、いらない聖女の私は消えて竜人と暮らします
天宮有
恋愛
ラクード国の聖女シンシアは、新しい聖女が優秀だからという理由でリアス王子から婚約破棄を言い渡されてしまう。
ラクード国はシンシアに利用価値があると言い、今後は地下室で暮らすよう命令する。
提案を拒むと捕らえようとしてきて、シンシアの前に竜人ヨハンが現れる。
王家の行動に激怒したヨハンは、シンシアと一緒に他国で暮らすと宣言した。
優秀な聖女はシンシアの方で、リアス王子が愛している人を新しい聖女にした。
シンシアは地下で働かせるつもりだった王家は、真実を知る竜人を止めることができない。
聖女と竜が消えてから数日が経ち、リアス王子は後悔していた。
公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました
歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と
罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが
やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、
エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」
辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。
商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。
元夫が「戻ってこい」と泣きつくが——
「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」
聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~
白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。
王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。
彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。
#表紙絵は、もふ様に描いていただきました。
#エブリスタにて連載しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる