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2.悪辣な王子
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「要求を取り下げる? 何を馬鹿なことを言っているんだ?」
抗議しに来た私に対して、ドルマール様はそう言ってきた。
彼の顔色はかなりいい。私達に指示するだけで、彼自身は何の無理もしていないのだ。
この男の自分勝手さは、今に始まったことではない。出会った時から、彼はこのような人間だった。
「そもそも、こんな朝早くに訪ねてくるなんて、なんて無礼な奴なんだ。これだから、田舎出身の平民は駄目なのだ。何故、お前のような奴が聖女なのか、甚だ理解できない。しかも、よりにもよって僕の婚約者とは、とんだ貧乏くじだ」
「……」
彼は、私を田舎の平民だと見下している。
もちろん、王族と平民の間には明確な差があるといえるだろう。だが、ここまで見下されると腹が立つ。
「現場は既に限界が来ています。せめて王国の監視システムに関しては、取り下げてください」
「馬鹿なことを言うな。あれを完成させることは、僕の悲願だ。父上も期待してくださっている。この段階で取り下げるなど無理だ」
「ならば、せめて期間を延長してください」
「期間の延長だと? そんな悠長なことが言っていられるか」
「悠長なこと?」
「成果を上げるのに時間をかけてしまえば、評価に関わる」
ドルマール様は、評価しか考えていない。国王になるために、下にいる者達を使い潰すつもりだ。
このような男が国王になっていいはずはない。彼が上に立てば、この国は滅びる可能性がある。それ程に、この男の性格は歪んでいる。
「ふん……やはり、平民の聖女は駄目だ。お前のような女が聖女になるべきではなかったのだ。父上に進言して、今からでも優秀な人材を見つけるべきかもしれないな」
「あなたという人は……」
「僕に文句があるというのか? はっ! 聖女になって調子に乗っているようだな。平民であるお前は、本来なら僕の前にこうして立つことも許せないというのに!」
ドルマール様は、私にそう怒鳴ってきた。
その瞬間、私の中で何かかが切れた。怒りが一気に込み上げてる。私は、どうして今までこの男に従ってきたのだろうか。なんだか、もう疲れてしまった。
「申し訳ありません。私に聖女は荷が重いようですから、誰か別の方をお探しください。私は田舎に帰らせてもらいます」
「……ほう? やっと身の程を弁えたということか」
「ええ、その通りです。当然、あなたとの婚約も破棄することになりますが、どうかお許しください」
「ふん、お前のような目障りな奴をわざわざ引き止めようとは思わんさ。特別に父上には僕から伝えておいてやる。お前はさっさと田舎に帰れ! それがお前にお似合いな場所だ。ふははははっ!」
ドルマール様の耳障りな笑い声を聞きながら、私は彼の部屋を後にした。
もう何も考える気になれない。とにかく故郷に帰りたい。そう思いながら、私は王城から出て行くのだった。
抗議しに来た私に対して、ドルマール様はそう言ってきた。
彼の顔色はかなりいい。私達に指示するだけで、彼自身は何の無理もしていないのだ。
この男の自分勝手さは、今に始まったことではない。出会った時から、彼はこのような人間だった。
「そもそも、こんな朝早くに訪ねてくるなんて、なんて無礼な奴なんだ。これだから、田舎出身の平民は駄目なのだ。何故、お前のような奴が聖女なのか、甚だ理解できない。しかも、よりにもよって僕の婚約者とは、とんだ貧乏くじだ」
「……」
彼は、私を田舎の平民だと見下している。
もちろん、王族と平民の間には明確な差があるといえるだろう。だが、ここまで見下されると腹が立つ。
「現場は既に限界が来ています。せめて王国の監視システムに関しては、取り下げてください」
「馬鹿なことを言うな。あれを完成させることは、僕の悲願だ。父上も期待してくださっている。この段階で取り下げるなど無理だ」
「ならば、せめて期間を延長してください」
「期間の延長だと? そんな悠長なことが言っていられるか」
「悠長なこと?」
「成果を上げるのに時間をかけてしまえば、評価に関わる」
ドルマール様は、評価しか考えていない。国王になるために、下にいる者達を使い潰すつもりだ。
このような男が国王になっていいはずはない。彼が上に立てば、この国は滅びる可能性がある。それ程に、この男の性格は歪んでいる。
「ふん……やはり、平民の聖女は駄目だ。お前のような女が聖女になるべきではなかったのだ。父上に進言して、今からでも優秀な人材を見つけるべきかもしれないな」
「あなたという人は……」
「僕に文句があるというのか? はっ! 聖女になって調子に乗っているようだな。平民であるお前は、本来なら僕の前にこうして立つことも許せないというのに!」
ドルマール様は、私にそう怒鳴ってきた。
その瞬間、私の中で何かかが切れた。怒りが一気に込み上げてる。私は、どうして今までこの男に従ってきたのだろうか。なんだか、もう疲れてしまった。
「申し訳ありません。私に聖女は荷が重いようですから、誰か別の方をお探しください。私は田舎に帰らせてもらいます」
「……ほう? やっと身の程を弁えたということか」
「ええ、その通りです。当然、あなたとの婚約も破棄することになりますが、どうかお許しください」
「ふん、お前のような目障りな奴をわざわざ引き止めようとは思わんさ。特別に父上には僕から伝えておいてやる。お前はさっさと田舎に帰れ! それがお前にお似合いな場所だ。ふははははっ!」
ドルマール様の耳障りな笑い声を聞きながら、私は彼の部屋を後にした。
もう何も考える気になれない。とにかく故郷に帰りたい。そう思いながら、私は王城から出て行くのだった。
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