私に聖女は荷が重いようなので田舎に帰らせてもらいます。

木山楽斗

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1.無茶な要求

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「アフィーリ様、お疲れ様です」
「お疲れさまでした。トルフェリア様」
「あの……本当にもう帰っていいんですか?」
「はい、大丈夫です。後は私に任せてください。トルフェリア様は早く休んで、どうか魔力を回復させてください。明日も、多分忙しくなりますから」
「……お役に立てずにすみません」

 聖女である私には、人並み外れた魔力がある。トルフェリア様も優秀な方ではあるが、私の七割くらいの魔力しか持っていないだろう。
 故に、この場に私が留まり、彼女を帰すのは当然のことだった。彼女がここにいても、もうできることなどないのだから。

「王国全土を監視する魔法システム……こんな馬鹿げたもの、一体誰が考えたんだろう」

 私は、聖女として王国の魔法に関する事柄を取り仕切る立場にある。このウォーマルス王国ではそのようになっているとされているが、実際はそうではない。
 王国である以上、この国を支配しているのは王族だ。現在、王国では王子達がそれぞれの分野のトップとなっている。国王様は、その働きによって次期国王を決めるらしい。
 私の上司は、第三王子であるドルマール様だ。彼は、私の婚約者でもある。聖女になった際、そう約束されてしまったのだ。

「権力争いか……そんなものに私達を巻き込むのはやめて欲しいんだけどね」

 ドルマール様の性格は、最悪だった。人を見下し、権力欲に溢れた彼は凡そ人の上に立つ器ではない。
 そんな彼は、次期国王の座を狙っている。いや、狙っていない王子など恐らくいないだろう。皆、全力で成果をあげて王座を手にしようとしている。
 ドルマール様の問題は、その玉座の狙い方だ。彼は、私達に無茶な要求をして、それを叶えようとしている。部下のことを考えず、自分の成果しか考えていないのだ。

「……こんなのは無理だ。そもそも期間が短すぎる。次から次へと、いくつもいくつも」

 ドルマール様の無茶な要求を私と部下達はなんとか叶えてきた。通常なら考えられない程の期間で、王国に利益を生む魔法などを開発してきた。
 だが、流石にそろそろ限界である。魔力は回復するものだが、こうも色々な要求を重ねられてしまうとやりくりができない。完全に回復する前に魔力を消費してしまう。

「がはっ……」

 この国で最も大量の魔力を持つであろう私すら、限界が訪れているのだ。部下の人達は、もう限界を超えているといえるだろう。
 このままでは、この国の魔法関係は崩れる。私は、そう思うようになっていた。
 だが、そもそもそれはわかっていたことである。それは、ドルマール様にも言っていた。しかし、彼はそれをまったく聞き入れてくれなかったのである。

「なんとかしなければならない……とにかく、彼と話してみるしかないか」

 このままドルマール様の要求を受け入れる訳にはいかない。それを理解した私は、彼にもう一度抗議することを決意した。
 彼がそれを聞いてくれるかどうかはわからない。だが、何もしなければ潰れるだけだ。とにかく行動するしかない。
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